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介護保険の福祉用具:段差解消機

公開日:2019年2月13日 15時00分
更新日:2019年2月 1日 14時41分

段差解消機とは

 段差解消機とは、車いすに乗った状態で台の上に乗り、モータや油圧を使って段差に合わせて高さを変えて、段差を乗り越えるための装置です。主に、玄関での段差を乗り越えるために利用されます。

 一般的に、建物と地面との間に数センチから2メートル程度までの段差があった場合、階段を利用できない車いす使用者や高齢者のために、スロープを設置して対処します。しかし、スロープを設置するためには広い敷地が必要となり、一般住宅等の敷地が狭くスロープを設置する余裕がない場所では、うまく段差を乗り越えることができません。

 そこで、段差解消機を用いることで、この問題を解決します。また介助者も同乗可能な積載重量が200kgを越える大型の段差解消機や、本体の重量を軽くして容易に移動することができる移動式の段差解消機もあります。

 車椅子(車いす)を利用する上には、段差は無いことが望ましいのですが、段差解消機の台の高さを合わせるための工事が必要となる場合があります。

段差解消機の利用方法と注意点1)2)

 段差解消機の利用方法は、例えば、地面から玄関までの間に、数段の階段等がある場合、階段部分の一部を平坦にし、段差解消機を設置します。

 あるいは、玄関から家の中に上がるための段差の場合、玄関の中に段差解消機を設置し、車いすごと家の中に入ることができます。

 注意点としては、足を挟んでしまう可能性や、段差解消機の台座を高くした際に、後ろ側へ落ちてしまう可能性があることです。

足を挟んでしまう可能性

 「足を挟んでしまう可能性」は、玄関内の「上がりかまち」と呼ばれる部分があります。車いすごと段差解消機に載って、台を上昇させた時に、玄関の上り口にある「かまち」と呼ばれる凹みの部分に、足先が挟まってしまうことがあります(図1)。

図1:本体と上がりかまちの間に足先が挟まる可能性

後ろ側へ落ちてしまう可能性

 「後ろ側へ落ちてしまう可能性」は、車いすのブレーキのかけ忘れ、あるいはブレーキが外れてしまうことで起こり得ます(図2)。

図2:本体の上から後ろ側へ落ちてしまう可能性

 また、段差解消機は、設置するためのスペースを確保する工事が必要となる場合があります。

介護保険の利用3)4)

 段差解消機のうち、固定式でない移動式のタイプは、介護保険を利用することで1割又は、所得に応じて2割から3割負担でレンタルできます。段差解消機は、福祉用具の中でも「移動リフト」に分類されるため、要介護2以上の方は介護保険を利用した貸与ができますが、要支援の方、要介護1の方は、介護保険での貸与はできません。

 段差解消機は、購入すると20万円台のものから100万円を超えるものまで、さまざまな製品があります。駆動方法、全体のサイズ、昇降可能な高さなど、実際に利用する場所に見合った製品を選択すると良いでしょう。詳しくは、ケアマネジャーか、福祉用具貸与・販売事業所の福祉用具専門相談員に確認しましょう。

参考文献

  1. 公益財団法人テクノエイド協会福祉用具ヒヤリ・ハット事例 Case258:本体と上がりかまちの隙間に足が挟まり、ケガをしそうになる(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 公益財団法人テクノエイド協会 福祉用具ヒヤリ・ハット事例 Case85:段差解消機で昇降中に転落しそうになる(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 厚生労働省 社保審-介護給付費分科会 第141回参考資料1 福祉用具貸与(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 厚生労働省 平成30年度介護報酬改定における各サービス毎の改定事項について 7.居宅療養管理指導 P60-65(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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