健康長寿ネット

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カロリー制限と健康長寿の関連

カロリー制限とは1)

 カロリー制限とは、その字の通り、摂取するエネルギー(数値ではカロリーとして表わす)を制限することです。

 近年、中高年、特に中年の世代の間では、生活習慣病が増加し、大きな社会問題になっています。食生活の乱れや運動不足などによる肥満が、生活習慣病の大きな原因の一つであると言われています。

 ヒトを含む動物は、摂取した食事をエネルギーに変え、それを消費して活動します。摂取したエネルギーの方が消費するエネルギーより多ければ、余った分のエネルギーは体に体脂肪として蓄積されていき、その分体重は増加します。反対に、摂取したエネルギーの方が消費したエネルギーより少なければ、体重が減少します。

 そのため、肥満傾向の人が体重を減らそうと思ったら、運動して消費エネルギーを増やすか、食事を制限して摂取エネルギーを減らすかして、消費エネルギーが摂取エネルギーを上回るようにします(表1)。

表1:体重の増減と消費カロリー・摂取カロリーの関係
消費カロリー>摂取カロリー 体重減少
消費カロリー<摂取カロリー 体重増加
写真:摂取エネルギーを制限するために炭水化物の食パンの重さを計量器で測っている写真。糖質制限によりカロリーを減らすことをあらわしている

 摂取エネルギーを制限するためは、単純に食べる食事のカロリーを減らします。近年、糖質だけを制限する糖質制限ダイエットや脂質だけを制限する脂質制限ダイエットが流行っていますが、これまで日常、脂質や糖質を過剰に摂取していた場合などを除いて、特定の栄養素だけを制限する方法は、栄養バランスが崩れてしまう危険があります。脂質や糖質だけを制限する必要があるのであれば、かかりつけの医師のもとで栄養士の指導を受けながら行うことをおすすめします。

 また、必要以上に摂食量を減らして摂取エネルギーを制限してしまうと、食物の中に含まれる必要な栄養素が不足し、健康の面でかえってよくない可能性があります。まずは、表2から、自分が1日にどのくらいのエネルギーを必要としているのかを計算してみましょう。

表2:1日に必要なエネルギー概算値1)
活動別・標準体重1kgあたりの1日に必要なエネルギー
軽労働(デスクワークの多い事務員・技術者・管理職など) 25-30kcal
中労働(外歩きの多い営業マン・店員・工員など) 30-35kcal
重労働(農業/漁業従事者・建設作業員など) 35kcal-

1日に必要なエネルギー(kcal) =標準体重(kg) × 標準体重1kgあたりに必要なエネルギー

※ 標準体重 = 身長(m) × 身長(m) × 22

カロリー制限と健康長寿の関連2)3)

 近年、さまざまな老化の要因を抑えてくれる長寿遺伝子(サーチュイン遺伝子)の存在が明らかにされ、研究者の間で注目を集めています。

 この長寿遺伝子は、2000年にアメリカのマサチューセッツ工科大学の研究者が、酵母から発見しました。ヒトもみんなその遺伝子を持っていることも明らかになっています。

 この遺伝子は、細胞内でエネルギーを作り出すミトコンドリアを増やしたり、細胞内で古くなったミトコンドリアを新しくして細胞を若返らせたりするほか、体に有害な活性酸素を除去したり、動脈硬化や糖尿病などの病気を予防したりする働きがあります。

※正確にはエネルギーを身体が利用しやすい型に変換すること、ここではわかり易く「作る」としておきます。

 しかしながら、この長寿遺伝子は通常は眠った状態で、最初から機能しているわけではありません。いくつかの研究で、摂取するカロリーを制限することで、長寿遺伝子が活性化することが明らかになっています。ヒトでの研究では、7週間、必要なエネルギー量の25%のカロリーを制限することで、長寿遺伝子の働きが4.2倍~10倍に増加したことが示されました。

 さらに、摂取カロリーを制限して体重を制限することで、糖尿病や動脈硬化などの発症も防ぐことが出来ます。実際に、ウィスコンシン大学がヒトに近い種のアカゲザルを用いて行った研究では、食事のカロリーを制限したサルでは、自由に食事をしたサルよりも、加齢関連疾患(がん・心血管疾患・糖代謝異常)にかかっていないサルの割合が明らかに多いことが示されています(図1)3)

図1:カロリー制限群のサルは加齢関連疾患(がん・心血管疾患・糖代謝異常)にかかっていない割合が自由摂食群のサルよりも明らかに多いことをしめす図
図1:加齢関連疾患のないサルの個体の割合3)

 自由摂食群ではかなり若い時から加齢関連疾患(がん、心臓血管系病気、糖尿病)が増えてくる。

 中年(15-20歳位:ヒトでは45-60歳相当)では両群の違いは明瞭。

ダイエット・やせの健康長寿の影響3)

 それでは、誰もが食事の摂取カロリーを減らせばよいのでしょうか。

 高齢者の間では、肥満による生活習慣病の増加の問題に加えて、低栄養も問題になっています。低栄養で、栄養状態が良くないと、風邪をひきやすくなったり病気にかかりやすくなったりします。特に高齢者の場合は、栄養状態が良くないと体の抵抗力も著しく低下しますので、ちょっとした風邪をこじらせて肺炎になってしまうという場合も少なくありません。実際に肺炎による死亡者の数は年齢が上がるにつれて急増しています。そのため、痩せすぎている人の場合は、健康長寿のためには、摂取カロリーを制限するよりもむしろ増やした方が良い場合もあります。

 やせすぎで食事の量を増やした方が良いか、それとも食事のカロリーを制限したほうが良いのかを簡単に知るためには、BMI(体格指数)が指標になります。厚生労働省が定めた食事摂取基準でも、エネルギーの摂取量と消費量のバランスの維持を示す指標としてBMIが導入されるようになりました。

 BMIは「BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗」の式で計算でき、その数値で(極端に筋肉質の人を除き)肥満度を判定できます。BMIが18.5以上25未満が標準となり、18.5未満であればやせすぎているのでエネルギーの摂取量(食事の量)を増やす必要があり、25以上であれば肥満なのでエネルギーの摂取量(食事の量)を制限する必要があることになります(表3)。

表3:肥満度の判定基準(日本肥満学会)
BMI(数値の範囲)(肥満度)判定
<18.5 低体重
18.5≤BMI<25.0 普通体重
25.0≤BMI<30.0 肥満(1度)
30.0≤BMI<35.0 肥満(2度)
35.0≤BMI<40.0 肥満(3度)
40.0≤BMI 肥満(4度)

 BMIが高い場合は、カロリー制限により健康寿命を延ばすことが出来ますが、BMIが低い場合は、むしろ食事の量を増やした方が健康寿命を延ばすことにつながります。

 特に高齢者の場合は、基礎体力が低下してしまっているため、50歳以上はBMI20.0以上、70歳以上はBMI21.5以上が好ましいとされています。

参考文献

  1. 肥満と健康 e-ヘルスネット 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 教えて!ドクター 第4回 腹七分目で若返ろう カロリー制限が長寿遺伝子活性化 金沢医科大学病院(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. Dr. Gotoの老化研究所 健康長寿「摂取カロリーと老化」 順天堂大学大学院客員教授・東邦大学名誉教授 後藤佐多良(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 日本人の食事摂取基準 P6~7 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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