健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

高齢者のICT利活用の支援

公開日:2019年8月 9日 09時30分
更新日:2019年7月26日 12時00分

生活に身近になったインターネット1)

 現代では、インターネットの利用率が非常に高いことが分かっています。特に20~30歳代では98%前後の人が、何らかの方法でインターネットを利用しています。では高齢者の利用についてはどうでしょうか。

インターネット利用のひろがり1)

 現代では、どの年齢階層もインターネットを利用していることが分かるデータがあります。総務省が公表している「平成29年通信利用動向調査」の調査結果では、各年齢階層別のインターネット利用状況が分かります(図1)。

図1:各年齢階層別のインターネット利用状況を示す棒グラフ。13歳~59歳までの年齢階層では、利用率が90%を超えているのに対し、60歳代は74%、70歳代は47%、80歳以上は20%程度となっている。
図1:年齢階層別インターネット利用状況(個人)1)

 特に13~59歳までの年齢階層では、利用率が90%を超えています。これは、「ほとんどの人が何らかの形でインターネットを利用している」といえます。対して、60歳代のインターネット利用は74%程度、70歳代では47%程度、80歳以上では20%程度という、総務省による調査結果が出ています。

拡がる情報格差2)

 インターネットの利用動向調査から高齢者の中にもインターネットを利用する人は一定数以上居ることが分かりましたが、インターネットを利用しない高齢者の割合は、若年の年齢層に比べて多いことも分かります。

 インターネットを活用している高齢者は、利用していない、または利用できない高齢者に比べ、手に入れられる情報量が多くなります。すると、個人の持つ情報量に開きが出てしまいます。この個人の持つ情報量に開きがある状況を「情報格差」といいます。

 例えば、インターネットを利用することにより、さまざまな人や団体などとのつながりを持つことができ、社会参加の機会が増え、友人も多くなります。さらに、電子書籍や動画サイトの活用で、文化的な面も充実させることができるようになります。さらに、自身の健康状態についての情報も多くなります。例えば、治療やお薬、医療制度や介護制度など、多種多様な情報を必要なときにその場で得ることができます。また、災害発生時には国や地方公共団体から発信される正しい情報を時間や場所を問わず得ることができます。

 一方で、インターネットを利用しない、またはインターネットを利用できない場合、様々な有益な情報や知識の取得、新しい友人関係や社会参加の機会を失う場合があります。

 インターネットの利用のできる、できないによる個人間の情報格差は、本人が健康で、主体的に自らが情報を得る意識と行動力があれば他の手段で賄うことも可能かもしれません。しかし、年齢を重ねるほど、視聴覚機能、身体機能、認知機能に障害を持つ人が増え、要介護度が高くなれば、移動や外出に制限が加わることで、自宅で過ごす時間が増えていきます。そのため、テレビやラジオからの受動的な情報に頼り、電話が唯一の通信手段となります。

 インターネットをはじめとするICTを活用することは、高齢者の心を豊かに、暮らしに刺激や張りを与えてくれる高齢者を支える必需品になり得ると考えられています。

情報機器を利用しない高齢者がいる理由とは

 インターネットを利用できる情報機器を活用することは高齢者にとってさまざまな効果がありますが、なぜ情報機器を活用しない高齢者がいるのでしょうか。

 総務省が公表している通信利用動向調査は数年にわたって続けられていますが、この数年間に高齢者の情報機器の利用状況に大きな変化はありません。高齢者のインターネット利用が進まない理由はどこにあるのでしょう。

 内閣府による日本と、諸外国3か国(アメリカ、ドイツ、スウェーデン)の高齢者の生活意識の把握のために実施された「平成27年(2015年)度 第8回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、情報機器を利用していない高齢者が、「利用しない理由」として一番多かった回答は「必要性を感じないから」70.4%でした(図2)3)。インターネットの利用に必要性を感じない高齢者は日本だけに限ったことではなく、アメリカ、ドイツともに似たような傾向があります。

図2:日本とアメリカ、ドイツ、スウェーデンを対象とした「平成27年(2015年)度 第8回 高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」結果を示す図。
図2:情報機器を利用しない理由3)

高齢者のインターネットによるトラブル

 インターネットを利用している人は、その利用に際して不安に感じているという現状があります。平成29年通信利用動向調査の結果によると、67%の人が「不安を感じる」「どちらかといえば不安に感じる」と回答しています。

 これは前回調査(平成28年(2016年))よりも上昇傾向にあります1)

 特に高齢者にとっては、インターネット利用に伴うトラブル(ネットトラブル)が急増している現実が報告されています。平成29年(2017年)に消費者庁に寄せられた相談件数上位は、「商品一般」を除くとインターネットに関連した相談が上位を占めていました(表1)4)

表1:消費者庁へ寄せられた高齢者からの相談内容と上位の相談件数(2017年度)
順位相談内容相談件数
1商品一般 39,706件
2デジタルコンテンツ(全般) 23,498件
3光ファイバー 9,694件
4アダルト情報サイト 7,180件
5他のデジタルコンテンツ 5,663件
6新聞 5,398件
7フリーローン・サラ金 4,936件
8修理サービス 4,813件
9他の健康食品 4,778件
10相談その他(全般) 4,158件

備考

1. PIO-NETに登録された消費生活相談情報

2. 品目は商品キーワード

3. 契約当事者が65歳以上の相談

高齢者ICT利活用の支援2)

写真:高齢女性にパソコンの使い方を教えている若い女性の写真

 先に紹介した内閣府による「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」の結果から考えてみると、高齢者自身が情報機器使ってみたいと思うような興味・関心を引くような利点を見つけられて、情報機器の使い方がわかれば、情報機器の利用する可能性があるということがわかります。

 こうした課題をクリアにするため、自治体や情報機器の製造メーカー、NPO団体による高齢者に対するICT利活用の支援の取り組みが行われています。

 支援内容は、パソコンの使い方やエクセルやワードといったパソコンのソフトの使い方を教える教室、スマートフォンやタブレット型端末、デジタルカメラの講座など、基本の操作方法から、ICTを活用したオンラインでの交流の場を開いていることもあります。

 また、ネットトラブル防止講座の開催もされています。

 支援の担い手としては、シルバー人材センターが主催しているものや、自治体と地域の自治会や老人会や連携して実施しているもの、民間のNPO団体が主催するものなどがあります。

 支援の広がりは、高齢者の新たなICT利活用を増やすだけでなく、支援を受けた側の人たちが支援をする側になるという形にも拡がりをみせ、高齢者同士の交流が進み、心豊かな老後を創り出す場になってきています。

 高齢者のICTの利活用の支援についての情報は自治体の「生涯学習課」などにお問い合わせください。

参考文献

  1. 総務省 統計調査データ:通信利用動向調査:報道発表資料 平成29年通信利用動向調査の結果(概要)図表1-1年齢階層別インターネットの利用状況の推移(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 総務省 地域IoT実装推進タスクフォース 地域IoT実装推進タスクフォース 人材・リテラシー分科会(第3回) 資料3-5 近藤構成員提出資料(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 内閣府 平成27年度 第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 消費者庁 平成30年版消費者白書 第1部 第1章 第3節(1)2017年の消費生活相談の概況(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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