健康長寿ネット

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若返りホルモンの増やし方

加齢によるホルモンの変化と身体的影響

 加齢に伴う変化として、さまざまなホルモンの分泌量変化があります。加齢により分泌量が変化するホルモンとしてよく知られているのが、成長ホルモンです。成長ホルモンの分泌量が低下すると、インスリン様成長因子の分泌量も低下します。高齢者が、糖代謝という機能において、若年者よりも働きが悪くなるのは、この影響も考えられます。

 また、甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺は、その体積は増量するものの、ホルモンの分泌量は低下します。さらに、高齢者は若年者に比べて浸透圧を調整するホルモンの分泌量が、夜間に低下するという特徴があります。これが、夜間の排尿行動、あるいは夜間頻尿に関係しているものと考えられます。

 さらに、男性ホルモンや女性ホルモンも、加齢により減少する代表的なホルモンです。男性ホルモン、女性ホルモンの分泌量が減少することによって、身体的に大きな影響を及ぼします。

 例えば、男性ホルモンが低下すると、性機能低下や筋力の低下などが見られるようになります。一方の女性ホルモンでは、体への影響としていわゆる「自律神経失調症」があり、ほてり、のぼせ、動悸、めまいといった症状がよく見られるようになります。女性ホルモンは骨形成にも関係しているため、骨量の低下から骨粗鬆症を引き起こすことがあります。

 男女ともに、ホルモン分泌量が低下することによって、骨吸収の低下、骨密度の低下による骨折、高脂血症の発症リスクの増加、それによる動脈硬化への進展、そして脳梗塞や心筋梗塞など、さまざまな病気へと発展するリスクが高くなります。

 その一方で、高齢になって上昇するホルモンもあります。成長ホルモンの分泌を抑制するソマトスタチンというホルモンです。加齢に伴いこのホルモンは唯一上昇し、成長ホルモンの分泌を抑制しています1)

男性・女性の更年期障害

 男性・女性のホルモンの分泌量が低下することによってみられるのが、更年期障害です。更年期障害とは、男女の性ホルモンの低下によってみられる自律神経失調症に似た症状が現れることをいいます。

 主な症状として、女性の閉経前に見られる身体的症状であるのぼせや顔の火照り、脈が速くなる、動悸や息切れ、異常な発汗、血圧の上下が激しくなる、耳鳴り、頭痛やめまいなどです。精神的な症状としては、興奮の亢進、イライラや不安感、うつ、不眠などが見られます。

 閉経後はこれらに加えてさらに、膀胱炎や尿失禁、腰や膝の関節痛、目やのどなどの粘膜の異常などの身体的症状が見られ、精神症状では無気力感などが見られるようになります。

 女性では約10年ほどの間で急激にホルモン量が低下するため、症状が強く現れるのですが、男性ではホルモン分泌量が徐々に低下するため、老化現象の一部として捉えられてしまい、更年期症状として捉えられにくいことが特徴です2)

男性ホルモンを増やす方法

 男性ホルモンを増やす方法として行われることが多いのが、ホルモンの補充療法です。男性ではテストテロンとDHEAを補充する療法が行われます。

 男性におけるテストステロン濃度の低下と、男女でのDHEA濃度の低下は、加齢とともに徐々に起きるため、どのレベルで補充療法を開始すべきなのか明確にはなっていません。また、大規模試験も実施されておらず、有効性と長期安全性に関する情報はまだほとんどありません。

 数か月の経過を見た小規模な研究では、テストステロンあるいはDHEA補充療法により、体脂肪の減少と筋肉量・筋力の増加、骨量の増加、糖・脂質代謝の改善、血管拡張作用、日常生活動作と気分の改善などが報告されているものがあります。しかしその一方で、効果がなかったとする報告も多数みられます。

 DHEAは欧米ではサプリメントとして薬局で入手できますが、日本では現在、認可されていません。

女性ホルモンを増やす方法

 女性ホルモンを増やす方法も、男性と同様に、ホルモン補充療法が用いられます。エストロゲンは、北米では約40%もの更年期~閉経後女性が使うポピュラーなホルモンですが、日本では2%程度の女性が使っているに過ぎません。エストロゲンは更年期障害の特効薬ですが、長期使用により子宮ガンや子宮筋腫などのリスクが約2倍に増加するため、子宮を摘出していない女性は、黄体ホルモン(プロゲスチン)を併用して、子宮ガンを回避する必要があります。

 また、高齢者を対象としたアメリカの大規模試験では、骨粗鬆症による骨折と大腸ガンの予防に有効であることが証明されたものの、期待された心筋梗塞や脳卒中、認知症の予防効果は認められず、乳ガンも20%程度増加しました(グラフ)。

グラフ:高齢女性を対象とした老年疾患発症に対するエストロゲン+プロゲスチン補充療法の効果を示す棒グラフ(米国の大規模試験Women's Health Initiativeのまとめ)
グラフ:高齢女性の老年疾患発症に対するエストロゲン+プロゲスチン補充療法の効果(米国の大規模試験Women's Health Initiativeのまとめ)

 したがって、高齢女性がエストロゲン補充療法を開始する場合は、通常の半量もしくは弱いエストロゲンを用いるべきだと考えられます。エストロゲン補充療法を希望する方は、主に産婦人科で行われている更年期外来を受診してから、処方を受けることになります。

参考文献

  1. 加齢による変化 ─内分泌代謝─ 獨協医科大学 内科学(内分泌代謝)(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 更年期障害 厚生労働省 eヘルスネット(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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