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虚血性大腸炎

公開日:2017年6月30日 09時05分
更新日:2019年2月 1日 18時59分

虚血性大腸炎とは

 虚血性大腸炎とは、何らかの原因で大腸への血液の流れが悪くなり、循環障害が起こることによって生じる病気です。

 高齢者に多い病気ですが、若年者にも起こります。男女差はありません。便秘が関係していることもあります。高血圧、糖尿病などの動脈硬化と関係している病気を持っていることが危険因子とされています。

虚血性大腸炎の症状

 虚血性大腸炎の典型的な症状は、急に強い腹痛(多くは左下腹部痛)が起こります。冷や汗や悪心(おしん:吐き気)、嘔吐を認めることもあります。その後、便意を催しトイレにいき下痢を数回しますが、だんだん血性の下痢になってきます。

 似たような症状を起こす病気に薬物性腸炎、感染性腸炎、大腸憩室炎、潰瘍性大腸炎、クローン病などがあり、これらの病気を除外する必要があります。

虚血性大腸炎の診断

 虚血性大腸炎の診断をつけるために血液検査や内視鏡検査を行います。

 血液検査では白血球やCRPという炎症が生じた時に上昇する所見を認めますが、この病気に特徴的なものではありません。注腸(大腸のバリウム検査)や大腸の内視鏡検査を行うことにより特徴的な所見を得ることができます。

 最も診断に有効なものは内視鏡検査で、大腸に区域性(多くは大腸の左側にあたるS状結腸から下行結腸の部分)に特徴的な粘膜のむくみ、発赤やびらん(タダレ)、潰瘍を認めれば診断は可能です。

虚血性大腸炎の分類

 病気の臨床経過により一過性型(約65%)、狭窄(きょうさく)型(約25%)、壊疽(えそ)型(約10%)に分類します。

 一過性型とは、一時的なもので安静や点滴などによって治るものです。狭窄型とは、潰瘍がなおる過程で腸が狭くなり便の通過が悪くなる例で、壊疽(えそ)型とは大腸への血流が回復せず腸管が腐る例を言います。

虚血性大腸炎の治療

 虚血性大腸炎の治療は、一過性型や狭窄型は原則として保存的治療を選択します。腸管の安静のため絶食にして補液や抗生物質の投与を行います。

 一過性型は、約1週間程度の治療にて軽快します。

 壊疽(えそ)型では症状が急速に進行し、腹膜炎などを併発し重篤(じゅうとく:症状が非常に重いこと)になるので緊急手術を行います。

 狭窄型では、狭窄が高度で腹痛、下痢などの症状が長期間とれない場合には外科的手術を行うこともあります。このため虚血性大腸炎に罹患(りかん:病気にかかること)した方は、退院後に狭窄が生じていないかを確認する必要があることもあります。

虚血性大腸炎の予後

 頻度の少ない壊疽(えそ)型は死亡率が50%位あり生命の危険がありますが、病気の大半を占める一過性型や狭窄型は生命の危険は少なく比較的再発も少ない病気です。

 退院後に注意する点は、便秘が引き金になったと考えられる方は排便のコントロールを、また高血圧、糖尿病などが合併している方はこの治療を持続する必要があります。

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