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介護のための家屋改造 その1

公開日:2016年7月25日 13時00分
更新日:2019年6月27日 09時35分

家屋改造の原則

 人間は加齢による身体機能の低下は避けて通れません。もし病気になれば、身体機能は一層低下し、ますます日常生活の動作が困難になり、一人ではできなくなることがあります。

 従来の日本家屋では、車椅子、歩行器、杖等を使うようになった場合、住宅内の設備が大変使いにくく、日常生活活動の自立を妨げたり、介護者の介護負担を増大させている場合がみられます。高齢者にとって日常生活活動を維持するためや介護をしやすくするためには、住宅構造や設備の配慮をして介助スペースをとるとともに、福祉用具を活用することが重要です。

 介護をしやすくする家屋改造で基本的に行うことは、段差の解消や手すりの設置、居室から廊下、トイレ、浴室までをバリアフリーにすることです。これにより日常生活の自立、安全性の確保や家族の介護の軽減をもたらします。

家屋改造の検討事項

  1. 移動方法の検討
  2. 段差解消
  3. 手すりの設置
  4. 滑りにくい床材の検討
  5. スペースの確保
  6. 照明の確保
  7. 冷暖房の配慮
  8. 避難経路の確保

介護度の変化の検討

 家屋改造に先立ち、高齢者の身体機能評価、家族の介護負担の程度、経済的負担、建築法規や持ち家・借家なのかといった改造工事上の必要事項、加齢や障害の進行による介護度の変化について十分に検討する必要があります。

 増改築には、高齢者の身体機能に精通した医師、理学療法士(リンク1参照)、作業療法士(リンク2参照)と建築士を交えて、ケアマネージャーと相談して住宅改造計画を立案することも必要なことです。

リンク1 理学療法士

リンク2 作業療法士

身体精神機能の把握

 介護を必要とする高齢者の身体・精神機能の把握は、最も大切です。身体機能の中でも、移動能力の確認が非常に大切です。一人で歩けるのか、伝い歩きが可能なのか、杖を用いれば歩行可能なのか、車椅子での移動になるのか、現実にしている移動方法の確認が大切です。

 住宅改造では、大きく杖歩行、車椅子移動、寝たきりに対する三つの対応方法に分けて考えることが理解しやすいのではないでしょうか。

 また、高齢者の身体機能は個人差もあるものの加齢とともに必ず低下することを常に考慮する必要があります。住宅の増・改築は何度も簡単に行うことはできないので、将来の日常生活の利便性を高めるためにも早い時期から将来の身体機能を反映させた環境整備を行なう必要があります。

住宅状況の把握

 住宅状況家屋改造を行う上で、住宅状況の把握も必要不可欠です。必要な情報は、持ち家、借家、一戸建て・集合住宅等に関する住宅の形態、木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造等に関する住居構造、容積率・建ぺい率・用途地域等の建築関係法規に関する情報、家屋の平面図および配置図に関してです。

家族背景

 家屋改造には、家族人員、家族構成、そして実際の介助者は誰なのかをはっきりさせる必要があります。

経済状況

 家屋改造には、それなりの費用がかかり、使いやすさを追求すれば費用はどんどん膨らんでいきます。家屋改造の前に、誰がどれくらい家屋改造に費用負担できるのか、また活用できる福祉制度、公的融資・補助に関しても検討する必要があります。

介護保険の給付対象

 介護保険制度では、20万円までの工事費が給付の対象となり、その場合、費用の1割又は2割を利用者に負担していただくことになります。

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