健康長寿ネット

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作業療法

公開日:2016年7月25日 22時00分
更新日:2019年5月29日 10時11分

作業療法とは

 作業療法とは、身体的、精神的、社会的、職業的な諸機能の回復を最大限に図り、自立した生活ができる能力を取り戻すために、具体的には木工、革細工、陶芸、手芸、織物、タイプ、園芸、音楽、絵画、農耕などの作業活動を用いて治療、訓練、指導および援助を行うものです。

 作業療法では、治療目標によって同じ作業活動でも使い分けます。

作業療法の種類

1.機能的作業療法

 機能的作業療法では、作業活動を通じて、実際の生活に必要な筋力、関節可動域を改善させたり、座位および立位の安定性をよくしたり、麻痺した筋肉の協調性を改善させたり、上肢巧緻機能(こうち:精巧で緻密なこと)の向上を目指すものです。

 また感覚機能などの維持・改善をはかると共にスムーズな動きや全般的な体力や耐久性の獲得などを行います。

  1. 関節可動域訓練

     関節可動域訓練には、革細工での木槌の把持(はじ:かたく握り持つこと)したりやペグボードの利用したり、サンディングボードを用いたリーチ訓練などを用いて関節可動域を改善させます。

  2. 筋力増強訓練

     筋力が弱い場合、スケーターボード、ポータブルスプリングバランサーなどを用いて代償しながら筋力強化を図ります。

     また生活の場では、本のページめくり、パソコン操作、食事・書字などの机上の動作を行いながら弱い筋力をきたえていきます。筋力が抵抗運動を行える程度であれば、のこぎり引き、金工などを行ったり、寝返り、起きあがり、移乗動作など日常生活動作の中で実用的な筋力の獲得を図ります。

  3. ファシリテーションテクニック、協調性訓練

     巧緻性訓練は、個々の筋に対する随意的なコントロールおよび多数の筋による円滑な運動である協調運動の障害に対する訓練の総称で、たとえば脳血管障害(リンク1・2・3参照)に対するブルンストローム法では、固有受容刺激を利用し、連合反応の誘発、共同運動の獲得の課程から随意運動を引き出すテクニックです。

  4. 片手動作訓練、利き手交換

     利き手に障害を持つ場合、箸(はし)の使用や書字などの、利き手を交換するための訓練を行います。

     具体的には、箸を使って小豆つまみ、タッピング、書字訓練、木工、手芸、紙細工、箸操作、ネクタイ結び、家事動作などの日常生活活動場面での練習で片手操作の練習や利き手交換を行います。

リンク1 「脳血管障害の理学療法」

リンク2 「脳血管障害の作業療法」

リンク3 「脳血管障害の言語療法」

2.日常生活動作訓練

 食事、更衣、排泄などの身辺動作や家事動作について、その動作ができない原因を評価し、その人にあった適切なやり方を指導します。

3.心理面支持的作業療法

 長期入院や障害により、失われやすい精神活動や生活に対する意欲の維持・改善をはかると共に、不安を和らげたり、自信づけを行ったりします。

 具体的には、趣味活動、ゲーム性のある作業を通じて心理的・気晴らし的な効果を期待します。

4. 精神医学的作業療法

 精神医学的作業療法は、食事、更衣、排泄、入浴、炊事、洗濯、掃除などの日常生活活動を行ったり、木工、金工、手芸、陶芸、農耕、園芸、絵画、演芸、レクレーションを用いることにより、意欲を改善したり、対人関係の改善を図ったり、気分転換を図る療法です。

5. 手の装具の製作・適合

 残された機能だけではどうしても行えない動作がある場合には、その動作を可能にするために装具や自助具を作成し、できなかった日常生活動作を可能にします。

6.職業前評価および訓練

 職場復帰や就職に向けて、身体機能、作業能力、学習能力、注意力、問題解決能力、移動能力、コミュニケーション能力などを評価し、技能に見合った指導を行います。

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