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運動負荷試験

公開日:2016年7月25日 17時00分
更新日:2019年2月 1日 16時35分

運動負荷試験とは

 運動負荷試験とは、運動中の心拍応答や心電図を観察することで、対象者がどの程度の運動強度まで運動を行うことができるかを評価します。つまり、運動耐容能や全身持久力、有酸素能力をみるためのテストです。

 対象者が運動ができる限界まで行い、運動耐容能を評価する最大負荷と、限界までは行わず、ある程度の負荷から計算によって運動耐容能を算出する方法があります。最大または最大下負荷の元で運動を継続し、運動中や運動前後の心電図や血圧、呼吸の状態を観察します。体力測定としてだけでなく、虚血性心疾患や不整脈の診断に用いられることもあります。

※運動耐容能:
運動耐容能とは、その人がどれくらいまでの運動に耐えられるかの限界を指します。

運動負荷試験の目的・意義

 運動負荷試験の主な目的は、対象者の運動時の心肺機能を評価することです。運動負荷試験では、「新体力テスト」などの相対評価ではなく、絶対評価として対象者の運動耐容能や全身持久力を把握することができます。また運動負荷試験を行うことで、対象者が安全に運動を行えるか否かの判断や、体力を高めるための適切な運動強度を設定するのに役立てることができます。対象者がより安全に効果的に運動を行うために実施する体力測定の一つといえます。

運動負荷試験の種類

 運動負荷試験は主に自転車エルゴメータ、トレッドミルでの実施がほとんどです。

自転車エルゴメータ

運動負荷試験の種類の自転車こぎ運動をする自転車エルゴメーターの写真。運動負荷試験とは運動中の心拍応答や心電図を観察し対象者の運動耐容能や全身持久力、有酸素能力をみるための試験。運動時の心肺機能を評価する目的とする。

 自転車エルゴメータは、自転車こぎ運動をすることで評価をする器具です。自転車エルゴメータの長所は、肥満や膝痛など整形外科的疾患リスクを有する人でも比較的安全に行えることや、転倒の危険性が少ないことが挙げられます。またペダルの重さで負荷を大きくする方法が、1段階負荷法(一定負荷を一定時間運動する)、多段階漸増負荷法(階段状に徐々に負荷が上がる)、直線的漸増負荷法(直線的に負荷が徐々に上がる)の多種類の中から選択することができます。

トレッドミル

運動負荷試験の種類の回転するベルトの上を歩いたり走ったりするトレッドミルの写真。

 トレッドミルは、回転するベルトの上を歩くまたは走ることで評価をする器具です。トレッドミルの場合、ベルトの回転速度(スピード)を上げたり傾斜を大きくすることで運動負荷を高めます。トレッドミルの長所として、対象者の最大負荷まで行いやすいことや歩行・走行運動という普段の慣れた運動で行えることが挙げられます。

 しかし、トレッドミルの場合は、自転車エルゴメータのように運動量を定量化することができないため、スピードや傾斜角度の増加を対象者に合わせてうまく組み合わせる必要があります。また転倒の危険があるため安全バーの設置や傍に補助者がついていることが求められます。

運動負荷試験の手順

 運動負荷試験を受ける前に、対象者の体調を調べます。冠動脈性の心疾患や合併症のリスクがある人などは運動負荷試験を受けることはできません。

また、対象者の服薬状況(薬の種類、服薬の時間など)も確認します。例えば高血圧の治療薬として用いられるβ遮断薬は、心拍応答が抑制され運動中でも心拍数が上がりにくくなるため、心拍数のみでの評価は不適切となります。

 運動負荷試験では、まず対象者は指定された部位に心電図パッドを貼り付け、分析者が運動前の心拍数と呼吸状態を確認します。確認後、対象者は運動負荷試験に用いるトレッドミルや自転車エルゴメータを軽い負荷から始めます。時間が進むにしたがってスピードや負荷が大きくなります。

 運動負荷試験の運動は、対象者が体調不良や運動の継続が困難と感じた場合、または負荷テストの結果が得られた時点で終了となります。運動後も心拍数と呼吸の状態はしばらくの間モニタリングされます。

運動負荷試験はどこで受けられるか

 運動負荷試験は、人間ドッグなどの健康診断の一環や、あいち健康の森健康科学総合センターのような健康づくりや生活習慣病予防を主眼に取り組んでいる施設で実施されています。各都道府県で健康づくりの基幹となるセンターや病院に問い合わせてみてください。

参考文献

  • 日本体力医学会体力化学編集委員会:運動処方の指針 原書第8版 運動負荷試験と運動プログラム,南江堂,東京都,2011

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