健康長寿ネット

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訪問リハビリテーションとは

公開日:2019年2月12日 14時40分
更新日:2023年12月28日 13時01分

訪問リハビリテーションとは1)2)

 訪問リハビリテーションとは、病院、診療所、介護老人保健施設の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が利用者の自宅を訪問し、心身の機能の維持・回復、日常生活の自立を支援するために、理学療法、作業療法等のリハビリテーションを行うサービスです。また、介護する家族へのアドバイス・相談も行います。

 訪問リハビリテーションは、在宅生活において日常生活の自立と社会参加を目的として提供されるサービスです。病院やリハビリテーション施設への通院が困難な場合、退院・退所後の日常生活に不安がある場合など、主治医により訪問リハビリの必要性が認められた場合にサービスを受けることができます。

 通所リハビリテーションと違う点は、実際の生活環境に添った訓練ができること、利用者本人がリラックスして行えることです3)

訪問リハビリテーションの対象者

 訪問リハビリテーションの対象者は、要介護1以上の方で、主治医が以下のような場合で訪問リハビリテーションの必要性を認めた場合となります。

 なお、要支援の方は、「介護予防訪問リハビリテーション」のサービスが受けられます。

訪問リハビリテーションの利用者の状態例

 訪問リハビリテーションの必要性のある状態は以下のようなものがあります。

  • 筋力が低下して歩くことに不安がある。
  • 手の動きが悪くなってきた。
  • 言葉がはっきり出せずに会話に支障が出ている。
  • 日常生活に対して不安な部分がある。
  • 食べ物にむせるようになった。
  • 麻痺や拘縮がある。
  • どんなリハビリを行えばよいかわからない。
  • 体の動きが悪く好きなことが行えない。
  • 福祉用具の使い方がわからない。
※ 拘縮(こうしゅく):
拘縮(こうしゅく)とは、けがや病気などにより長時間体を動かしていない状態が続くことで関節が硬くなり、動きが悪くなる状態のことを指します。脳梗塞による片麻痺でも起こります。

訪問リハビリテーションを利用するには

 訪問リハビリテーションは、介護保険のほか、医療保険でも利用することができます。原則として要介護認定を受けている方は介護保険が優先です。しかし、65歳未満や65歳以上でまだ要介護認定を受けていない方は医療保険で利用します。

 介護保険で訪問リハビリテーションを利用する場合は、主治医に訪問リハビリテーションを利用したい旨を伝え、訪問リハビリテーションの指示書を3ヵ月に1回、主治医より発行してもらいます。ただし、医療保険で利用する場合には、1ヵ月に1回の発行が必要です。その際、ケアマネジャーに相談し、ケアマネジャーから主治医に依頼してもらう方法もあります。

 次に、理学療法士等がリハビリテーション実施計画書を作成し、このリハビリテーション実施計画書に基づき理学療法士等からリハビリテーションを受けます。

 また、このリハビリテーション実施計画書は、実施した訪問リハビリテーションの効果や実施方法等についての評価を踏まえ、医師の医学的判断に基づき、定期的に見直しが行われます。一部の地域では、かかりつけ医から訪問リハビリテーションの事業所へ診療情報書が提出され、事業所のリハビリテーション担当医師が診療し、リハビリテーションの指示・処方するところもあります。

訪問リハビリテーションのサービス内容4)

 訪問リハビリテーションを利用すると、次のようなリハビリテーションを受けることができます。

  • 歩行、寝返り、起き上がり、立ち上がり、座るなどの機能訓練
  • 麻痺や褥瘡解消のためのマッサージ
  • 食事、排泄、着替えなどの生活動作訓練
  • 福祉用具の活用方法のアドバイス
  • 住宅改修のアドバイス
  • 言語機能、嚥下機能の訓練
  • ご家族へ介助方法の指導

 訪問リハビリテーションでは、寝返りなどの体位交換、起き上がりや座る訓練、立ち上がり訓練、歩行訓練、嚥下訓練(えんげ:物を飲み込む)、関節の変形拘縮の改善、排泄動作訓練等を行います。

 またこれら動作について日常生活での工夫、介助や介護の方法を家族に指導します。また、在宅で必要な福祉用具や住宅改造についてのアドバイスもします。

 訪問リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士がいる医療機関等特定の施設が対応していますので、詳しくは、主治医やケアマネジャー等にお問い合わせください。

訪問リハビリテーションの1回20分当たりの自己負担額(1割の場合)の目安1)5)

 訪問リハビリテーションの利用料の目安は1回20分、週に6回限度とし、1割負担の場合の自己負担額は292円です(表)。利用負担は原則1割ですが、一定以上の所得のある者の場合は2割又は3割負担となります。

表:訪問リハビリテーションの自己負担額(1割の場合)
事業所の種別自己負担額
病院又は診療所 1回につき292円
介護老人保健施設1回につき292円
介護医療院1回につき292円

 事業所と同一敷地内または隣接する建物に居住する人の場合、自己負担額×90%(10%減算)、ただし同一敷地内または隣接する建物に居住する利用者の人数が1か月あたり50人以上の場合は自己負担額×85%(15%減算)となります。また、上記以外の範囲に所在する建物に居住する人で、その建物に居住する利用者の人数が一か月あたり20人以上の場合は、自己負担額×90%(10%減算)です。

 また、基本サービス費のほかに、短期集中リハビリを受けた場合等では、加算された費用となります。またサービス提供者によって、料金は異なります。

訪問リハビリテーションの事業所の職員体制2)

 訪問リハビリテーションとしての医師の配置は規定されていませんが、訪問リハビリテーションは、病院、診療所、介護老人保健施設がサービスの提供を行うため、運営上、医師の関与が前提とされています。

 また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は、適当数配置することとなっています。

参考文献

  1. 厚生労働省 令和元年度介護報酬改定について(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 厚生労働省 訪問リハビリテーション(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. 牛越博文監修:図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本. 講談社, 東京都, 2018年, P80,P81
  4. 江田章江ほか編:困りごとから探せる介護サービス利用法[改訂版], 社会福祉法人東京都社会福祉協議会, 東京都, 2017年, P79
  5. 厚生労働省 介護報酬(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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