健康長寿ネット

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高齢者の独居問題

公開日:2019年6月21日 10時00分
更新日:2019年8月 1日 11時10分

img1:ほおずえをつく男性高齢者

 ひとり暮らしの高齢者、高齢者夫婦の世帯数が増えており、高齢者の社会的孤立が問題視されています。一人暮らしの高齢者、高齢者夫婦の孤立の原因と問題点について考えていきましょう。

ひとり暮らしの高齢者・高齢者夫婦の世帯数の推移

 厚生労働省の平成29年(2017年)国民生活基礎調査によると、わが国の65歳以上の人数は3,519万5千人で、65歳以上の者のいる世帯数は2,378万7千世帯です1)

 そのうち、「65歳以上のひとり暮らしの高齢者の世帯」は627万4千世帯、「どちらも65歳以上の夫婦のみの世帯」は643万5千世帯となっています(グラフ1、表1)。

 平成28年(2016年)から平成29年(2017年)にかけて「ひとり暮らしの世帯数」は減少しているものの65歳以上の高齢者のひとり暮らし、夫婦のみの世帯数は増加傾向にあります(グラフ1、表1)。

グラフ1:65歳以上の一人暮らしと夫婦のみの世帯数の1986年から2017年までの推移をしめした折れ線グラフ。高齢者の一人暮らし、高齢夫婦のみの世帯が大きく増加していることをあらわすグラフ1:65歳以上のひとり暮らしと夫婦のみの世帯数の推移1)より作成
表1:65歳以上のひとり暮らしと夫婦のみの世帯数の推移(単位:千世帯)1)より作成
65歳以上のひとり暮らしの世帯どちらも65歳以上の夫婦のみの世帯
昭和61年(1986年) 1,281 1,001
平成元年(1989年) 1,592 1,377
平成4年(1992年) 1,865 1,704
平成7年(1995年) 2,199 2,050
平成10年(1998年) 2,724 2,712
平成13年(2001年) 3,179 3,257
平成16年(2004年) 3,730 3,899
平成19年(2007年) 4,326 4,390
平成22年(2010年) 5,018 4,876
平成25年(2013年) 5,730 5,513
平成26年(2014年) 5,959 5,801
平成27年(2015年) 6,243 5,998
平成28年(2016年) 6,559 6,196
平成29年(2017年) 6,274 6,435

 また、「65歳以上のひとり暮らしの高齢者の世帯」は高齢者世帯※1の47.4%を占め、「どちらも65歳以上の夫婦のみの世帯」は高齢者世帯の48.7%を占めます(グラフ2、表2)。

※1 高齢者世帯:
65歳以上の者のみ、もしくは65歳以上の者に18歳未満の未婚のものがいる世帯のこと。
グラフ2:平成29年(2017年)の高齢者世帯の世帯構造の割合を示す円グラフ。一人暮らしの世帯は47%、夫婦のみの世帯は49%とほとんどの高齢者が一人暮らしないしは夫婦のみの世帯であることをあらわす
グラフ2:平成29年(2017年) 高齢者世帯の世帯構造1)より作成
表2:平成29年(2017年) 高齢者世帯の世帯構造1)より作成
高齢者世帯65歳以上のひとり暮らしの世帯どちらも65歳以上の夫婦のみの世帯その他の世帯
世帯数(単位:千世帯) 13,223 6,274 6,435 514
割合 47% 49% 4%

※「その他の世帯」には、「親と未婚の子のみの世帯」及び「三世代世帯」を含む

 65歳以上のひとり暮らしの高齢者のうち、男女の割合をみると、男性32.6%、女性67.4%で女性が7割近くを占めています。男女別・年齢層別にみると男性の65~69歳(36.2%)、女性の75~79歳(21.8%)で多くなっています(図1)。

図1:平成29年(2017年)の65歳以上の単独世帯の性別、年齢別構成をしめす図。単独世帯全体67%は女性。男性の一人暮らしは65歳から69歳が最も多く、女性は70歳から74歳が最も多いことをあらわす
図1:平成29年(2017年)65歳以上の単独世帯の性・年齢構成1)

高齢者の孤立の原因

img2:さびしそうに折り紙をおる高齢女性の写真

 高齢者の孤立を「家族や地域社会との交流が、客観的にみて著しく乏しい状態」2)とみたときに、「会話の頻度が少ない」、「困ったときに頼れる人がいない」、「友人との付き合いが少ない」、「近所づきあいが少ない」人に孤立は起こりやすくなります。孤立しやすい高齢者の特徴として以下の特徴が挙げられます。

孤立しやすい高齢者の特徴

  • ひとり暮らしの高齢者(とくにひとり暮らしの男性)
  • 健康状態が良くない高齢者
  • 離別した高齢者、未婚の高齢者
  • 暮らし向きが大変苦しい高齢者
  • 大都市に住む高齢者
  • 他人に迷惑をかけたくないという高齢者

 孤立しやすい高齢者の特徴から原因を考えていきましょう。

ひとり暮らしの高齢者

 ひとり暮らしの高齢者は、同居する家族がいないため、もともと友人がいない、近所・地域との付き合いがないという状態であれば孤立しやすくなります。とくに男性は、現役時代に近所づきあいや地域活動に参加するケースは少なく、定年退職後に孤立しやすい傾向があります。核家族化が進み、高齢者のひとり暮らしが増えていること、平均寿命が延び、高齢者がひとりで暮らす期間が長くなっています。

健康状態が良くない高齢者

 健康状態が良くない高齢者は、自分で身のまわりのことが行いにくく、身体的・精神的な不自由から活動性も低下しやすくなります。家に閉じこもりがちとなり、人との交流の機会も少なくなります。

離別した高齢者、未婚の高齢者

 離別した高齢者は、離別を機に社会関係への影響を及ぼし、配偶者や子供を介しての地域とのつながりが得られにくいことが考えられます。未婚の高齢者はひとり暮らしの期間が長く、他者とのコミュニケーションの機会が減ることが考えられます。未婚者・離婚者は長期的に増加しており、将来的にひとり暮らしの高齢者が増え、孤立につながることが予測されます。

暮らし向きが大変苦しい高齢者

 暮らし向きが苦しいと、人との付き合いが希薄になる傾向にあります。経済状態が苦しくなるまでの過程で人間関係が阻害されてきたことが社会的な孤立につながっている場合もあります。

大都市に住む高齢者

 生活の利便性の高まりによって、地域や家族・友人との交流がなくても生活が成り立つ時代となっています。高齢になり、健康上の問題などが生じて助けを必要としたときに、頼れる人がいないと孤立しやすくなります。

他人に迷惑をかけたくないという高齢者

 プライバシーを守りたい、他人にできるだけ迷惑をかけたくない、他人の世話にはなりたくないという意志を持って、地域とのつながりや公的な支援を自ら拒否する高齢者は孤立しやすくなります。

孤立による問題点

img3:道におちている花びらの写真

 社会的な孤立は、生きがいを感じられなくなる、消費者トラブルに巻き込まれやすくなる、犯罪につながる、孤立死が増えるといった問題を招きます。

生きがいを感じられなくなる

 「日頃の会話が少ない」、「困ったときに頼れる人がいない」、「友人との付き合いが少ない」、「近所とほとんど付き合いがない」といった状態が長く続くと、人との交流の中で生まれる自分の役割を持つことや、やりがいを感じること、頼りにされること、楽しさを見出すことなどの経験ができず、生きがいを感じることが少なくなります。平成23年高齢社会白書によると、「生きがいを感じていない人」の割合は、会話をする頻度、近所づきあいの程度が少ない人、困ったときに頼れる人がいない人で割合が高くなっています(グラフ3、表3)。

グラフ3:生きがいを感じていない人の割合を示す棒グラフ。困ったときに頼れる人がいない人がもっとも生きがいを感じていないことをあらわす
グラフ3:生きがいを感じていない人の割合3)
表3:生きがいを感じていない人の割合3)
項目感じていない(%)
全体(N=2062) 12.9
性・世帯構成別男性一人暮らし世帯(N=86) 34.9
夫婦のみ世帯(N=395) 11.1
その他世帯(N=498) 15.7
女性一人暮らし世帯(N=151) 15.2
夫婦のみ世帯(N=344) 6.7
その他世帯(N=588) 11.4
健康状態別良好(N=1166) 8.0
ふつう(N=533) 12.4
不良(N=363) 29.2
会話の頻度別毎日(N=1915) 11.7
2日~3日に1回以下(N=142) 26.8
近所づきあいの程度別親しくつきあっている(N=1051) 7.5
あいさつをする程度(N=906) 16.0
つきあいはほとんどない(N=105) 39.0
困ったときに頼れる人の有無別いる(N=1996) 11.6
いない(N=56) 55.4

消費者トラブルに巻き込まれやすくなる

 社会的に孤立している高齢者は他者とのつながりがない分、生活の不安を感じることにもつながりやすくなります。悪質な業者が財産を狙って不安を煽るような言葉で近づいてきたときにも、周りに相談できる人もいないので消費者トラブルに巻き込まれやすくなります。

犯罪につながる

 高齢者の犯罪者は、前科や前歴、受刑歴がある人ほど単身者が多く、親族や親族以外の人との接触がない人の割合が高いことから、犯罪を繰り返す高齢者は孤立している傾向にあります。

孤立死が増える

 近所づきあいや人との交流を持つことはお互いを気にかけ合って見守る効果もあります。孤立している高齢者では、誰にも看取られることなく自宅で息を引き取り、長い期間気づかれずに孤立死するケースも多くみられます。東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成27年は3,127人で長期的な増加がみられます(図2)。

図2:東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数の平成15年から27年までの推移を示した棒グラフ。一人暮らしの高齢者が自宅で死亡している数が増えていることをあらわす。
図2:東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数4)

参考文献

  1. 厚生労働省 平成29年国民生活基礎調査(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 内閣府 平成22年版 高齢社会白書 第1章 高齢化の状況 第3節 高齢者の社会的孤立と地域社会 ~「孤立」から「つながり」、そして「支え合い」へ~(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 内閣府 平成23年版 高齢社会白書 第1章 高齢化の状況 第3節3 高齢者の社会的孤立を防止し、高齢者自身を「地域」の支え手に(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 内閣府 平成29年版高齢社会白書 6高齢者の生活環境(6)高齢者の自殺(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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