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老老介護・認認介護とは

公開日:2019年1月10日 13時49分
更新日:2019年8月 7日 10時20分

老老介護・認認介護とは1)2)

 老老介護とは、高齢者の介護を高齢者が行うことです。主に65歳以上の高齢の夫婦や親子、兄弟などのどちらかが介護者であり、もう一方が介護される側となるケースを指します。認認介護も同様に、高齢の認知症患者の介護を認知症である高齢の家族が行うことです。

 日本は、老年人口と呼ばれる65歳以上の高齢者の割合が25%を超え、4人に1人が高齢者という時代になりました。それに伴い、要介護者は増加し、老老介護・認認介護も増加しています。介護する側の深刻な実態が浮き彫りになっています。

老老介護の実態1)

 2016年国民生活基礎調査の結果から、「要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合」を見ると、2001年は、65歳以上同士の場合は40.6%、75歳以上同士の場合は18.7%だったのに対し、2016年には、65歳以上同士が54.7%、75歳以上同士が30.2%となっています(図1、表1)。今後も老々介護の割合は増加していくことが予想されます。

図1:要介護者と同居の主な介護者の年齢組み合わせ別の推移を示す折れ線グラフ。65歳以上の老老介護が増加傾向にあることを示す。
図1:要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合わせ別の割合の年次推移(2016年は熊本県を除く)1)より作図
表1:要介護者等と同居の主な介護者の年齢組合せ別の割合の年次推移(2016年は熊本県を除く)1)
60歳以上同士(%)65歳以上同士(%)75歳以上同士(%)
2001年 54.4 40.6 18.7
2004年 58.1 41.1 19.6
2007年 58.9 47.6 24.9
2010年 62.7 45.9 25.5
2013年 69.0 51.2 29.0
2016年 70.3 54.7 30.2

介護者の状況

 図2、表2からも分かるように、主な介護者(配偶者、子、子の配偶者、父母、その他親族)は、要介護者等と「同居」しており、その割合は 58.6%で最も多くなっています。次に 要介護者と別居している「事業者」が 13.0%となっています。 要介護者側からみた同居の主な介護者の続柄は、「配偶者」が 25.2%で最も多く、次に「子」が 21.8%、「子の配偶者」が 9.7%となっています。

図2:2016年時点の要介護者等と介護者の続柄別構成割合を示す円グラフ。同居が58.7%、別居が41.3%であることを示す。
図2:2016年時点 要介護者等との続柄別主な介護者の構成割合(熊本県を除く)1)より作図
表2:2016年時点 要介護者等との続柄別主な介護者の構成割合(熊本県を除く)1)
介護者構成割合(%)
配偶者 25.2
21.8
子の配偶者 9.7
父母 0.6
その他親族 1.3
別居の家族等 12.2
事業者 13.0
その他 1.0
不詳 15.2

 また、「同居」の主な介護者を性別でみると、男34.0%、女66.0%で女性がが多くなっています(図3、表3)。

 また、年齢階級別にみると、男女とも「60~69歳」が28.5%、33.1%と最も多くなっています(図4、表4)。

図3:同居の主な介護者の性別の割合を示す円グラフ。男性34%、女性66%。
図3:2016年時点 同居の主な介護者の性別の割合(熊本県を除く)1)より作図
表3:2016年時点 同居の主な介護者の性別の割合(熊本県を除く)1)
性別割合
34%
66%
図4:同居介護者の年齢階級別の割合を示す棒グラフ。60歳から69歳が最も多いことを表す。
図4:2016年時点 同居の主な介護者の年齢階級別の割合(熊本県を除く)1)より作図
表4:2016年時点 同居の主な介護者の年齢階級別の割合(熊本県を除く)1)
年齢階級別男性女性
40歳未満 1.7 1.8
40~49歳 6.9 7.0
50~59歳 21.3 21.1
60~69歳 28.5 33.1
70~79歳 16.9 25.1
80歳以上 24.7 11.7
不詳 0 0.1

老老介護・認認介護の問題1)2)

 介護が必要になった時、他人よりも身内に介護をしてもらえることは、介護される側にとって安心でメリットがあるようにも思いますが、問題点もあります。2016年国民生活基礎調査によると、要介護者のいる世帯は、「核家族世帯」が37.9%で最も多く、次に「単独世帯」が 29.0%、「その他の世帯」が18.3%となっています。年次推移をみると、「単独世帯」と「核家族世帯」の割合は上昇傾向であり、「三世代世帯」の割合が低下しています。

 その影響から「老老介護」「認認介護」「親子介護」等の問題が、年々深刻化してきています。介護者が高齢ともなると、さらに体力的、精神的負担が大きく、介護者の体力が心配されます。共倒れの状態になることも考えられますし、外出の機会も少なくなり、外部からの刺激が得られないこと等からストレスを抱えてしまい、認知症になるリスクも高まります。

 また、例えば夫婦間で、介護者が夫、介護される側が妻になった場合、「家事が困難」という問題が出てくることがあります。妻が要介護者となるまで家事のほとんどを妻にしてもらっていた男性が、突然、炊事、掃除、洗濯、ごみ出し、お金の管理等の用事をしなければならなくなるのです。介護以上に家事の困難さを訴える人が多いというのも、男性介護者の特徴の1つとなっています。

 なぜ入浴・排泄・食事介助や移動介助等よりも、家事が困難となるのでしょうか。それはまず、介護保険制度の充実により、介護に関する作業はヘルパーなどの支援を受けることができ、介護者がすべてを行う必要がないからです。入浴や食事、排泄など、介護者一人では負担の大きい作業をデイサービスや訪問介護等の介護サービスを利用しながらこなすことができるようになってきたのです。しかし、家事はそうではありません。ほとんどすべてを、介護者ひとりがこなさなければならないのです。

老老介護・認認介護の原因

 なぜ老老介護・認認介護という状況が増えているのでしょうか。高齢化や核家族化が要因であることはいうまでもありませんが、健康寿命にもその要因はあるようです。

健康寿命が延びているが、平均寿命に比べて延びが小さい3)

 日常生活に何の制限もなく健康に暮らすことのできる健康寿命は、2013年の時点で男性が71.19年、女性が74.21年となっており、それぞれ2001年と比べて延びています。しかし、2001年から2013年までの健康寿命の延び(男性1.79年、女性1.56年)は、同じ期間における平均寿命の延び(男性2.14年、女性1.68年)と比べてわずかですが小さくなっています。つまり、寿命は延びているが、介護される年数も増えているということです。

現行の介護保険制度は「強い」介護者をモデルとしている2)

 また、老々介護・認認介護が問題となる原因としては、介護保険制度が想定している介護者が、介護の実状と合っていないということも挙げられます。

 想定されている、同居嫁など、同居して介護者となる家族というのは、若くて体力があって、家事も介護もできて、介護に専念できる時間もある、という介護者としてとても「強い」介護者です。これが、家事援助など「軽易」なサービスは不要じゃないか、という発想につながっています。しかし、高齢化により同居嫁の立場も高齢化しており、老老介護が一般化している現在、そのような介護モデルでは適切な介護サービスを行うことが難しくなってきています。

 単身や、高齢者のみの世帯にとっては、現在の介護保険サービスだけでなく、配食や見守りといった生活支援サービスが必要となっています。そういったサービスと介護保険サービスを組み合わせることができれば、老老介護・認認介護の問題は軽減されるのではないでしょうか。

参考文献

  1. 厚生労働省 平成28年国民生活基礎調査 Ⅳ介護の状況(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 独立行政法人国民生活センター 介護者支援を考える 第2回 老老介護の現状と課題(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 内閣府 平成29年版高齢社会白書(全体版) 高齢者の健康・福祉 第1章 高齢化の状況(第2節 3)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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