健康長寿ネット

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耳垢

公開日:2017年7月 5日 13時23分
更新日:2019年6月13日 11時17分

耳垢の種類

 耳垢にはかさかさした乾性耳垢、ねとっとした湿性耳垢があり、遺伝で耳垢の性質が決まります。日本人の7-8割は乾性耳垢ですが、残り2-3割の方は湿性耳垢です。白人や黒人では9割以上が湿性耳垢です。耳かきというのは、乾性耳垢の多い地域(アジアの一部)で使用されていますが、それ以外の地域ではありません。耳垢の種類に応じた耳のお手入れが必要です。

耳掃除の仕方

 まず乾性耳垢ですが、外耳道の皮膚に問題のない人であれば、量が少なくかさかさした乾性耳垢は自然に外へと排出されやすいので、極端なことをいえば耳掃除は特に必要ありません。外耳道のせまい幼児や、外耳道の硬い高齢者(特に80歳以上)、外耳炎を繰り返して排出能力の低下している人では外耳道入口付近の耳垢を掻き出してあげた方がよいことがあります。その場合には耳かきが便利です。ただし、耳かきで外耳道の皮膚を掻いてしまうと湿疹や傷の原因になるので、耳垢を掻き出すためだけに使用します。耳かきは硬いため、耳に刺さると大変危険です。子供やペットにぶつかって鼓膜に穴が開いたりする場合が少なくありません。周りに人のいない状況で座って行い、耳かきを1センチ以上奥へいれないようにしましょう。掃除の頻度は2週間に1回ぐらいで大丈夫です。

 湿性耳垢ですが、綿棒を使って掃除する人が多いと思います。綿棒を奥へ入れすぎると逆に耳垢が押し込まれて聞こえづらくなったり炎症を起こしたりするので、外耳道入口部をくるっと拭き取るだけでよいです。湿性耳垢の人は乾性耳垢の人より分泌量も多いので、数日に1回は掃除をした方がよいです。欧米ではオイルや水を数週間に1回、耳に入れて洗い流すという方法で掃除するのが推奨されています。日本人にはなじみのない掃除方法ですが、湿性耳垢に合った掃除方法です。

 耳垢は外耳道の外側半分からしか分泌されません。外耳道の内側半分と外側半分の境目は峡部といって、少し盛り上がっており、その手前から耳垢線が始まるので、峡部の付近は必ずがさがさ、でこぼこした感じになります。そこを無理に手探りでつるつるにしようとすると耳垢を奥に押し込んでしまったり、傷をつけてしまったり、といった事態になります。耳掃除は無理をせず、手前だけを掃除するようにしましょう。

耳垢栓塞って何?

 耳垢が外耳道に栓をしたように貯まってしまった状態を耳垢栓塞といいます。耳垢栓塞は湿性耳垢でなりやすく、欧米では60歳以上の高齢者の約3割に認めるという報告があります。乾性耳垢の多い日本では頻度は少ないですが、高齢者の1割弱に耳垢栓塞を認めます。

 耳垢栓塞になると耳の詰まった感じ、耳のかゆみ、違和感だけでなく、難聴、耳鳴、外耳炎も起こし、外耳道の骨が溶けてしまうような外耳道真珠腫という病気へ進行することもあります。とはいっても掃除のしすぎは逆に外耳道湿疹を起こしますので、上述した耳掃除の仕方で、自分の耳にあったお手入れをし、異常を感じたら耳鼻咽喉科を受診しましょう。

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