健康長寿ネット

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高齢者の食事摂取基準

公開日:2016年7月25日 07時00分
更新日:2020年12月23日 09時46分

日本人の食事摂取基準とは1)

 健康増進法に基づき、国民の健康の保持・増進を図るうえで摂取することが望ましいエネルギーと栄養素の量の基準を示すものです。使用期間は5年ごとで、現在使用されているものは食事摂取基準2020年版で令和2年度~令和6年度まで使用されます。

 対象とするのは健康な個人または健康な人を中心として構成される集団で、高血圧、脂質異常、高血糖、腎機能低下に関するリスクを有していても自立した日常生活であれば含まれます。

 エネルギーと栄養素の指標があり、エネルギーの指標はエネルギー摂取の過不足を回避する目的として設定されています。また栄養素に関しては、3つの目的から5つの指標で構成されています。

 栄養素の摂取不足を回避するための指標は推定平均必要量、推奨量、過剰摂取による健康障害の回避は耐容上限量、生活習慣病の予防には目標量が栄養素ごとに設定されています。

高齢者に必要な摂取カロリー

 エネルギーの摂取量及び消費量のバランスの維持を示す指標にBMIを使用します。目標とするBMIの範囲内に体重を設定し、肥満以外に、高齢者の場合には低栄養予防のためにも、エネルギーをしっかりと補います。

 高齢者に必要な摂取カロリーは表1、目標とするBMIの範囲は表2の通りです。

表1:推定エネルギー必要量(kcal/日)1)
性別男性女性
身体活動レベルⅠ(低い)Ⅱ(普通)Ⅲ(高い)Ⅰ(低い)Ⅱ(普通)Ⅲ(高い)
65~74歳 2,050 2,400 2,750 1,550 1,850 2,100
75歳以上 1,800 2,100 1,400 1,650
※身体活動レベル:
  • Ⅰ(低い):生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合。(75歳以上は、自宅にいてほとんど外出しない者、また、高齢者施設で自立に近い状態で過ごしている者にも適用できる値である。)
  • Ⅱ(普通):座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを含む場合。(75歳以上は、自立している者に相当する。)
  • Ⅲ(高い):移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
表2:目標とするBMIの範囲
年齢目標とするBMIの範囲
65~74歳 21.5~24.9
75歳以上 21.5~24.9

高齢者に必要な栄養素摂取量

 高齢者に必要な栄養素摂取量を考えるうえで、特に高齢者の場合は、たんぱく質が不足にならないように気を付けましょう。たんぱく質不足は低栄養を招きやすいため、1日3回の食事でたんぱく質豊富に含まれる肉や魚、大豆製品を取入れるとよいでしょう。また、食事だけでなく間食を取入れ、間食に牛乳・乳製品を摂るように心がけましょう。

 また、女性においては骨粗鬆症(こつそしょうしょう)予防のため、カルシウムの摂取は必要です。

 また、ビタミンや亜鉛などのミネラルの摂取は、皮膚の健康や免疫機能、体の調子を整えるうえで必要な栄養素です。日々の食事では、日本食の「一汁三菜」に代表されるバランスの良い食事メニューを心がけ、日々の食事から、1日に必要なエネルギーやたんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを補うようにしましょう。

炭水化物・たんぱく質、脂質、ミネラル、ビタミンの五大栄養素を表すイラスト。食事摂取基準は、1日の摂取カロリーと栄養素の摂取量の基準を示しています。エネルギーの摂取量及び消費量のバランスの維持を示す指標にBMIを使用しますが、肥満の他高齢者は、低栄養予防のエネルギー補給やカルシウムの摂取も大切です。

高齢者に1日に必要な3大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)の摂取量

 高齢者に1日に必要な3大栄養素(たんぱく質・脂質・炭水化物)の栄養摂取量は表3の通りです。

表3:3大栄養素の基準値1)
栄養素男性女性
65~74歳75歳以上65~74歳75歳以上
たんぱく質(g/日)a推奨量 60 60 50 50
脂質(%)目標量 20~30b 20~30b 20~30b 20~30b
飽和脂肪酸(%)目標量 7以下b 7以下b 7以下b 7以下b
n-6系脂肪酸(g/日)目安量 9 8 8 7
n-3系脂肪酸(g/日)目安量 2.2 2.1 2.0 1.8
炭水化物(%エネルギー)目標量 50~65b 50~65b 50~65b 50~65b
食物繊維(g/日)目標量 20以上 20以上 17以上 17以上
  1. 65歳以上の高齢者について、フレイル予防を目的とした量を定めることは難しいが、身長・体重が参照体位に比べて小さい者や、特に75歳以上であって加齢に伴い身体活動量が大きく低下した者など、必要エネルギー摂取量が低い者では、下限が推奨量を下回る場合があり得る。この場合でも、下限は推奨量以上とすることが望ましい。
  2. 範囲に関しては、おおむねの値を示したものであり、弾力的に運用すること。

高齢者に1日に必要なビタミンの栄養摂取量

 また、ビタミンには脂溶性ビタミン4種と水溶性ビタミン9種あります。

表4:ビタミンの基準値1)
ビタミンの種類栄養素男性女性
65~74歳75歳以上65~74歳75歳以上
脂溶性ビタミンビタミンA(㎍RAE/日)a推奨量 850 800 700 650
ビタミンD(㎍/日)目安量 8.5 8.5 8.5 8.5
ビタミンE(㎎/日)b目安量 7.0 6.5 6.5 6.5
ビタミンK(㎍/日)目安量 150 150 150 150
水溶性ビタミンビタミンB1(㎎/日)推奨量 1.3 1.2 1.1 0.9
ビタミンB2(㎎/日)推奨量 1.5 1.3 1.2 1.0
ビタミンB6(㎎/日)推奨量 1.4 1.4 1.1 1.1
ビタミンB12(㎍/日)推奨量 2.4 2.4 2.4 2.4
葉酸(㎍/日)推奨量 240 240 240 240
パントテン酸(㎎/日)目安量 6 6 5 5
ビオチン(㎍/日)目安量 50 50 50 50
ナイアシン(㎎NE/日)推奨量 14 13 11 10
ビタミンC(㎎/日)推奨量 100 100 100 100

 ビタミンAは2700(㎍RAE/日)、ビタミンDは100(㎍/日)、ビタミンEは65~74歳の男性850(㎎/日)、75歳以上の男性750(㎎/日)、女性650(㎎/日)、ナイアシンは65~74歳の男性300(㎎NE/日)(80)c、75歳以上の男性300(㎎NE/日)(75)c、65~74歳の女性250(㎎NE/日)(65)c、75歳以上の女性250(㎎NE/日)(60)c、ビタミンB6は男性50(㎎/日)、女性40(㎎/日)、葉酸は900(㎍/日)、の耐容上限量が設定されています。サプリメントや健康食品の過剰摂取によって耐容上限量を超えないよう、栄養素の含有量を確認して摂取します。

  1. 推定平均必要量、推奨量はプロビタミンAカロテノイドを含む。耐容上限量は、プロビタミンAカロテノイドを含まない。
  2. α-トコフェロールについて算定した。α-トコフェロール以外のビタミンEは含んでいない。
  3. 耐容上限量はニコチンアミドの重量(㎎/日)、( )内はニコチン酸の重量(㎎/日)。

高齢者に1日に必要なミネラルの栄養摂取量

 ミネラルは多量ミネラル5種と微量ミネラル8種があります。ナトリウムの目標量は食塩相当量として示されています(表5)。

表5:ミネラルの基準値1)
ミネラルの種類栄養素男性女性
64~74歳75歳以上64~74歳75歳以上
多量ミネラルナトリウム(食塩相当量)(g/日)目標量 7.5未満 7.5未満 6.5未満 6.5未満
カリウム(㎎/日)目標量 3,000以上 3,000以上 2,600以上 2,600以上
カルシウム(㎎/日)推奨量 750 700 650 600
マグネシウム(㎎/日)a推奨量 350 320 280 260
リン(㎎/日)目安量 1,000 1,000 800 800
微量ミネラル鉄(㎎/日)推奨量 7.5 7.0 6.0 6.0
亜鉛(㎎/日)推奨量 11 10 8 8
銅(㎎/日)推奨量 0.9 0.8 0.7 0.7
マンガン(㎎/日)目安量 4.0 4.0 3.5 3.5
ヨウ素(㎍/日)推奨量 130 130 130 130
セレン(㎍/日推奨量 30 30 25 25
クロム(㎍/日)目安量 10 10 10 10
モリブデン(㎍/日)推奨量 30 25 25 25

 カルシウムは2,500(㎎/日)、リンは3,000(㎎/日)、鉄は男性50(㎎/日)、女性40(㎎/日)、亜鉛は男性40(㎎/日)、65~74歳の女性35(㎎/日)、75歳以上の女性30(㎎/日)、銅は35(㎎/日)、マンガンは11(㎎/日)、ヨウ素は3,000(㎍/日)、セレンは65~74歳の男性450(㎍/日)、75歳以上の男性400(㎍/日)、女性350(㎍/日)、クロムは500(㎍/日)、モリブデンは男性600(㎍/日)、女性500(㎍/日)が設定されています。サプリメントや健康食品の過剰摂取によって耐容上限量を超えないよう、栄養素の含有量を確認して摂取します。

  1. 通常の食品以外からの摂取量の耐容上限量は、成人の場合350(㎎/日)とした。通常の食品からの摂取の場合、耐容上限量は設定しない。

参考文献

  1. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書 厚生労働省(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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