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前立腺肥大症

前立腺肥大症とは

 前立腺は、男性にしかない臓器です。膀胱の出口に位置し、尿道を取り囲んで栗のような形と大きさをしており、精液を作ったり、精液を外へ出す役割をしています。尿は膀胱から前立腺の内部を通り、尿道から体の外へ排出されます。

 前立腺肥大症は、前立腺が大きく広がってしまうことでさまざまな機能に支障が出る病気です。前立腺が肥大すると図に示すように尿道が狭くなり、排尿することが困難になります。他には、頻尿や残尿感、夜間頻繁にトイレに行きたくなる、尿失禁、尿意切迫感(尿がしたくなると我慢できなくなる感じ)、尿漏れなどを引き起こすことがあります。

図:正常な前立腺と肥大した前立腺を示した図。肥大した前立腺により尿道が狭くなり、膀胱から尿が流れにくくなっている。

図:正常な前立腺と肥大した前立腺

画像:Copyright © alila / 123RF 写真素材

 前立腺肥大症の原因は加齢によるものが多く、70歳以上になるとおよそ70%の男性では、前立腺が肥大しているとされています。その中で治療を必要とする人は1/4くらいです。男性ホルモンが活発になると前立腺が肥大しやすくなることが分かっています。

 また、高齢化が続く日本では、加齢が原因となる前立腺肥大症にかかる患者さんの数は、年々増加しています。グラフに示すとおり、平成8年(1999年)以降の患者数の推移をみると、一時的に少なくなる時はありましたが、再び増加傾向となっています。

グラフ:厚生労働省による患者調査より平成8年から平成26年までの前立腺肥大症推計患者数の推移を示す棒グラフ。患者数は表の通り。

グラフ:前立腺肥大症 推計患者数の推移(厚生労働省 患者調査より作成)
表:前立腺肥大症 推計患者数の推移(厚生労働省 患者調査より作成)
平成8年 平成11年 平成14年 平成17年 平成20年 平成23年 平成26年
推計患者数(万人) 2.96 2.97 3.16 3.81 3.39 3.18 3.54

前立腺肥大症になったら

 診察をして前立腺の肥大がそれほど大きくなく自覚症状もない場合は、経過観察をします。生活に支障をきたすような自覚症状が出てくると、まずは内服薬による治療を行います。前立腺肥大の治療によく使用されているのは、自律神経をコントロールして排尿を促す薬です。副作用としては、ごく稀にたちくらみやふらつきの症状が現れることもあります。この薬は、前立腺の肥大を治すというよりは症状を和らげる薬であるため、服用を中止すると、悪化してしまいます。

 前立腺肥大症の原因として、男性ホルモンの増加との関係があり、男性ホルモンを抑える薬を処方されることもあります。しかし、この薬は効果が出るまでに時間がかかること、勃起しにくくなること、前立腺がんの発見を遅らせてしまうこと、肝臓にも影響を与える、というデメリットがあるため、使用期間は医師と相談してください。また、治療に漢方薬が使用されることもあります。

前立腺肥大症と前立腺がん

 前立腺肥大症が進行すると前立腺がんになると思っている人がいるかもしれませんが、それは誤解です。ただし、前立腺がんが原因で、前立腺が肥大することはあります。また、前立腺肥大症と前立腺がんを同時に発症することもあります。その場合は、「前立腺特異抗原(PSA)」という検査で確認することが出来ます。

PSA検査とは

 PSA(Prostate Specific Antigen(前立腺特異抗原:前立腺で作られるたんぱく質の一種))検査とは、血液検査で前立腺がんを見つける簡便な検査方法です。前立腺がんの腫瘍マーカーとして広く普及しています。

PSA値 判定の目安

  • 4ng/mL以下:正常

    定期的にPSA検査をして経過を見守ります。

  • 4.1~10ng/mL:グレーゾーン

    がん以外に前立腺肥大症など、前立腺の他の病気が含まれている可能性があります。

  • 10.1ng/mL以上:がんが疑われます

    高くなるほどがんの可能性が高くなります。

加齢とともに増える前立腺肥大症

 前立腺肥大症は、高齢になると誰でもかかる可能性のある病気です。最近、おしっこが出にくくなった、残尿感がある、おしっこの回数が増えた(頻尿)など、排出に関係する症状があれば、それは前立腺肥大症かもしれません。薬や手術によって、症状をやわらげたり、治療する方法がありますから、何か気になる症状があればかかりつけ医を受診して相談してください。

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