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味覚障害

公開日:2017年7月 5日 13時38分
更新日:2019年6月21日 11時50分

味覚の種類

 味覚には、塩味、酸味、甘味、苦味、うま味の5種類の基本味があり、多くの食物の味は、これらのいずれか、あるいはその組み合わせとして表現されます。

味覚の仕組み

 味覚は舌の表面や口腔内の粘膜に存在する味蕾(みらい)という部位で感知されます。食物中から唾液に溶け出した味物質が味蕾の中にある味覚受容器を刺激して、脳へ信号が伝達されることにより、私たちは味を感じます。

 味刺激が伝達されるとき、におい、舌ざわり、温度、過去の食経験の記憶などが修飾を加えるので、嗅覚、触覚、温度感覚などの、味蕾で感じる刺激以外の感覚も関与しています。

味覚障害の多彩な症状

 味覚障害には、いろいろな症状がみられます。単純な味覚の減退、消失(無味症)のほかに、何も食べていないのに口の中で特定の味が持続する自発性異常味覚、食物の味が本来の味と異なった味に感じられる異味症、特定の味質のみがわからない解離性味覚障害、舌口腔内の特定の場所が味を感じない部分的味覚障害などがあります。

味覚障害と加齢

 味蕾の総数は若年者ほど多く、高齢者では新生児期の半分から3分の1になるといわれています。ただし加齢に伴う味覚低下が自覚される割合は、聴力低下に比べるとかなり少ないとされています。

 原因別にみると味覚障害は、薬剤の副作用、亜鉛や鉄などの微量金属欠乏性、全身疾患性、口腔疾患性、原因が特定できない特発性、嗅覚障害を伴う風味障害型などがあり、単一の要因ではなくいくつかの要因が絡み合って発症すると考えられています。

 高齢者では高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの全身疾患の罹患(りかん:病気にかかること)、薬剤の服用が多くなります。

 薬剤性味覚障害は、高齢者の味覚障害の原因の中で最も頻度の高いものの一つで、血圧降下剤、利尿剤、肝治療剤、消化性潰瘍治療剤など250種類以上の薬剤で味覚障害が引き起こされる可能性があるとされています。薬剤によっては唾液分泌を抑制したり、後述するように亜鉛代謝に作用することにより味覚の低下を引き起こします。

亜鉛欠乏性味覚障害

図:亜鉛を多く含む食品を示す図

 亜鉛は必須微量元素のひとつであり、たくさんの金属酵素に組み込まれ主要な生体の代謝に関与しています。

 亜鉛含有量の多い食品は、抹茶、緑茶煎茶(一番茶)、玄米茶、ココア、牡蠣、数の子、煮干、あまのり、てんぐさ寒天、きな粉、カシューナッツ、いりアーモンド、いりゴマ、麩などがあります。

 一方、広く用いられている食品添加物の中には、亜鉛の吸収を阻害したり尿中排泄を増加させる物質が多く含まれています。

 低亜鉛血症は、全身疾患性や薬剤性の味覚障害例でも高頻度に見られ、亜鉛欠乏が多くの味覚障害に関与していると考えられています。従って、亜鉛欠乏を背景にもつ味覚障害例では亜鉛剤の服用が治療として行われます。

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