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サルコペニアの原因

サルコペニアの分類

 サルコペニアは高齢者にみられることが多いですが、若年者でもみられることがあります。サルコペニアは、加齢によって起こるものとそれ以外の原因から起こるものとで一次性サルコペニア(加齢性サルコペニア)と二次性サルコペニアとに分けることができます(表)。

 加齢以外の原因で起こる二次性サルコペニアは、活動に関連するもの、疾患に関連するもの、栄養に関連するものに分類されます。活動に関連するものは寝たきりや運動不足など、活動性の低下が原因で起こり、疾患に関連するものは心臓や肺などの疾患やリウマチや膠原病、悪性腫瘍、感染症、内分泌疾患などによって起こります。栄養に関係するものはエネルギーやたんぱく質の摂取不足、吸収不良などで低栄養を起こすことによるサルコペニアです1)

表:原因によるサルコペニアの分類  引用:1)
大分類小分類原因
一次性サルコペニア 加齢性サルコペニア 加齢以外に明らかな原因がないもの
二次性サルコペニア 活動に関連するサルコペニア 寝たきり、不活発なスタイル、(生活)失調や無重力状態が原因となり得るもの
疾患に関連するサルコペニア 重症臓器不全(心臓・肺・肝臓・腎臓・脳)、炎症性疾患、悪性腫瘍や内分泌疾患に付随するもの
栄養に関係するサルコペニア 吸収不良、消化管疾患、および食欲不振を起こす薬剤使用などに伴う、摂取エネルギーおよび/またはタンパク質の摂取量不足に起因するもの

 若年者の場合は、怪我や病気などで食事の量が減り、安静にしていた期間があったとしても、筋肉量の低下や筋力低下は一時的なものに過ぎず、徐々に活動性を増やしていくことで元の日常生活が送れるようになります。

 しかし、高齢者の場合は、活動や疾患、栄養に関連するきっかけが何かひとつでも起こることで、身体機能や精神機能の低下につながり、日常生活の質が低下して介助を要する状態になることも少なくありません。

 加齢で起こる変化によって、機能低下を起こすスピードが速いうえ、機能低下が起こってから対策を行っても、なかなか元の状態へと戻りにくいことが影響しています。

サルコペニアのメカニズム

 サルコペニアの原因は、何か一つに特定できることもあれば、明確な原因が特定できない場合もあります。

 高齢者の場合は加齢や元々の体質、生活環境、生活習慣、慢性疾患など、以下に示すような複数の原因が絡み合ってサルコペニアが起こっていることがほとんどで、老年症候群のひとつとして捉えられています(図)。

図:サルコペニアのメカニズムのフローチャート図。加齢や元々の体質、生活環境、生活習慣、慢性疾患など複数の要因が絡み合ってサルコペニアを発症することを示す。図:サルコペニアのメカニズム  引用:1)
  • 運動の機会が減ることや閉じこもりによって活動性が低下すること
  • 筋肉のたんぱく質合成と分解作用に関わるコルチコステロイドや成長ホルモン(GH)、IGF-1(インスリン様成長因子)などのホルモンの機能低下や甲状腺機能異常、インスリン抵抗性が起こることによって、筋肉のたんぱく質合成が行われにくくなり、反対に筋肉の分解作用が亢進すること
  • 筋肉を動かすための指令を伝達する運動ニューロンの損失
  • 食欲の低下や口腔機能の低下による低栄養や、内臓機能の低下による栄養の吸収不良
  • 基礎疾患によって食欲不振や体重減少、筋肉量の減少などがみられる代謝異常によって衰弱した状態(カヘキシア)1)2)

※老年症候群:高齢者によくみられる転倒、骨折、認知機能障害、めまい、貧血、関節痛、腰痛、ADL低下、嚥下困難、尿失禁、せん妄、抑うつ、低栄養、難聴などの症状や徴候のことで、QOL(生活の質)の低下につながり、看護や介護を要する状態をもたらします(リンク1)。

リンク1 「老年症候群」

参考文献

  1. サルコペニア:定義と診断に関する欧州関連学会のコンセンサス―高齢者のサルコペニアに関する欧州ワーキンググループの報告―の監訳 厚生労働科学研究補助金(長寿科学総合研究事業)高齢者における加齢性筋肉減弱現象(サルコペニア)に関する予防対策確立のための包括的研究 研究班 日本老年医学会雑誌 2012;49:788-805
  2. がん悪液質の概念と最近の動向 日本緩和医療学会

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