健康長寿ネット

健康長寿ネットは高齢期を前向きに生活するための情報を提供し、健康長寿社会の発展を目的に作られた公益財団法人長寿科学振興財団が運営しているウェブサイトです。

心拍数・脈拍数

心拍数には健康状態に関する有用な情報が含まれています

心拍数とは1分間に心臓が拍動する回数が心拍数です。一方、脈拍数とは手足の動脈が1分間に拍動する回数のことですが、健常な方では心拍数と一致します。成人の安静時の心拍数は通常65から80の間です。

この心拍数には、実は健康状態に関する有用な情報が含まれているのです。

交感神経と副交感神経

 心臓の動きは、自分の意志とは無関係に自律神経の働きによって調整されています。自律神経には、交感神経と副交感神経の2種あり、このうち交感神経は身体の働きを活性化させますが、副交感神経は逆にリラックスさせます。そして、一方の神経の働きが高まるともう一方の働きが低下するという関係があります。

 心拍数に関しては、交感神経が高まると速くなり、一方、副交感神経が優位になると少なくなります。身体を動かすと心拍数は増加しますが、これは交感神経の働きが活性化したためです。一方、運動をやめると心拍数が低下するのは、副交感神経の働きが高まるためです。

安静時の心拍数は自律神経評価の指標

 この自律神経の働きは、ストレスによっても大きく影響されます。緊張した場合、胸がドキドキするのは、交感神経の働きが高まったためです。

 一時的なストレスではなく、職場や人間関係の影響などによる慢性的なストレスにさらされた場合になると、交感神経系は常に高まった状態になります。その結果、安静時の心拍数は高めになります。

 多くの人を長期にわたり観察した研究によると、安静時の心拍数が高めの人では低めの方に比べて死亡率が高かったことが報告されていますが、この原因として、慢性的なストレス暴露が交感神経の働きを高め、それが健康状態に悪影響を及ぼしたことが一因と考えられます。

 このように安静時の心拍数は、自律神経の状態を評価するうえで有用な指標でもあるのです。

適度な運動は健康長寿の条件

 ところで、安静時において副交感神経の働きが高くなるような状態にする確実な方法の一つがウォーキング、ジョギング、サイクリングなどの有酸素運動(リンク1参照)です。運動中は交感神経の働きが高まりますが、定期的に運動をつづけると安静時は副交感神経が活性化され、結果として心拍数が低めになります(除脈傾向)。

 定期的な運動習慣を有することは長寿の方にほぼ共通してみられる生活習慣ですが、運動により安静時の副交感神経の機能が安定し、心身ともリラックスしているためかもしれません。このような観点からも、健康長寿のためには、運動習慣を有することが欠かせない条件であると思われます。

リンク1 「有酸素運動」

 ただ、運動実施中はどうしても交感神経の働きが高まってしまいます。運動の強度があまり高くなりすぎると、心拍数や血圧が高くなりすぎてしまい、心臓に対する負担が高まります。特に、心臓病などの持病がある方では、心血管系の事故の危険も高まるので望ましいことではありません。無理せず長続きする運動が自律神経を安定させるために望まれるところです。

参考文献

  1. Palatini P, et al. Arch Intern Med 159:585,1999.

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