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乳がん末期

乳がん末期の症状

 乳がん末期とは、がんが乳房以外の他の臓器にまで転移している状態のことを言います。乳がんを発症してから末期に至るまでの間には、乳房の痛みやしこり、腋窩リンパ節の腫脹など、いくつか特徴的な症状が見られます。しかし乳がんは、早い段階から転移しやすいという特徴があり、症状が自覚できる頃には、既にがんが転移を起こして末期の状態になっているというケースもあるのです。

 乳がんの末期になると、多くの場合、耐え難い痛みに悩まされるようになります。増殖したがん組織に炎症や潰瘍が発生することによって生じる痛みのほか、がん治療のために行った乳房切除術に関連した疼痛、がんが転移した臓器を障害することによって生じる疼痛などがあります。

 さらに、痛みだけでなく強い疲労感や倦怠感、発熱などの症状を呈することもあります。

 乳がんの末期には、がんが転移した先の臓器が機能不全に陥り、様々な症状が表れるようになります。乳がんは骨や肺、肝臓、リンパ節などに転移しやすいがんですが、例えば骨に転移した場合は、転移した部位に激しい痛みが生じます。また、骨がもろくなってしまうため、ちょっとしたことで骨折を起こしやすくなります。

乳がん末期における診断

 通常の乳がんの検査は、医師による乳房の視触診、マンモグラフィ、超音波検査の3つを組み合わせて行うことが基本となります。これらの検査では、がんの大きさや浸潤の程度を判断することができますが、より診断の精度を上げるためには造影剤を用いてCTやMRIを行います。これらはがんの広がりの程度だけでなく、リンパ節や肺、肝臓などへの転移の有無も確認することができます。骨シンチグラフィでは骨転移の有無や程度を確認します。

 血液検査からは腫瘍マーカーの値や炎症反応の有無、貧血の状態などが診断に用いられます。

乳がん末期の治療

 乳がんの治療には、手術によるがんの切除、化学療法、放射線治療などがあります。乳がん末期の状態では、既に全身にがんが転移した状態なので、全てのがんを手術で切除することは困難です。そのため、ホルモン剤や抗がん剤を使う化学療法で全身のがんの進行を遅らせるための治療を行います。

 がん末期においては、さまざまな臓器に転移したがんが、転移先の臓器の機能を低下させることで多彩な症状引き起こします。これらを抑制する目的で転移した部位への放射線療法や、それぞれの症状に応じて外科的な手術で対応することもあります。

乳がん末期の予後、ケア

 乳がん末期の状態ともいえるステージⅣの方の5年生存率は30~40%程度です。この数字は他のがんと比べて高い割合であり、乳がんは比較的治療効果が表れやすいがんであると言えます。がん末期の状態で完全な治癒が難しい場合でも、症状を抑えながらがんと長く付き合っていくことも可能になりつつあります。しかしながら、70人に1人の割合で、乳がんで命を落とす女性がいるということもまた事実1)であり、乳がんが油断はできない病気であることには変わりがありません。

 乳がん末期のケアは、痛みや苦痛を取り除くための緩和ケアが中心となります。乳がんの末期には転移による様々な全身症状や激しい痛み、倦怠感などが出現しやすく、こうした辛い症状が続くことで精神的にも不安定になりがちです。緩和ケアではがん末期の精神的・肉体的な苦痛を開放し、穏やかに生活を送ることができるような支援が行われます。緩和ケアを上手に利用することで残された人生を前向きに、自分らしく送ることができるようになるでしょう。

参考文献

  1. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」最新がん統計(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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