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園芸療法の健康効果とは

公開日:2016年7月25日 14時00分
更新日:2019年2月 1日 16時34分

園芸療法とは

 園芸療法とは、植物を育てることによって身体、精神、知能、社会的に良い効果をもたらしたり、損なわれた機能を回復することを目的として行われます。日本では1990年代初めから「Horticultural Therapy」や「園芸療法」として一般的に知られるようになってきました。園芸療法では土の香りや芽吹いたばかりの緑、成長を待ちわびる気持ちなど、美しいもの、自然のものに触れ、五感が刺激されることによって心に癒やしが得られます。日常生活の中で自然と「園芸」として取り入れている人も少なくないと思われます。

園芸療法の健康効果

園芸を楽しむ高齢夫婦を表すイラスト。園芸療法とは、様々な疾患や障害に対する健康法の一つで、植物を育てることによって身体、精神、知能、社会的に良い効果をもたらしたり、損なわれた機能を回復することを目的として行われています。

 園芸療法は様々な疾患や障害に対する健康法の一つに位置づけられています。現在、園芸療法の取り組みは知的障害、精神障害、身体障害をもっている方、加齢により日常生活に困難を来たしている方、更正を必要としている方、薬物依存などで社会生活に支障を来たしている方などを対象に、施設・病院・在宅で行われています。

 園芸作業では、歩く、座る、立ち上がる、たがやす、掘る、水をまく、草をとる、収穫する、運搬する、洗うなどの数多くの動作を必要とするため、身体面でも運動能力や体力の維持増進に効果が期待できます。精神面でも、満足感や達成感、気分転換やストレス発散、思考力や想像力の向上、記憶力の改善など、あらゆる効果が期待できます。本来の自然な生活のように園芸を行う中で身体面、精神面に良い影響があることが報告されています。今後園芸療法がさらに様々な疾患や障害に対する健康法として広がっていくことが予想されます。

園芸療法の実施方法、プログラム1)

 園芸療法のプログラムはその人の状態や能力によって異なり、園芸活動の産物を収穫したり飾ったり、調理して食べたり、他の人に分けたり売ったりと多岐にわたります。

 園芸療法は以下の手順で行います。

園芸療法の手順

  1. 園芸療法の処方から初期評価
  2. 目標設定
  3. プログラムの計画と実施
  4. 対象者の観察と記録
  5. 園芸療法の評価

1. 園芸療法の処方から初期評価

 対象者の状態に合わせ、園芸療法が適しているかどうかを判断する必要があります。通常園芸療法は、本人や家族の希望、医師からの処方によって開始されます。そのため園芸療法の実施の有無とプログラムを計画する上で初期評価が大切になります。

2. 目標設定

 対象者が園芸療法を行う目的と目標を設定します。ADLの改善・回復や、運動機能の維持、QOLの向上などがあります。対象者の状態に合わせて、「水やりをしながら1分間立位を保つこと」など、長期目標と短期目標を組み合わせて考えます。そうすることで対象者の意欲にもつながります。

3. プログラムの計画と実施

 園芸療法は集団で行うグループプログラムと指導者がマンツーマンで関わる個別プログラムに分けられます。対象者の障害度や認知度、社会性などを考慮してプログラムを計画します。

4. 対象者の観察と記録

 園芸療法を行う中で、対象者の表情、気分、意識、動作、態度、他者との交流などについてスタッフは観察を行います。観察内容は療法記録として残し、文字や数字での記録のほか、写真など視覚的に記録しておくことも可能です。

5. 園芸療法の評価

 園芸療法では3ヶ月に1回程度、園芸療法の評価と振り返りを行います。評価をすることで、園芸療法の効果や目標の達成度について確認し、必要があればプログラムの再検討をします。

園芸療法はどこでできるか

 園芸療法を実施するためには、介護の基本を取得しており、かつ園芸と医療、福祉などの知識や経験が必要となります。1973年にアメリカ園芸療法協会(AHTA)が設立され、園芸療法士の資格が創設されました。日本では2004年にNPO法人日本園芸療法研修会によって、園芸療法の学び・実践を表す資格として「園芸療法スーパーバイザー」、「園芸療法コーディネータ」、「園芸療法サブコーディネータ」などの認定制度が始まりました。

 園芸療法を受ける側では、介護施設や高齢者施設で取り入れているところがあります。詳しくは各施設に直接問い合わせてみるか、または日本園芸療法研究会に問い合わせてみるとよいでしょう(リンク1参照)。

リンク1:NPO法人日本園芸療法研修会(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

参考文献

  1. 田崎史江 園芸療法 バイオメカニズム学会誌 2006 30(2) 59-65

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