健康長寿ネット

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医療・介護・健康分野のICT活用

公開日:2019年8月 9日 09時50分
更新日:2019年8月 1日 14時34分

ICTとは

 ICTとは、情報通信技術と訳されるInformation and Communication Technologyの頭文字をとった略語です1)。今やICTを活用しない生活は想像できないほどに、その活用の範囲は広がりをみせています。

 情報技術の略語としてテレビや新聞等のメディアで以前用いられていたのは「IT(Information Technology)」でしたが、最近ではICTを用いられるようになりました。ICTはITにC:Communication(コミュニケーション)が加わっています。ITにコミュニケーションの概念が加わることで、情報技術が単なる情報処理ではなく、パソコンやスマートフォン、スマートスピーカーなどさまざまな機械を使ってインターネットにて、情報や知識を相互にやり取りしたり、共有することを狙いとしたしたものです。

 ICTは既に医療・介護・健康分野でも浸透しています。例えば、医療機関の電子カルテの普及や高齢者見守りシステムなど比較的身近なものとして、現在でもわたしたちも目にすることができます。

医療・介護・健康分野におけるICT活用の現状2)

 医療・介護・健康分野におけるICTを活用したさまざまな仕組みや取組みをみてみましょう。

EHR(Electronic Health Record 地域医療連携ネットワーク)の推進

 わが国ではICTをさまざまな分野で活用していこうと多くの政策を発表しています。これまで医療・介護・健康分野においては、それぞれの機関や施設で保有している電子カルテ(EMR:Electronic Medical Record)を、複数の機関や施設でも共有することを一つの目標としていました。しかし、医療機関や介護施設で保有するデータは、そもそも他の施設と共有することを前提に集められているものではないことや、システムの違いなどによって、簡単には進められてきませんでした(図1 従来型EHR)。

 そこで政府は、個人や患者本位で全国的な保険料情報ネットワークの構築を進め、健康管理や診療、ケアを提供するための基盤とし、関係機関・施設間での効果的な情報共有や、複数の地域をまたぐようなデータ共有(超地域的データ共有)を行うことを目指しています(図1 クラウド型高機能EHR)。これにより、健康管理・診療・介護の提供が一人ひとりに最適化されると考えられています。

 また、このようなネットワーク化による情報の共有や活用によって、患者・医療機関双方の負担軽減や、地域医療の安定供給、医療の質向上につながり、さらには増大の一途をたどっている医療費が適正化されるというメリットも想定されています。

図1:従来型HERとクラウド型高機能HERの仕組みを示す図。従来型はEHR毎に異なるデータ形式のため二次利用が困難だが、クラウド型は多施設で情報を双方向的にやり取りできる仕組みであることをあらわす
図1:従来型EHRとクラウド型高機能EHR3)

 実はこのEHRは既に運用が始まっている地域があります。しかし情報を一方的に見るだけ、情報の種類によって参加できない、もしくは参加するにはコスト負担が大きい、データの管理形式の相違があるなど課題も多く、あくまでその地域内の参加施設や患者・利用者という限られた範囲でのネットワークという状態にとどまっています。

 今後は、クラウド技術を活用し、標準化、低廉化をすすめ、情報連携施設の拡大、双方向の情報連携など、より高度なHERの整備を目指しています。

PHR(Personal Health Record パーソナル・ヘルス・レコード)の推進2)3)

写真1:スマートフォンで個人の健康情報を閲覧しているイメージ写真

 医療・介護・健康分野でのICTの活用では前述のEHRのほか、一人ひとりが自らの健康に関する情報を生涯に渡って時系列的に収集管理し、多目的に活用する「PHR」の実現も目指しています。この仕組みが実現すると、個々人の健康状態に合った医療や介護などの良質なサービスを受けることができるとされています。

 では、具体的にはどのような仕組みになっているのでしょうか。

 日本ではもともと、ライフステージや生活状況、疾患の状況などに合わせた手帳や、定期的な測定を利用し、医療や健康に関する情報を管理しています。例えば生まれる前からの記録としては母子健康手帳があります。また、幼児期や児童期・学童期、青年期については、学校などで定期的な身体計測が行われ記録されています。就職先や自治体では健康診断が実施されており、疾患によっては疾病管理手帳やおくすり手帳によって健康状態や投薬の情報が記録されることになります。高齢期には介護予防手帳やかかりつけ連携手帳など、介護や見守りについての情報も記録、管理することができます。

 分かりやすい表現をするならば、このようなライフステージや生活状況、疾患の状況などに合わせて記録された医療や健康に関する各記録を、紙や手帳などの記録媒体ではなくデータやアプリケーションなどのデジタル媒体で管理し、活用することがPHRの仕組みだといえます(図2)。

図2:パーソナルヘルスレコードの活用の仕組みをあらわす図
図2:PHR利活用の推進3)

 現状では、平成28年(2016年)度からこのPHRの構築に向け、サービス横断的にデータ管理・活用のための連携基盤の開発を行い、個々人の生活状況やライフステージに合わせた医療・健康分野等のデータの活用が進められています。

 平成29年(2017年)度からは、健康診断のデータ、医療保険を利用したデータ(レセプトデータ)、エビデンスデータなど、各自治体に蓄積されているデータを収集し、AI(Artificial Intelligence 人工知能)による解析を行っています。これは地域や個々によって異なる課題に応じた、適切な保健指導施策の提案を行うことが目的になっています。

マイナンバーと健康保険証の連携

写真2:マイナンバーカードのイラスト

 平成28年(2016年)からスタートしたマイナンバー法により発行されたマイナンバーカードを2021年3月から原則すべての病院で健康保険証として使えるよう、政府は健康保険法の改正案を平成31年(2019年)2月に決定しました。また、マイナンバーの仕組みを利用して個人の健康状態や服薬履歴などを本人や家族が把握できるよう、2020年から「マイナポータル(リンク1)」を通じて本人等に情報の提供を目指しています4)

リンク1 マイナポータル (外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

 これにより本人自らの健康管理に取り組むことを支援するため、スマートフォン等を活用して、健診結果データの閲覧や個人の健康状態に配慮した食事・運動メニューなどの情報提供、健康づくりを支援するポイントプログラムなど、PHRサービスの提供が期待されます。

参考文献

  1. 国民のための情報セキュリティサイト 用語辞典「ICT」(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 総務省 平成30年版情報通信白書 第2部第6章 第6節1-2医療・介護・健康分野におけるICT利活用の推進(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 総務省 ICT利活用の促進 医療・介護・健康分野の情報化推進(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 首相官邸 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部) 第1回官民データ活用推進基本計画実行委員会 データ流通・活用ワーキンググループ 資料4-3 マイナポータルを通じた特定健診データの提供等に関する検討状況(厚生労働省)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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