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良性発作性頭位めまい症

公開日:2017年7月 5日 12時58分
更新日:2019年2月 1日 19時25分

良性発作性頭位めまい症とは?

 良性発作性頭位めまい症とは、その名前の通り、発作的に突然、頭の位置を変えた時におこる良性のめまいのことです。生命の危険がなく、後遺症も残らず、治療をしなくても自然と軽快することも多く、ぐるぐるまわるようなめまいの原因として一番多いとされています。

 対して悪性頭位めまい症は小脳の出血や梗塞、腫瘍などによるめまいで、治療しないで放置すると生命にも危険が生じます。

 一見似たような症状を呈しますが、良性発作性頭位めまい症では、めまいを起こしやすい頭の位置を繰り返し取ることで症状がむしろ軽くなることが特徴です。

 また、眼振といって、めまいが起きている時に眼が揺れる状態が観察されますが、その揺れ方で良性か悪性かある程度判断できます。悪性では頭痛も伴うことが多い、眼振がしっかりでるわりには症状は弱い、などの特徴もいわれています。

 しかし、良性発作性頭位めまい症でも頭痛や吐き気が強くでる場合もありますので、その場合は画像診断が欠かせません。CTでは小脳の病変はわかりづらいことがあるので、MRIによる確認が必要です。

どうして目が回るの?

 耳の奥にある内耳には音を感じる「蝸牛(かぎゅう)」と頭の位置を感じる「前庭」があります。前庭は半規管と耳石器の二つに分けられます(図)。

図:耳の構造を示すイラスト
図:耳の構造

 半規管には前、後、外側の3つがあり、それぞれx軸、y軸、z軸のように90°の角度をなしており、各半規管面内での回転加速度を感受しています。蝸牛も前庭もリンパで満たされています(体全体を巡るリンパ系にあるリンパ液とは関係ありません)。頭が動くと半規管内にあるリンパが、コップの中の水が動くのと同じように動きます。半規管の中にはクプラというゼラチン状の物質があって、リンパの流れが起こるとクプラが傾き、その情報を脳へと伝えています。一方、耳石器には球形嚢と卵形嚢というものがあり、それぞれ垂直・水平面に近く位置し、その面内の直線加速度を感受しています。耳石器には炭酸カルシウムの結晶である耳石が多数くっついていて、半規管のクプラと同様に、リンパの流れや重力によって耳石が動いた情報を脳へ伝えています。前庭から頭の位置についての情報が伝わると、それにあわせて眼の動きや姿勢が自動的に調整されます。

 良性発作性頭位めまい症は耳石器にある耳石が剥がれ落ちて、半規管へ入り込むことによって起きると考えられています。頭部を打撲すると剥がれることがあり、女子サッカー選手の澤穂希選手がこのめまいになったのはヘディングの影響があったと考えられます。年をとると耳石は剥がれ落ちやすくなり、高齢者でこのめまいは急増します。中耳炎など他の耳の病気があってもなりやすく、繰り返すこともあります。半規管に入り込んだ耳石が、頭を動かした時に動くと、リンパの流れに乱れが生じます。このために頭を動かすとめまいがして、しばらくじっとしていると比較的すぐ収まるのです。

良発作性頭位めまい症の治療方法は?

 良性発作性頭位めまい症は特別治療をしなくても数日から2週間程度で軽快することが多いですが、中には難治性で1ヶ月以上症状が続く場合もあります。頭をわざとめまいのする方向へ動かすことがとても有効です。耳鼻咽喉科の診察で目の動きが確認できた場合には、理論的に邪魔にならない場所へ耳石を移動させるように頭を動かす処置を行うことがあります。手技を開発した医師の名前からエプリー法などと呼ばれていますが、エプリー法を行わなくても、めまいのする側に何度も寝返りをうったりすることで同様の効果を得られます。

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