健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

転倒とサルコペニア

転倒は事故ですか? いいえ、身体機能低下の結果です!

高齢男性が転倒する様子を表すイラスト。転倒は、歩行やバランス障害、筋力低下といった身体虚弱が原因です。50歳を超えた頃から通常の低下以上に筋力が低下する状態をサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)と言います。

 65歳を超えると3人に1人が、年に1回以上転倒するという統計があります。グラフ1に示すように転倒は特に75歳から急激に上昇し、この転倒が増加する75歳ごろより、足の付け根の骨折(大腿骨頚部骨折)も急激に増えてきます。

 転倒は、コードや段差につまずくなどの「偶発の環境要因」が30%ほど関係していますが、17%ほどは「歩行やバランス障害、筋力低下」といった身体虚弱が原因となっています。したがって、転倒は「骨折」や「外傷性脳出血」などの原因にもなりますが、「筋力低下」や「バランス障害」などの結果、転倒が生じるとも言えます。

グラフ1:女性の年齢別の大腿骨頚部骨折数と転倒率を示した複合折れ線グラフ(NevittMC(1992)とHo Sc(1993)から作成)。転倒は特に65歳から急激に上昇し、75歳ごろより大腿骨頚部骨折が急激に増えてくることを示している。

グラフ1:女性の年齢別の大腿骨頚部骨折数と転倒率

加齢に伴う筋力の低下

 加齢に伴い、誰でも筋力が落ちてきて、足腰のだるさを経験します。

 グラフ2は握力の低下を示していますが、下肢の筋力も同様に加齢とともに低下し、握力と相関すると言われます。50歳を超えた頃から、男性では年平均0.43Kg、女性では0.23Kgずつ低下し、通常の低下以上に筋力が低下してしまう状態をサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)と言います。

グラフ2:年齢別・性別の握力の推移を示す折れ線グラフ。平成24年度文部科学省統計の体力・運動能力調査より引用。

グラフ2:年齢別・性別の握力の推移

リンク1「運動機能の老化」

サルコペニアとはどんな状態か?

 サルコペニアとは「加齢に伴って生じる骨格筋量と骨格筋力の低下」と定義されています。さらに、「身体能力」の低下を含めて3段階に区分すると、単なる「筋肉量」の低下だけのプレサルコペニア、「筋肉量」の低下に「筋力」または歩行速度などの「身体能力」の低下がみられるサルコペニア、そして、「筋肉量」も「筋力」も「身体能力」も低下した重症サルコペニアになります。

筋肉量の測定方法

 「手足の筋肉の量」を正確に測定するためには、病院に設置されているCTやMRI、骨密度検査などの検査を受けなければなりませんでした。しかし、簡易的に体の中の電気抵抗を測定することにより、家庭用の体重計でも「筋肉量」を推計することができるようになりました。筋肉量減少の評価値は測定機器によって異なりますが、通常は健康な若年年代の平均値から標準偏差の2倍未満の値を目安としています。骨密度検査による日本人男性では6.87Kg/m2を、日本人女性では5.46Kg/m2を境界値とし、体重計では独自のアルゴリズムで計算していますので、説明書を参照ください。

筋力の測定

 転倒に関係すると考えられる歩行や身体機能は上肢より下肢の筋力との関連性が高いと考えられますが、下肢の筋力を正確に測定するためには、特殊な機械が必要となりますので、簡便的に握力を測定します。握力としては、男性で25Kg、女性で20Kgを筋力低下の目安としています。

身体能力の測定

 身体能力としては、通常歩行速度や6分間歩行テスト、階段駆け上がりパワーテストや総合的に身体能力を測定する簡易身体能力検査(バランス、歩行、強さ、持久力)などがあります。一般には、歩行速度が目安になります。若年男性の平均歩行速度は1.5~1.6m/秒で、0.8m/秒以下になると、身体能力の低下と考えられます。横断歩道は1m/秒の速度で渡りきれるように設計されているので、横断歩道を一信号で渡りきれなくなるようなら要注意となります。

サルコペニアの実態と予防対策

 実際に、サルコペニアであると考えられる人は、60~70歳で5~13%、80歳を超えると11~50%に及びます。筋量を維持、増進していくためには運動と適切なアミノ酸補給がポイントとなります。さらに、ビタミンDなどを補充することも重要です。

このページについてご意見をお聞かせください

関連記事