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食道がん末期

食道がん末期の症状

 食道がんは早期の場合、ほとんどが無症状ですが、がんの進行に伴って食べ物の飲み込みづらさや、食べ物が胸につかえるような感じが自覚されるようになります。がんによって食道の圧迫がさらに進むと、固形物はおろか、水さえも食道を通らなくなってしまいます。そのため食道がんでは低栄養をきたしやすく、体重減少を起こすようになります。

 さらに、がんが進行するにつれて、周囲の大動脈や神経、肺などに対して、圧迫や穿孔を起こすようになるので、背中の痛みや声のかすれといった症状もみられるようになります。食道がん末期になると、食道のすぐそばにある気道や肺にも影響が及ぶため、肺炎や膿胸、胸水を起こすこともあります。

 食道がんの末期には、多くの場合、リンパ節や肺、肝臓、骨、脳などにがん転移がみられます。がんの末期では転移した臓器の機能も著しく障害されてしまうため、それぞれの臓器に特有の症状を呈するようになります。例えばリンパ節への転移ではリンパ節の腫脹や痛み、肺への転移では肺炎や胸の痛みなどの症状がみられるようになります。

食道がん末期における診断

 食道がんの進行の程度や、がんの周囲の臓器への広がりを確認するためにはCTやMRI、超音波内視鏡、気管支内視鏡などを用いた検査を行います。

 がんのリンパ節への転移を調べるためには、首や腹部の超音波検査が用いられます。食道がん末期の多臓器への転移の有無や転移の広がりを確認するためには、胸部X線や腹部の超音波、骨シンチなどでそれぞれの臓器を検査します。

食道がん末期の治療

 食道がんの治療には、がんの切除、放射線治療、化学療法、光線力学療法があります。しかし、末期の食道がんの場合、既に他の臓器にもがんが転移した状態であるため、治療によって全てのがんを取り除くことは困難です。そのためがんの完治を目指すというよりは、がんの進行を遅らせる目的で放射線治療や抗がん剤による治療を行うケースが多いようです。

 がん自体への治療効果が見込めないほど進行している場合には、がんの治療よりも、がんがもたらす様々な症状を軽減させることに焦点が当てられます。例えば食道の狭窄に対してステントの挿入やバイパス形成を行ったり、胃瘻を作って栄養を直接胃に送り込めるようにしたりといった、対処的な治療を中心に行っていくようになります。

 また、がんが転移した臓器ががん細胞によって侵されることで生じる様々な症状に対しても個別に対処していきます。

食道がん末期の予後・ケア

 食道がん末期の状態であるステージⅣの方の5年生存率は10%前後と言われています。この数値は他のがんと比べても低い数値であるため、食道がんは予後不良ながんであると言えるでしょう。

 食道がんは、既にがん末期であると判明した時点で余命宣告を受ける方がほとんどです。そのため、残りの人生をどのように自分らしく生きていくかについて、家族や医師とも十分に話し合っておくことが大切です。

 通常の場合、食道がん末期では会話や食事が困難になるばかりでなく、呼吸状態の悪化や強い疼痛などもみられるようになります。そのため、がん末期の精神的・肉体的苦痛を取り除くための緩和ケアは非常に重要なものとなります。
緩和ケア専門家の手を借りてがん末期の苦痛を開放することは、ご本人やご家族のQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)を高め、残された人生を自分らしく歩んでいくことにもつながるでしょう。

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