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平衡機能検査と重心動揺計

公開日:2016年7月25日 03時00分
更新日:2019年2月 1日 15時53分

平衡機能検査の目的・意義

 重心動揺計による重心動揺測定はめまいや平衡機能障害を診断することを目的に行われます。直立姿勢時に現れる身体の揺れを重心の揺れとして捉えます。平衡機能の維持に働く視覚、三半規管、脊髄固有反射系および、これらを制御する中枢神経系の機能の異常について検査をすることができます。重心動揺計があれば、服を脱いだりすることなく、いつも通りの状態で楽に測定することができます。

 通常、直立姿勢では身体には微少な揺れが生じています。倒れそうになる身体(偏倚:へんい)を元に戻そうとする立ち直り反射があるため、偏倚と立ち直り反射を繰り返しながら姿勢を保持しています(姿勢制御システム)。しかし、加齢に伴い姿勢制御システムの機能が低下すると、直立姿勢時の重心動揺に影響を及ぼします。重心動揺が大きくなると転倒のリスクも高くなります。

 1994年には保険診療適用となり、臨床検査として一般診療に利用されるようになりました。医療機関でめまい、平衡機能障害の診断に用いられるほか、リハビリテーション、体育・スポーツ医学の分野でも広く活用されています。

平衡機能検査の方法

  1. 靴を脱いで測定台の中心と足底の中心を合わせて直立します(写真)。足を合わせて直立することが困難な場合は、直立できる程度で足を開き、両足の間隔を記録しておきます。
  2. 開眼測定では、目の高さに設定した2m前方の目標物を見たまま行います。閉眼測定では、目標物を見た後そのままの位置で目を閉じます。
  3. 両手は体側につけ、上半身を楽な姿勢で直立します。
  4. 口は軽く閉じます。
  5. 台に立ったり、目を閉じることで生じる過渡的な動揺が消失するまで5~8秒程度待ち、その後記録を開始します。
  6. 最初は開眼で行い、終了後に椅子に座って休憩をとったあと、閉眼測定を行います。
  7. 測定中、測定者は被測定者が転倒しないように注意をしておきます。
  8. 測定は基本的に60秒で行いますが、子どもや高齢者など60秒の直立が困難な場合は、30秒またはそれ以下の時間を選びます。3~5分程度で測定は終わります。
写真:重心動揺計による測定の様子
写真:重心動揺計による重心動揺の測定(引用:竹井機器工業株式会社)

平衡機能検査で使用する重心動揺計

 重心動揺計は、足圧中心が姿勢制御時にどのくらい移動するかを記録・分析します。姿勢制御の記録はcm単位、X軸とY軸の座標に動揺図として示されます。動揺の軌跡を線でつないだ総距離や面積で数値化することができ、年齢や性別を入力すると重心動揺計に組み込まれたソフトが自動で評価をしてくれます。

 しかし、現在は重心動揺検査の国際的な基準は統一されていません。また重心動揺計はJIS規格を取得した精度の高い検査機器ですが、制度化はされていないためJIS規格ではない精度の粗悪な機器も流通しています。そのため日本耳鼻咽喉科学会や日本めまい平行医学会ではJIS規格の重心動揺計を使うことを推奨しています。医療施設や体育施設等で重心動揺計を使用する際にはどのような機器であるかを注意して見てみると良いかもしれません。

平衡機能検査の評価

 重心動揺計で測定した場合、測定結果は重心動揺の軌跡が線で示され、線の長さ(軌跡長)やその面積によって評価されます(図)。

図:重心の軌跡を示す図
図:重心の軌跡
(今岡ら 重心動揺検査における健常者データの集計(1997)より引用)

測定はどこでできるか

 末梢前庭系の疾患を扱う耳鼻咽喉科、中枢性疾患を取り扱う脳神経外科、神経内科、その他の平衡障害を有する疾患を扱う一般内科、循環器内科等で診療の一環で測定が行われることがあります。めまいや平衡感覚に違和感がある場合は、これらの医療機関の各科を受診することをおすすめします。

 ほかにも、リハビリテーションやスポーツを行う際の評価としても使われるため体育施設やリハビリテーションを行う施設に設置してあることがあります。しかし、測定精度が低い機器が設置されていることがあるため、信頼できる医療機関を受診すると良いでしょう。

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