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介護保険の福祉用具:入浴補助用具

公開日:2019年2月13日 15時40分
更新日:2019年2月21日 13時44分

福祉用具の入浴補助用具とは1)

 福祉用具の入浴補助用具とは、要介護者である高齢者の入浴を助けるためのものです。座位を保持したり、浴槽の出入りの補助をしたりするために利用します。

入浴補助用具のタイプ1)

 入浴補助用具は、主に4つのタイプがあり、使用者の要介護度や自宅の状況などに応じて選ぶことができます。

入浴用いす

 入浴用いすとしては、キャスターのないシャワーチェアー(図1)、キャスター付きのシャワーキャリー(図2)があります。

図1:シャワーチェアー(キャスターのない入浴用いす) 画像出典:(公財)テクノエイド協会
図2:シャワーキャリー(キャスター付きの入浴用いす) 画像出典:(公財)テクノエイド協会

入浴用いすの特徴

 入浴用いすは、背もたれの有無、座面の形状・材質などについては様々で、座面の中央部に窪みが付けられていたり、形を便座状にして、陰部が洗いやすいようになっているものもあります。キャスター付きのものは、浴室と脱衣場の段差が無ければ、他の場所で服を脱いで座ったままの状態で浴室まで入ることができます。

入浴用いすの選び方

 浴室の構造、浴槽の構造、入浴の方法、本人の希望などにより、それぞれに適したものを選びます。座位が保てない場合は「背もたれあり」のタイプを選択するとよいでしょう。また、座位の高さが利用者にとってふさわしい高さであるかどうか確認が必要です。

浴槽用手すり

 浴槽用てすりは、滑りやすい浴槽への出入りの際、掴まるための手すりです(図3)。浴槽の手前に設置して使用するもので、浴槽の縁をはさんで固定する構造になっています。

図3:浴室用の手すり 画像出典:(公財)テクノエイド協会

浴槽用手すりの選び方

 浴槽用てすりは、浴槽の縁が広すぎたり、強く締め付けるとへこむ材質の場合には、取り付けができないことがあります。また、取り付けできても不安定で危険な場合もあるので、購入前に浴槽の縁のサイズや材質の確認が必要です。

浴槽内いす・浴槽内すのこ・浴室内すのこ

 入浴補助用具には他にも、浴槽内で使用する「いす」や、浴槽内あるいは浴室内で使用する「すのこ」があります。

浴槽内いすの特徴

 浴槽台とも呼ばれる浴槽内いす(図4)は、浴槽が深すぎる場合に出入りを簡単にするためのものです。浴槽からの立ち上がりを容易にしてくれますが、肩までお湯につかれないことが多いようです。

図4:浴槽内いす 画像出典:(公財)テクノエイド協会
浴槽内いすの選び方

 浴槽内いすは、形状やサイズによっては、浴槽にいすが入らなかったり、合わなかったりすることがあります。使用する浴槽内部のサイズや形状を確認する必要があります。

浴槽内すのこの特徴

 浴槽内すのこ(図5)も同様に、浴槽の深さを調節するために浴槽内に入れるものです。いすよりも高さが低くなるため、いすのように「立ち上がりを容易にする」というよりも、「浴槽の中ですべりにくくする」という目的で使用されることが多いようです。

図5:浴槽内すのこ 画像出典:(公財)テクノエイド協会
浴槽内すのこの選び方

 浴槽内すのこは、浴槽内いすと同様に、購入前に使用する浴槽内部のサイズや形状を確認しましょう。

浴室内すのこの特徴

 浴室内すのこ(図6)は、脱衣場と浴室の段差をなくすためのものです。段差があると、浴室に入るときに危険があったり、浴室の外からシャワーキャリーなどに乗せたまま浴室に入ることが難しかったりするため、すのこを洗い場の床に据え置き、浴室への出入りをスムーズにすると良いでしょう。

図6:浴室内すのこ 画像出典:(公財)テクノエイド協会
浴室内すのこ選び方

 浴室内すのこで浴室全面に敷き詰めるタイプのものは、木製やイレクター製のものが多く、浴室の形状・面積に合わせて購入します。その点、いくつかに分割されている形状でないと、すのこの下が洗いにくいなどの問題が生じることがあります。

入浴台の特徴

 入浴台は、板の片側を浴槽の縁に掛け、反対側の脚を洗い場に立てて固定するもの(図7)です。バスボード(浴槽の両縁側に差し渡すボード:図8)もあり、腰かけて浴槽へ出入りするために使います。

図7:入浴台(洗い場に片方を立てるもの) 画像出典:(公財)テクノエイド協会
図8:入浴台(ボード状のもの) 画像出典:(公財)テクノエイド協会
入浴台の選び方

 入浴台の選び方として、外側の足が洗い場に立つ入浴台が、安定して使用できるかどうかしっかりと確認する必要があります。特に、浴室の床に「すのこ」を敷いている場合は、「すのこの隙間」がぐらつきの原因になります。

 また、いずれの場合でも、体重をかけて使用するため、浴槽の縁の幅や材質が適切か、しっかり安定するかどうかの確認が必要です。

入浴補助用具はどのような人が使えるのか

 入浴補助用具を助成なしで購入することは、誰でもできます。しかし、介護保険による助成は、介護保険の対象となる、65歳以上もしくは40歳以上で特定疾患などがあり、要介護認定を受けている方が利用できます。

介護保険とおおよその費用2)

 入浴補助用具は、他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が強いものであるため、介護保険を利用して「購入」して使用します。購入の際、一旦は全額を支払いますが、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割又は7割)が介護保険から払い戻されます。これを償還払いといいます。例えば、1万円の入浴補助用具を購入した場合、利用者の負担額は1,000円です。

 ただし、毎年4月1日から翌年3月末日までの1年間で購入できるのは10万円までで、利用者負担が1割の方の場合、最大で9万円が介護保険から給付されます。限度額を超えた部分は全額自己負担となります(図9)。

図9: 福祉用具購入費(支給限度額10万円)のうち保険給付(介護保険から給付)9割、負担1割であることを示す図。
図9:入浴補助用具に対する介護保険の利用者負担額(一割負担の場合)2)より抜粋

参考文献

  1. 公益財団法人テクノエイド協会 介護保険給付福祉用具情報 購入3.入浴補助用具(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. どんなサービスがあるの? - 特定福祉用具販売 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 厚生労働省 社会保障審議会 介護保険部会(第60回) 参考資料2 福祉用具・住宅改修(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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