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糖尿病性昏睡

公開日:2016年7月25日 15時00分
更新日:2019年6月20日 17時09分

糖尿病性昏睡とは

 糖尿病性昏睡とは、主に糖尿病に伴う高血糖が原因で起こる昏睡をいいます。糖尿病性昏睡には、主に1型糖尿病の方が起こす「糖尿病ケトアシドーシス」と、2型糖尿病の高齢者に起こりやすい「非ケトン性高浸透圧性昏睡」があります。

昏睡といってもある日突然昏睡状態となることは少なく、体のだるさやノドの異常な渇きなど、いくつかの初期症状を経て、徐々に進行していきます。

 昏睡状態は生命維持の危機状態となっているため、迅速に医療機関を受診し、救急による治療を要します。昏睡状態を脱しても、昏睡状態によって重篤な合併症を引き起こす恐れもあるため、十分な注意が必要です。

糖尿病性昏睡の症状

 糖尿病性昏睡は、異常な高血糖によって引き起こされます。初期症状としては、体のだるさや頭痛、腹痛やけいれんなどが起こりますが、進行すると高度の脱水状態となり、血圧が低下し、尿の減少や頻脈など、生命に危険が及び、最終的には意識を消失し、昏睡状態となってしまいます。

 一方で高齢者の場合、糖尿病の進行によって神経機能が低下し、症状を自覚できずにある時突然倒れてしまう、ということもありえます。

糖尿病性昏睡の原因

 糖尿病性昏睡は、本来正常値内でコントロールされなくてはいけない血糖値が、コントロールするホルモンであるインスリンの絶対的な不足や作用不足などによって異常に高くなってしまうことにより、発症します。

 本来、血糖値は食後でも126mg/dl以下ですが、昏睡状態となった方の血糖値を測ってみると、簡易測定器ではエラーとなってしまうことが多く、採血の結果血糖値が四桁にもなっていた、という例も少なくありません。

 特に治療にてインスリン注射を行っている人が、風邪などで食欲が低下し、自己判断で注射を中止してしまうと、それがきっかけとなって急激な血糖上昇が起こり、昏睡状態となってしまうというケースもあります。

 また、非ケトン性高浸透圧性昏睡の場合は、加齢に伴ってノドの渇きを感じにくくなることで、飲水量が低下し、脱水状態となることで発症することもあります。

糖尿病性昏睡の治療

 糖尿病性昏睡の場合は、医療機関への迅速な受診が鉄則です。

 昏睡は高度の脱水によって引き起こされているため、点滴によって体内へ水分を送るとともに、インスリンを持続的に注射し、血糖値のコントロールを行います。このとき、通常行われている皮下への注射ではなく、直接点滴にてインスリンの投与を行います。

 点滴治療と同時に、合併症が起こっていないかどうか、特に心臓機能の低下による心不全や、心臓の血管が詰まることで発症する心筋梗塞の発症リスクが高くなるため、モニターでの管理が必要となります。

 特に高齢者の場合は、糖尿病の他にも持病を持っていることが多く、合併症を発症するリスクが高いため、慎重な観察が重要となります。

糖尿病性昏睡の予後・看護

 糖尿病性昏睡は、発症時高度の脱水状態となっています。ただでさえ糖尿病にて血管がもろくなっているところに、さらに脱水により血管を痛めつけてしまうため、様々な合併症を引き起こしやすくなります。

 特に注意しなくてはいけないのが、「脳梗塞」や「心筋梗塞」といった、生命に直結するような重篤な合併症です。これらは糖尿病の合併症としてもよく知られている病気ですが、糖尿病性昏睡となった場合はこの発症率は飛躍的に上がるため、これらの症状の兆候が起きていないか注意深く観察する必要があります。

 また他にも、心臓や腎臓の機能が低下する「心不全」や「腎不全」なども起こるリスクがあります。

 昏睡より軽快した場合は、再び高血糖による昏睡とならないよう、食事や薬の管理方法について再考する必要があります。特に高齢者の場合は、認知力の低下などにより一人では管理が困難となっている場合もあるため、家族や周囲の方へ協力を依頼するか、一人で身よりがない場合はクリニックや介護施設での注射は可能かどうか、確認する必要があります。

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