CGA新ガイドラインにみる個別化医療・ケアの実践
公開日:2026年1月16日 10時00分
更新日:2026年1月16日 10時00分
秋下 雅弘(あきした まさひろ)
東京都健康長寿医療センター理事長 兼センター長
こちらの記事は下記より転載しました。
高齢者は、複数の疾患や老年症候群を有する場合も多く、慢性疾患の罹患や併存に伴い、治癒を目指すことは次第に難しくなる。こうした病状に伴い、生活・人生の質(QOL)が損なわれるだけでなく、QOLの低下自体が症状改善の阻害につながる、という悪循環に陥りやすい。そのため、疾病を含めた高齢者の全体像を適切に把握し、QOLの維持・改善に向けて多職種協働により取り組む必要がある。
こうした全体像把握のために実施されるのが、日常生活活動度(ADL)、手段的ADL、認知機能、気分・意欲・QOL、療養環境や社会的背景等を構成成分とした高齢者総合機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)である。
CGAは英国でその礎が誕生して100年近い歴史を有する概念であり、超高齢社会を迎えたわが国では、CGAによる包括的・全人的な評価と、それに基づいた診療とケアの推進が不可欠である。わが国におけるCGAガイドラインは、2003年に『高齢者総合的機能評価ガイドライン』(鳥羽研二監修、厚生科学研究所)が発刊されて以降20年以上、改訂や新たなガイドラインの作成は行われていない。
CGAおよび各要素の評価指標は、高齢者の経過予測に役立つが、これらは単に現状評価や予後予測に使うことが目的ではない。高齢者の状態に最適な診療やケアを考案する、つまり個別化した医療・ケアの提供のために利用するのが本来の目的であり、その点を明確にするため、ガイドラインの名称は『高齢者総合機能評価(CGA)に基づく診療・ケアガイドライン2024』(長寿医療研究開発費「高齢者総合機能評価(CGA)ガイドラインの作成研究」研究班、日本老年医学会、国立長寿医療研究センター編、南山堂)とし、2024年6月に発表、出版された。
その後、ガイドラインの概要は4編の英文論文としてGeriatrics & Gerontology International誌に特別号(フリーアクセス)として掲載されるとともに、現場向けの指針として『高齢者総合機能評価(CGA)ガイドブック』も作成された。現在はガイドラインもガイドブックも
に一般公開されている。
本特集では、このガイドラインの骨子を簡潔に説明するとともに、現場向けにわかりやすく解説いただいた。明日からの診療・ケアにぜひとも活かしていただきたい。
筆者

- 秋下 雅弘(あきした まさひろ)
- 東京都健康長寿医療センター理事長 兼センター長
- 略歴
- 1985年:東京大学医学部卒業、2000年:杏林大学医学部高齢医学講師、2002年:同助教授、2004年:東京大学大学院医学系研究科加齢医学助教授(2007年准教授に職名変更)、2013年:同教授、2024年:東京都健康長寿医療センターセンター長、2025年:同理事長(センター長兼務)
- 専門分野
- 老年医学、老年薬学、性差医学
- 過去の掲載記事
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