健康長寿ネット

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高齢者における食事摂取基準

日本人の食事摂取基準

 私たち日本人が、健康的な日々を過ごすために、エネルギーや、色々な栄養素をどのくらい摂ったら良いか、という基準を示すものが、「日本人の食事摂取基準」です。最新版(2010年版)が平成21年5 月に厚生労働省より公表されました。この食事に関する基準は5年に一度改訂されており、2010年版は2014年度まで使用される予定のものです。

 「日本人の食事摂取基準」には全ての人を対象とした基準が、性・年齢階級別に示されていますが、ここでは成人後期(50~69歳)と高齢期(70歳以上)の基準を示しています。高齢者は何らかの慢性疾患を有していることが多く、また、咀嚼力(そしゃくりょく:かみくだく力)、胃腸の機能(消化・吸収力)、身体活動レベルなどにも大きな個人差がみられます。そのため、基準を一律に適応するのではなく、個人個人の状況を十分に考慮して活用していくことが大切です。 (リンク1参照)

リンク1 「高齢者における栄養状態の評価」

高齢期に必要なエネルギー摂取量

 エネルギーは身体の機能や活動を維持するために基本となるものです。必要なエネルギー摂取量はエネルギー消費量に反映される身体活動量の大きさによっても異なってきます。

 成人・高齢者の場合、体重変化がないときはエネルギー摂取量と消費量がほぼ等しい状態と考えられます。必要なエネルギーが十分にとれない場合(エネルギー摂取量が消費量を下回る場合)は、筋などの体たんぱく質量や、蓄積脂肪が低下していきます。これらは身体機能や生活の質の低下にもつながる恐れがありますので、特に高齢者では注意が必要です。

表1:高齢期における食事摂取基準-推定エネルギー必要量(kcal/日)
基準身長(cm) 基準体重(kg) 身体活動レベル
Ⅰ(低い) Ⅱ(ふつう) Ⅲ(高い)
生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合 座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客等、あるいは通勤・買物・家事・軽いスポーツ等のいずれかを含む場合 移動や立位の多い仕事への従事者。あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている場合
男性 50~69歳 165.7 65.0 2,100 2,450 2,800
70歳~ 161.0 59.7 1,850 2,200 2,500
女性 50~69歳 153.0 53.6 1,650 1,950 2,200
70歳~ 147.5 49.0 1,450 1,700 2,000

 *標準的な体格(基準身長、基準体重)を基準として推定された値です。

 *身体活動レベルが極端に高い場合(激しいトレーニングを行っていたり、非常に強い作業に従事している場合など)や、極端に低い場合(ベッド上で生活している場合など)は、上記の身体活動レベルⅠ~Ⅲとは異なった配慮が必要です。

 (参考) 厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

高齢期に必要な栄養素摂取量

 「日本人の食事摂取基準」には、「1日にどのくらいの栄養素を摂ったら良いか」が摂取範囲(推定平均必要量、推奨量、目安量、目標量、上限量)として示されています。健康の維持・増進や欠乏症の予防のための摂取基準が推定平均必要量と推奨量です。推定平均必要量や推奨量を設定することができない栄養素については、目安量が設定されています。

 また、特に生活習慣病(リンク2参照)予防のために摂りすぎを防ぐ必要がある食塩や、国民健康・栄養調査において推奨量を下回っているカルシウム等の栄養素については、生活習慣病予防のための当面の目標値として目標量が示されています。

 最近ではサプリメントの普及などにより手軽に栄養素を摂取できるようになる一方、過剰摂取への対策も必要になってきました。ほとんどの人が過剰摂取による健康障害を起こすことのない最大量として設定されたのが上限量です。

 50歳以上の食事摂取基準を各表に示しました。

(1)マクロ栄養素

 マクロ栄養素とは多量に摂取され、主要なエネルギー源となるたんぱく質、脂質、炭水化物(3大栄養素)で、いずれも生命の維持に重要な栄養素です。個人個人に必要なエネルギー量を、3大栄養素からバランスよく摂取することが大切です。

表2:高齢期における食事摂取基準-マクロ栄養素
栄養素 単位(/日) 指標 男性 女性
50~69歳 70歳~ 50~69歳 70歳~
基準としたエネルギー kcal 推定エネルギー必要量 2,450 2,200 1,950 1,700
たんぱく質 g 推奨量 60 50
総脂質 %エネルギー 目標量 20以上25未満 20以上25未満
飽和脂肪酸 %エネルギー 目標量 4.5以上7.0未満 4.5以上7.0未満
n-6系脂肪酸 g 目安量 10 10
n-3系脂肪酸 g 目標量 2.4以上 2.2以上 2.1以上 1.8以上
コレステロール mg 目標量 750未満 600未満
炭水化物 %エネルギー 目標量 50以上70未満 50以上70未満
食物繊維 g 目標量 19以上 17以上

 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が充足すると考えられる量

 目安量:特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量(推奨量が算定できない場合に限って算定)

 目標量:生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

 (参考) 厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

(2)水溶性ビタミン・脂溶性ビタミン

 9種の水溶性ビタミン(ビタミンB1 、ビタミンB2 、ナイアシン、ビタミンB6 、葉酸、ビタミンB12 、ビオチン、パントテン酸、ビタミンC)、4種の脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンK)に関する基準です。(リンク3~13参照)

表3:高齢期における食事摂取基準-水溶性ビタミン・脂溶性ビタミン
栄養素の分類 栄養素名等 単位(/日) 指標 男性 女性
50~69歳 70歳~ 50~69歳 70歳~
水溶性ビタミン ビタミンB1 mg 推奨量 1.3 1.2 1.1 0.9
ビタミンB2 mg 推奨量 1.5 1.3 1.2 1.0
ナイアシン mgNE 推奨量 14 13 11 10
ビタミンB6 mg 推奨量 1.4 1.1
葉酸 μg 推奨量 240 240
ビタミンB12 μg 推奨量 2.4 2.4
ビオチン μg 目安量 50 50
パントテン酸 mg 目安量 6 5
ビタミンC mg 推奨量 100 100
脂溶性ビタミン ビタミンA μgRE 推奨量 850 800 700 650
上限量 2,700 2,700
ビタミンE mg 目安量 7 6.5
上限量 850 750 700 650
ビタミンD μg 目安量 5.5 5.5
上限量 50 50
ビタミンK μg 目安量 75 65

 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が充足すると考えられる量

 目安量:特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量(推奨量が算定できない場合に限って算定)

 上限量:健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限

 (参考) 厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

リンク2 「水溶性ビタミン:ビタミンB1」

リンク3 「水溶性ビタミン:ビタミンB2」

リンク4 「水溶性ビタミン:ナイアシン」

リンク5 「水溶性ビタミン:ビタミンB6、B12」

リンク6 「水溶性ビタミン:葉酸、ビオチン」

リンク7 「水溶性ビタミン:パントテン酸」

リンク8 「水溶性ビタミン:ビタミンC」

リンク9 「脂溶性ビタミン:ビタミンA(レチノール・カロテン)」

リンク10 「脂溶性ビタミン:ビタミンE」

リンク11 「脂溶性ビタミン:ビタミンD」

リンク12 「脂溶性ビタミン:ビタミンK」

(3)ミネラル・微量元素・電解質

 3種のミネラル(マグネシウム、カルシウム、リン(リンク14~16参照))、8種の微量元素(クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、セレン、ヨウ素(リンク17参照))、2種の電解質(ナトリウム、カリウム(リンク18、19参照))に関する基準です。ナトリウムの目標量は食塩相当量として示されています。 栄養素に関する詳細は該当するページをご覧下さい。

表4:高齢期における食事摂取基準-ミネラル・微量元素・電解質
栄養素 単位(/日) 指標 男性 女性
ミネラル マグネシウム mg 推奨量 350 320 290 260
カルシウム mg 推奨量 700 650 600
上限量 2,300 2,300
リン mg 目安量 1,000 900
上限量 3,000 3,000
微量元素 クロム μg 推奨量 40 35 30 25
モリブデン μg 推奨量 25 25 20
上限量 600 550 500 450
マンガン mg 目安量 4 3.5
上限量 11 11
mg 推奨量 7.5 7 11(閉経後6.5) 6
上限量 50 45 40
mg 推奨量 0.9 0.8 0.7
上限量 10 10
亜鉛 mg 推奨量 12 11 9
上限量 45 40 35 30
セレン μg 推奨量 30 25
上限量 280 260 230 210
ヨウ素 μg 推奨量 130 130
上限量 2,200 2,200
電解質 ナトリウム(食塩相当量) mg(g) 推定平均必要量 600(1.5) 600(1.5)
目標量 (9未満) (7.5未満)
カリウム mg 目安量 2,500 2,000

 推奨量:ほとんどの人(97~98%)が充足すると考えられる量

 目安量:特定の集団において不足状態を示す人がほとんど観察されない量(推奨量が算定できない場合)

 目標量:生活習慣病の一次予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

 推定平均必要量:ある集団の50%の人が必要量を満たすと推定される摂取量

 上限量:健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限

 (参考) 厚生労働省策定 日本人の食事摂取基準[2010年版]

リンク13 「ミネラル:マグネシウム」

リンク14 「ミネラル:カルシウム」

リンク15 「ミネラル:リン」

リンク16 「ミネラル:微量元素」

リンク17 「ミネラル:ナトリウム」

リンク18 「ミネラル:カリウム」

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