健康長寿ネット

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経管栄養法の手順

経管栄養法を行っている高齢者への看護

経管栄養法とは

 自分の口から食事を取れなくなった人に対し、鼻あるいか口から胃まで挿入されたチューブや、胃瘻(胃から皮膚までを専用のチューブで繋げる)を通じて、栄養剤を胃まで送る方法です。

 経管栄養法にはいくつかの方法があります。

  • 経鼻栄養法:鼻から挿入されたチューブを使う
  • 経口栄養法:口から挿入されたチューブを使う
  • 胃瘻による経管栄養法:胃瘻を通じて栄養剤を投与する

 これまで長い間、「長期的な栄養補給には胃瘻が最適」といわれてきました。例えば、認知症やそのほかの疾患により、口からの食事が難しくなった場合など、胃瘻を増設するのが一般的でした。

 しかしここ数年、第4の経管栄養法として、間歇的口腔食道経管栄養法が注目されています。これは、栄養剤を注入する度に、鼻または口からチューブを挿入し、注入終了後はチューブを抜去する方法です。しかし、表のようなメリットとデメリットがありますので、状況を的確に判断しながら、導入する必要があります。

表:間歇的口腔食道経管栄養法のメリットとデメリット
メリット デメリット
嚥下訓練を行う時に経鼻あるいは経管チューブが邪魔にならない 毎回、チューブを挿入するという、医療者側の手間がある
栄養剤投与の度にチューブを挿入すること自体が、嚥下訓練になる 口からチューブを飲む際の反射が強い人、チューブを舌で押し出してしまう人、噛んでしまうような人は、適応とならない

経管栄養法の必要物品

 ここでは、胃瘻からの経管栄養法について解説します。

必要物品

 次のものを準備します。

  • 注入用のボトル(ボトルとチューブがつながった製品もある)※ただし、半固形化栄養剤を使用するときは不要
  • 接続用チューブ(必要に応じて)
  • 栄養剤(指示のもの)
  • 白湯(指示の量)
  • 計量カップ(白湯を測る)
  • 注入用フックあるいはスタンド
  • 時計
  • ハサミ
  • 手袋(未滅菌で良い)
  • 聴診器
  • カテーテルチップタイプのシリンジ
  • 指示箋
  • チェックシート
  • 内服薬があれば、それを熔解するための小さなカップと白湯
  • 半固形化栄養剤を使用するときは加圧バッグ(PG加圧バッグ)

経管栄養法の手順

  1. 必要物品を用意する(栄養剤は保冷庫から出して室温に戻しておく)
  2. 声掛けをして、栄養剤注入を行うことに了解を得て、空腹感や嘔気などの有無についてを確認する
  3. 手洗いをして、手袋をする(未滅菌で良い)
  4. 注入用のボトルからのチューブにあるクレンメを閉じて、栄養剤をボトルへ注入する(図1)

    図1:栄養剤のボトル注入
    注意1)
    クレンメを開放したままで栄養剤を注入すると、チューブから流れ出てしまうため、注意が必要
    注意2)
    指示箋を確認し、必要な量の白湯で栄養剤を希釈するが、栄養剤の種類によってはそのまま使用するものがある
  1. 座位あるいは30度から60度程度の半座位に体位を整える
  2. 胃瘻のチューブ(ボタン型の場合はボタン部分)を確認する
  3. 胃瘻チューブの周囲を確認する
  4. ボトルからのチューブ内を、栄養剤で満たす
  5. 胃瘻チューブを開放し、空気抜き・胃内残量を確認する
  6. チューブ型カテーテルの場合、チューブが曲がっていないか、抜けていないかを確認する
  7. 胃瘻チューブの先端に注射器を接続し、注射器を引きながら胃の内容物がないか確認する(図2)

図2:胃瘻チューブの先端に接続した注射器
  1. 胃瘻カテーテルと接続

    A:チューブ型カテーテルではそのまま接続する

    B:ボタン型カテーテルでは、注入用専用連結カテーテルに変更して接続する

    ●半固形化栄養剤を使用する場合
    加圧バッグに半固形化栄養剤バッグをセットし、送気球で加圧バックの圧を150 mmHg ~300 mmHgに調整して加圧する
    ※300 mmHg でも滴下が確認できない時は注入を中止する
  2. 特に不快感などが無ければ、クレンメを開放し、注入を開始する
  3. 指示箋の指示に従い、滴下速度を調整する

    ※注入の速度の目安は、1時間に400ml程度(10秒間に20滴)程度が一般的だが、本人の状態や指示箋の内容によって調整する

  4. 注入開始後、瘻孔周囲からの漏れがないか確認する
  5. 注入後の状態を観察する:顔色、表情、呼吸状態、熱感、冷汗、悪心・嘔吐、息切れ、意識低下などの変化など
  6. 胃瘻部の観察:胃瘻周囲への栄養剤の漏れの有無を確認する
  7. 問題が無ければ、ボトルから白湯を流して、胃瘻チューブと接続チューブを外す
  8. 内服薬の投薬がある時は、白湯を使って溶解し、カテーテルチップを使って投与する
  9. 注入終了後、1時間程度様子を見て、問題が無ければ体位を戻す

    ※半固形化栄養剤を使用した場合は、注入終了後速やかに体位を戻しても良いとされている

  10. 記録を行う

胃瘻の手入れと医師への報告

 胃瘻の手入れは、毎日行います。特に長期にわたって栄養剤の注入を続けている人は、胃瘻の周囲が汚れやすくなります。感染予防の意味でも、清潔を保つように注意しましょう。

 実際には、微温湯をしみこませたガーゼで胃瘻周囲を丁寧にふき取り、胃瘻周囲を観察します。ただれやかぶれ、出血、痛み、できもの、膿などの排出を認めた場合は、医師への報告が必要になります。

 また、栄養剤を注入している時に次のことに気づいたら、早めに対応します。

  • 嘔気や嘔吐がある時:注入を止めて様子を見て、嘔気などが治まったらゆっくりと注入を再開する
  • 嘔気や嘔吐が治まらない時:主治医に報告する
  • 下痢がある場合:栄養剤の温度(常温)と注入速度に気を付ける
  • 栄養剤がスムーズに注入できない:チューブの屈曲・閉塞を確認する。問題がなければ胃瘻と接続チューブを外して滴下を確認し、カテーテルチップで胃瘻チューブから白湯を注入してみる。注入できれば胃瘻と接続チューブを再び接続し、注入を再開するが、カテーテルチップでも注入できない場合はすぐに主治医に相談する

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