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介護保険の福祉用具:移動用リフトのつり具部分

公開日:2019年2月13日 15時10分
更新日:2019年2月14日 12時59分

移動用リフトのつり具部分とは1)

 移動用リフトとは、被介護者である利用者が移動する際、体を包んで支えるつり具を吊るものですが、実際に利用者の体に接するのは、つり具の部分です。

移動用リフトのつり具部分の種類

 移動用リフトのつり具部分の種類は、3つあります。それぞれにメリット、デメリットがあり、一つのものを使うのではなく、使用状況に合わせて使い分けることが望ましいとされています。

両足の腿部分を別々に包む脚分離型

 両足の腿部分を別々に包む脚分離型は、ローバック型と呼ばれるタイプと、頭の部分まで回り込んで支持するハイバック型とに分かれています(図1)。

図1:脚分離型のつり具 画像出典:(公財)テクノエイド協会

体全体をつつみ込むシート型

 シート型は頭の部分まで回り込んで支持するハイバック型と、そうでないローバック型に分かれています(図2)。安定した姿勢で吊ることができますが、寝た状態からでないと装着が難しく、トイレでは使えないというデメリットがあります。

図2:シート型つり具 画像出典:(公財)テクノエイド協会

脇の下と、腿の下にかかる二つのバンドからなるセパレート型

 セパレート型はシート型と違い、トイレや入浴に適していますが、障害の適応範囲が狭いため、使用できる人が限られています(図3)。

図3:セパレート型つり具 画像出典:(公財)テクノエイド協会

つり具部分の選び方のポイント

 移動用リフトのつり具部分の選び方のポイントは、つり具が、小さいと吊ったときに体を圧迫し、逆に大きすぎると落下の危険があります。そのため、利用者の体格や身体状況に合ったものを選ぶ必要があります。リフトハンガーのサイズに合ったものであるかも併せて確認しましょう。利用者の状態だけでなく、スムーズにハンガーに掛けられるか、敷きこむ際の滑り具合等、介助者が使いやすいかどうかも大事な要素であります。

移動用リフトのつり具部分はどのような人が使えるのか

 移動用リフトのつり具部分は、だれでも購入することができますが、介護保険による払い戻しを受けられるのは、介護保険の対象となる人のみです。介護保険の対象者とは、65歳以上もしくは40歳以上で特定疾患などがあり、要介護認定を受けている人を指します。

介護保険とおおよその費用2)3)

 移動用リフトのつり具部分は特定福祉用具販売の対象用具です。

 要介護者が、自分の家で自立した日常生活を送れるように助ける用具を福祉用具といい、貸与による使用を基本としています。一方、他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が強い性質のものや、使用することで、もとの形態・品質が変化してしまい、再利用できないものなどは特定福祉用具販売の対象用具となり、購入して使用します。主に入浴や排泄に用いるもので、移動用リフトのつり具部分も特定福祉用具販売の一つです。

 移動用リフトのつり具部分の購入のしくみ(図4)は、利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割又は7割)が介護保険から払い戻されます(これを償還払いといいます)。例えば、1万円の腰掛便座を購入した場合、利用者の負担額は1,000円です。

 毎年4月1日から翌年3月末日までの1年間で購入できるのは10万円までで、利用者負担が1割の方の場合、最大で9万円が介護保険から給付されます。限度額を超えた部分は全額自己負担となるので注意が必要です。

図4:福祉用具購入費(支給限度額10万円)のうち保険給付(介護保険から給付)9割、負担1割であることを示す図。
図4:移動用リフトのつり具部分に対する介護保険の利用者負担額について(一割負担の場合)2)

参考文献

  1. 公益財団法人テクノエイド協会 介護保険給付福祉用具情報 購入5.移動用リフトのつり具の部分(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. どんなサービスがあるの? - 特定福祉用具販売 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会(第60回) 参考資料2 福祉用具・住宅改修(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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