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在宅医療・介護連携推進事業とは

公開日:2019年2月13日 08時30分
更新日:2019年2月13日 13時35分

在宅医療・介護連携推進事業とは1)

 超高齢社会にある日本では、今後65歳以上高齢者のうち、「認知症高齢者の日常生活自立度」Ⅱ以上の高齢者が増加していくことが懸念されています。また、世帯主が65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくことが予測されています。そのため、介護や医療を受ける人の割合が増加していくことが考えられている一方で、現状では、訪問診療を提供している医療機関の数も十分とは言えず、また、連携も十分には取れていません。

 在宅医療・介護連携推進事業とは、このような背景を踏まえて、医療と介護の両方を必要とする状態の高齢者が、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、地域における医療・介護の関係機関が連携して、包括的かつ継続的な在宅医療・介護を一体的に提供することができるように、都道府県あるいは保健所の支援の下、市区町村が中心となって、地域の医師会等と緊密に連携しながら、地域の関係機関の連携体制の構築を推進することをいいます(図1)。

図1:在宅医療・介護連携推進事業では市区町村が中心となって、地域の医師会等と緊密に連携しながら、地域の関係機関の連携体制の構築を推進していることを表現している図。
図1:在宅医療・介護連携推進事業のイメージ1)

 在宅医療を支える関係機関には、次のようなものがあります。

  • 定期的な訪問診療などを実施する診療所・在宅療養支援診療所・歯科診療所等
  • 急変時の診療や一時的な入院の受入れを行う病院・在宅療養支援病院・診療所(有床診療所)等
  • 医療機関と連携して服薬管理や点滴・褥瘡処置などの医療処置や看取りケアの実施を行う訪問看護事業所、薬局
  • 入浴、排泄、食事等の介護を実施する介護サービス事業所

 2015年度から、実施可能な市町村では先行して実施されており、2018年4月にはすべての市区町村で実施されるようになりました。

在宅医療・介護連携推進事業の内容(取り組み例)1)

 在宅医療・介護連携推進事業の内容は、8つに細分化されています。

地域の医療・介護の資源の把握

 1つ目は地域の医療・介護の資源の把握です。地域の医療機関の分布、医療機能を把握してリスト・マップ化し、必要に応じて、連携に有用な項目(在宅医療の取り組み状況、医師の相談対応が可能な日時等)を調査して、結果を関係者間で共有しています。

在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討

 2つ目は在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討です。地域の医療・介護関係者等が参画する会議を開催し、在宅医療・介護連携の取り組みの現状を把握し、課題の抽出、対応策を検討します。

切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進

 3つ目は切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進です。地域の医療・介護関係者の協力を得ながら、在宅医療・介護サービスの提供体制の構築を推進していきます。

医療・介護関係者の情報共有の支援

 4つ目は医療・介護関係者の情報共有の支援です。情報共有シート、地域連携パス等を活用して、医療・介護関係者の情報共有を支援します。これは在宅での看取り、急変時の情報共有にも活用していきます。

在宅医療・介護連携に関する相談支援

 5つ目は在宅医療・介護連携に関する相談支援です。医療・介護関係者の連携を支援するコーディネーターの配置等による、在宅医療・介護連携に関する相談窓口の設置・運営によって、連携の取り組みを支援していきます。

医療・介護関係者の研修

 6つ目は医療・介護関係者の研修です。地域の医療・介護関係者がグループワーク等を通じて、多職種連携の実際を習得するとともに、介護職を対象とした医療関連の研修会を開催していきます。

地域住民への普及啓発

 7つ目は地域住民への普及啓発です。地域住民を対象にしたシンポジウムの開催や、パンフレット、チラシ、区報、HP等を活用して、在宅医療・介護サービスに関する普及啓発を行います。また、在宅での看取りについての講演会の開催もしています。

在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携

 8つ目は在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携となります。同一の二次医療圏※1内にある市区町村や隣接する市区町村等が連携して、 広域連携が必要な事項について協議します。

 以上の取り組みを、市区町村が医療・介護の関係機関・関係団体等と協力して実施すること、とされています。

※1 二次医療圏とは:
二次医療圏とは、日本では現在、医療に対する考え方として、入院を必要とするほどではない「一次医療」、入院治療が必要な「二次医療」、入院および救命処置等が必要な「三次医療」という考え方で、医療機関の役割が決められ、整備が進められており、それぞれに対応する医療機関がカバーできる範囲を「医療圏」としています。「医療圏」は、都道府県ごとに決められていますが、おおよその目安としては、一次医療圏は市町村ごと、二次医療圏は隣接する複数の市区町村ごと、三次医療圏は都道府県全体で1つ、となっていることが多いようです(都道府県により三次医療圏が3つあるところもあります)。「同一の二次医療圏内にある市区町村」とは、都道府県の中でいくつかに分けられている「二次医療圏」のうち、同じ二次医療圏に含まれる複数の市区町村」を意味しています。

参考文献

  1. 在宅医療・介護連携推進事業について, 厚生労働省老健局老人保健課(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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