健康長寿ネット

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健康長寿のための健康教育

公開日:2016年7月25日 16時00分
更新日:2019年2月 1日 16時15分

健康教育とは

 健康教育の定義は、「健康教育とは、個人、家族、集団または地域が直面している健康問題を解決するにあたって、自ら必要な知識を獲得して、必要な意志決定ができるように、そして直面している問題に自ら積極的に取り組む実行力を身につけることができるように援助することである(宮坂忠夫)」1)とされています。

 健康教育とは、健康について学ぶだけではなく、ひとりひとりが健康について意識を向け、自らが健康を獲得できるようにしていく取り組みであり、地域や産業、学校などの現場で医師や保健師、教諭などのさまざまな職種によって行われます2)

自分の健康に意識を向け、健康について学んでいるヘルスリテラシーの高い高齢者を表す写真。健康教育とは、健康について学び、健康について意識を向け、自らが健康を獲得できるようにしていく取り組み。必要な情報を整理して自分の考えや意志に基づき、良い方向へと活用していく力をヘルスリテラシーという。

健康教育の目的1)

 健康教育は、健康の保持・増進を目的に行われます。健康の保持・増進とは、以下の意味合いが含まれます。

予防

 健康問題が起こらないようにする。

早期発見・早期治療

 起こってもすぐ対処できるようにする。

治療

 健康問題を解決する。

リハビリテーション

 完全に解決して社会復帰するよい方に向かわせる。


 健康教育の目標は、ひとりひとりが自分の体の状態を知って、健康的な生活習慣を身につけ、健康を保持・増進するためにセルフケアとセルフコントロールができることを目標とします。そのためには、以下のことを促す必要があります。

  • 知識の習得・理解:対象者が正しい知識や理解をもつこと
  • 態度の変容:健康行動を起こそうという気持ちになること、起こすこと
  • 行動変容とその維持:日常生活での健康生活の実践と習慣化

健康教育と行動変容1)

 健康保持・増進のために行動・ライフスタイルを望ましいものに改善することを行動変容といいます。

 行動変容は以下の手順で行います1)

  1. 今までに経験したことのない行動を新たに始める。
  2. かつて経験したことのある行動を再開する。
  3. 好ましくない行動を止める。
  4. 行動を修正する。
  5. 1~4を継続する。

 個人の健康保持・増進のために行動・ライフスタイルを改善したいという意志がある人に対して、個人が自ら気付いて行動変容を起こせるように、個人の生活に合った方法や考え方の学習を支援していきます。

行動変容に影響する要因1)

 行動やライフスタイルは個人の考え方や価値観、文化、社会的背景や生活環境などの様々な要因に基づいて長年構築されてきているものであり、行動変容を起こす意志があるうえで、その人の生活に合った条件や環境に沿って実施する必要があります。

個人の行動の維持や新しい行動の開始、中断、変化などにはさまざまな要因が影響し合っています。行動変容に影響する要因は個人的要因と環境要因とに分けることができます1)

個人的要因

性、年齢、社会経済的要因

 性別、年齢、職業、学歴、所得、家族構成、生活構造

病態・自覚症状

 体調が悪い時には受診・通院する、服薬管理、食事療法など

知識

 知識は必須であるが知識だけでは行動変容は起こせない

態度

 意見、信念、価値観など

環境要因

社会資源

 地域、職域等の保健・医療体制、人材(専門家)の配置、施設や設備の配置、施設までのアクセスや費用、時間などの利便性

関係者の援助

 家族や友人、職場の同僚や上司、保健医療従事者との関わり

社会基盤

 健康増進に対する社会の動きや職場での健康増進に対する取り組みなど

自己効力感を高める方法1)

 自己効力感とは、ある結果をもたらす行動ができる確信度のことをいいます1)

 行動変容を起こすために自己効力感を含めた動機付けを図るには、その行動変容を起こすことで、自分にとっての利益が不利益よりも大きくなることを明確にし、自分はできるという確信(自己効力感)を持つこと、実行するためにかかるコストの軽減を図るための提案を行うことが必要です。

 自己効力感が高いと自分の達成すべき目標を明確に捉え、目標を達成する過程で困難なことや失敗に直面しても、前向きに考えて乗り越えていくことができます。

 自己効力感を高めるには、次のような方法が有用です1)

ステージ理論

 初めは少しの努力で実行できそうな目標を設定し、達成できたら次の段階の目標へと目標の段階付けを行う。

オペラントの利用

 よい変化がみられたとき、目標を達成できたときには褒める。

ロールモデル

 望ましい行動を提示する。

ガイダンスの利用

 実行する前に具体的な指導を行う。

ヘルスリテラシーとは

 ヘルスリテラシーとは、情報を理解・活用できる力であり、自分の健康に関しての情報を自らが得て理解し、必要な情報を整理して自分の考えや意志に基づき、良い方向へと活用していく力です3)

 ヘルスリテラシーは、機能的・伝達的・批判的の3つの段階に分けることができます。

機能的ヘルスリテラシー

 機能的ヘルスリテラシーとは、読み書きする力で医療者による説明の理解も含まれます。

伝達的ヘルスリテラシー

 伝達的ヘルスリテラシーとは、健康に関心を持ち、情報を収集し、他人に伝達し、自分で適用する力です。

批判的ヘルスリテラシー

 批判的ヘルスリテラシーとは、得た情報の信ぴょう性を調べることや自分に当てはまるかを考え、自分の健康のために活用する力です3)

 テレビやインターネットなどを通して多くの情報が手に入る時代だからこそ、全ての情報をうのみにせず、信ぴょう性が疑われた場合は調べたり、医療者に確認したりして正しい情報を得て、自分にとって有益な情報を選択し、活用していくことが望まれます。

参考文献

  1. Ⅵ健康教育 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 健康教育ヘルスプロモーションとは 日本健康教育学会(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 医療者と患者のコミュニケーション:ヘルスリテラシーを手がかりにして 「統合医療」情報発信サイト 厚生労働省「統合医療」に係る情報発信等推進事業(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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