健康長寿ネット

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行動体力

公開日:2016年7月25日 10時00分
更新日:2019年2月 1日 18時09分

行動体力とは

 体力とは、人間が生きて行動するにおいて、それを支える身体資源の総称のことです。広義にとらえた体力の定義は、「人間として生存、生活するための基礎的能力」とされ、大きく身体的要素と精神的要素の2つから構成されています。

 そしてさらに身体的要素は、「運動関連体力(行動体力)」と「防衛体力」(リンク1参照)とに分類されます。簡単にいうと、行動体力とは走、跳、投などに代表されるような積極的に身体活動を実行するための体力であり、健康を保つ為に行動を起こし、持続し、調節するために必要な体力でもあります。

トレーニングジムでダンベルアームカールを行っている高齢男性の写真。行動体力の中でも健康関連体力(全身持久力、筋力、柔軟性、ADL、身体組成)が健康を保つ上で極めて大切な体力であるとの認識から特に高齢者では筋持久力の向上を目指し、筋力トレーニングが推奨されていることを示す。

行動体力は3つに分類

 行動体力は<A健康関連体力>と<B行動を起こす能力>と<C行動を正確に行う力>に分類されます。

  • Aの健康関連体力は、「筋持久力」、「全身持久力」、「柔軟性」、「ADL」、「身体組成」に分類されます。
  • Bの行動起こす能力は、「筋力」、「パワー」、「瞬発力」に分類されます。
  • Cの行動を正確に行う力は、「敏捷性」、「平衡性」、「巧緻性(こうちせい:精巧で緻密なさま)」、に分類されます。

 ABCの各要因(機能)について、それぞれを評価するために体力測定項目が設定されています。

リンク1 「防衛体力」

健康関連体力の測定

 Aの<健康関連体力>は、長く運動を続けたり、ケガや障害をおこすことなく日常生活を送ることができる能力に関連します。全身持久力は冠動脈疾患発症率や死亡率などとの関連もみられ、まさに「元気で長生きするための体力」ともいえます。筋持久力評価は上体起こし(腹筋運動)などを、全身持久力評価は最大酸素摂取量を、柔軟性は体前屈などを測定します。そして、ADLはアンケート調査により、実際に日常の生活活動強度(量)がどのくらいであるかを推定します。身体組成は肥満度(BMI)や体脂肪率を測定すること、さらに脂肪以外の筋肉量(除脂肪体重)も算出します。

行動を起こす能力の測定

 Bの<行動を起こす能力>は、短時間にどれだけの力を発揮できるかを測定するものです。筋力の評価は握力、背筋力など、最大筋力の大きさを用いますが、これは筋の太さ、つまり横断面積に比例すると言われています。筋パワー、瞬発力の評価は垂直とび、脚伸展パワー、サイベックスなどで測定します。

行動を正確に行う力の測定

 Cの<行動を正確に行う力>が高い人では、球技など技術を要する運動に高い能力を示します。敏捷性は全身反応時間等を測、平衡性は開眼片足立ち、重心動揺などを、巧緻性はジグザグドリブルなどを測定します。

近年は特に健康関連体力を重要視

 行動体力の中でも近年は特にAの健康関連体力(全身持久力、筋力、柔軟性、ADL、身体組成)が健康を保つ上で極めて大切な体力であるとの認識から重要視されています。

 高齢者においてはQOL(生活の質)を低下させるとの点から、転倒・介護予防のために筋力の重要性が見直され、器具を使ったものから自重を使ったものまで、様々な筋力トレーニングが勧められていますが、これらは瞬発的な最大筋力を増やすことよりも、筋持久力の向上を目指し、負荷のある運動を繰り返し長く続けられることを目標にしています。

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