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高齢者は医療・健康情報をどこから得ているか

公開日:2019年8月 9日 09時20分
更新日:2019年8月 5日 11時03分

医療・健康情報を得る手段

 現代は、テレビや新聞などのマスメディアから医療や健康に関する情報が多く発信されています。また、書店に行けば数多くの医療や健康に関する書籍、雑誌が販売されています。また、医療機関にさまざまな病気を解説した冊子や、健康の維持・増進に向けた情報をまとめたチラシなどが置かれています。そのほかの情報源として、家族・友人・知人からの口コミやインターネットのウェブサイトもあります。

 高齢者は、こうしたたくさんの情報源の中から、医療・健康にかかわる情報をどのように得ているのでしょうか。

高齢者はどこから医療・健康情報を入手するのか1)

 平成29年(2017年)に金城らが行った調査によると、高齢者の医療・健康情報の入手先として多かったのは、テレビなどのメディア、友人や家族、新聞などが多く、インターネットを利用している人は14%程度であったことが分かりました。

写真:コーヒーを片手に新聞の健康情報をみている男性の写真

 この調査は、東京都のA区と、長野県のB市の2つの地域で、それぞれシルバー人材センターの会員を対象として行われました。調査結果を分析したところ、メディアの利用には地域差があったのだそうです。また、情報の入手過程においては、多くの高齢者が不満を持っており、医療・健康に関する情報が入手できていない人ほど、「どこから情報を入手すれば良いか分からない」という不満が多かったという結果が出ています。

高齢者によるインターネット利用の実際2)

 現代はさまざまな情報が溢れる時代ですが、多くの人はインターネットからその情報を集めているといわれています。その傾向は、60歳以上の高齢者の世代にも広がっているようです(リンク1)。

リンク1:高齢者のICT利活用の状況

 高齢者のインターネットの利用率は年々高くなっていますが、インターネットを利用して医療・健康情報を入手する高齢者は地域によって差があり、多くの高齢者がインターネットの恩恵を受けながら必要な医療・健康情報を入手しているとは、言い難いのかもしれません。

 そんな中でも、インターネットから医療・健康情報を入手している高齢者は、具体的にどのような情報を入手しているのかをみていきましょう。

 内閣府が調査を行った「平成29年(2017年) 高齢者の健康に関する調査結果」2)によると、全国の55歳以上の男女3,000人を対象に調査を行ったところ、インターネットを利用して医療・健康情報を入手している人は、全体のおよそ31%であることが分かりました(図1)。

 インターネットを利用して医療・健康情報を入手している人のなかで、具体的にどのような情報を入手しているかという質問への回答(複数回答)としては、「病気について(病名や症状、処置方法)」がもっとも多く22.6%、これに「病院などの医療機関」や「薬の効果や副作用」などの項目が続きます(表1)。

図1:インターネットを利用する高齢者のうち、病気について調べる人が多いことをあらわす図。
図1:医療・健康情報のインターネットでの入手(複数回答)(n=1,998)2)より作成
表1:医療や健康情報のインターネットでの入手(複数回答)(n=1,998)(%)2)より作成
回答割合
病気について(病名や症状、処置方法) 22.6
病院などの医療機関 14.0
薬の効果や副作用 13.6
自分でできる運動(体操ストレッチ等)やマッサージの方法 6.4
栄養バランスのとれた食事 4.7
健康食品や滋養強壮剤 4.1
その他 1.1
インターネットは使わない 68.9
インターネットで調べることがある(計) 31.1

 この結果をさらに細かく分析した結果、次のようなことが分かっています。

  • 上位3項目については、都市規模の大きい地域ほど高く、都市規模の小さい地域ほど「インターネットは使わない」人が多かった
  • 女性の72.3%は「インターネットを使わない」と回答し、この割合は男性よりも高い
  • しかしいずれの情報も、男女ともに年齢の低い層ほど、インターネットでの取得率が高い

 また、男性の75歳以上、女性の70歳以上では、80%以上の人が「インターネットは使わない」と回答していることも分かりました。また、調査の時点で「健康状態が良くない」とされた層でも、「インターネットは使わない」と答えた人が90%以上を占めていました。

高齢者にとってインターネットからの医療・健康情報は信用できるものか3)

 インターネットを利用するためには、「インターネットリテラシー」といわれるものが必要です。インターネットリテラシーとはインターネットを正しく使いこなすための知識やインターネットで得た情報を正しく理解し、取捨選択できる能力のことをさします。

 近年、インターネットの利用方法としては、パソコンだけではなく、スマートフォンやタブレット型端末など、より身近でより手軽に使えるものが登場しています。総務省の「平成30年(2018年)版 情報通信白書」によると、2017年時点において、インターネット利用端末としてスマートフォンを利用する人が、パソコンを利用する人を上回っていることが分かりました4)

 その一方で、インターネットからの情報をどこまで信用するかという姿勢も必要です。例えば前述の「平成30年(2018年)版 高齢社会白書(全体版)」4)によると、インターネットからの情報を「ほぼ信用して行動の根拠にしている」と回答した人は、全体の14%に上りました。また、男性単身世帯が5.3%、女性単身世帯が16%と、男性よりも女性の方にその傾向が強めであることが分かりました(図2)。

図2:男女別の単身世帯がインターネットの情報を行動の根拠にしているかを調査した結果をあらわすグラフ。
図2:インターネットの情報を行動の根拠にしているか(択一回答)4)

 インターネットは情報を集めるには非常に便利な方法であり、多くの情報がインターネット上には溢れています。

 しかし、その情報のすべてが必ずしも正しいとは限りません。その情報が正しいかどうか、自分にとって有益であるかどうかを判断する正しい知識と能力が求められています。

参考文献

  1. 金城 光:高齢者の医療・健康情報の入手状況と課題.老年社会科学 2017;Vol.39:P7-P20
  2. 内閣府 平成29年高齢者の健康に関する調査(全体版)医療・福祉に関する事項 p73(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 総務省 平成30年版 情報通信白書 インターネットの利用状況(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 内閣府 平成30年版高齢社会白書(全体版) 3 インターネット・リテラシー(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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