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高齢者の栄養状態の評価方法

栄養状態を評価する目的・意義1)

 高齢者の食事についての問題は、単に嗜好や食生活だけでなく、身体機能の低下や心理面、生活環境など多くの要因が関わっています。従って栄養状態を評価する場合にも、栄養摂取量そのものだけでなく、身体や心理・精神状態、社会環境などのど全体を把握する必要があります。

 低栄養状態は自覚しにくく、自分では気が付かないうちに進んでいることが多いため、注意が必要です。そのために高齢者の栄養状態を評価することで日常生活活動度や生活の質の維持、向上、創傷治癒の遅延や免疫力の低下などの予防、健康寿命の延長にかかわります。

 栄養障害や栄養障害のリスクをもつ高齢者や家族に、適切な食事を伝えて、実践していくことで、低栄養予防や長期入院、寝たきりなどを防ぐことができます。

栄養状態の評価方法

 主に欧米で用いられている高齢者向けの栄養評価方法としては、ネスレ栄養研究所の簡易栄養状態評価(MNA®:Mini Nutritional Assessment)があります。簡易栄養状態評価(MNA®)は全部で18項目あり6個のスクリーニングと12個の評価項目から構成されています(図、リンク1参照)。

図:簡易栄養状態評価表を示す図。高齢者向けの栄養評価方法。
図:簡易栄養状態評価(MNA®)日本語版2)

リンク1:簡易栄養状態評価(MNA®)日本語版 ネスレ栄養研究所(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

 簡易栄養状態評価表は、当てはまる項目のポイントの合計で栄養状態を評価します。24点以上は「栄養障害なし」、17~23.5点は「栄養障害のリスクあり」、17点未満を「栄養障害あり」と判定します。

栄養状態の2つの評価方法

 栄養状態を評価する主観的な方法と客観的な方法があります。

主観的包括的アセスメント(SGA)

 もっとも標準的な評価基準です。病歴では過去6ヶ月における体重の減少、食物摂取における変化、消化器症状、疾患と栄養必要量の関係を評価します。

 身体では皮下脂肪の喪失、筋肉喪失、浮腫を評価し、「栄養状態良好」「中等度の栄養不良」「高度の栄養不良」の3つに評価します。

客観的評価

 栄養状態は、多くの疾病や全身状態に影響を与えるので、特に皮膚の状態(じょくそう、浮腫、乾燥の有無)、口腔状態(痛み、口臭、口腔乾燥、義歯の不具合、味覚低下の有無)、食欲不振、脱水、摂食・嚥下障害・嘔気・嘔吐、腹部膨満感・下痢・便秘などの排泄問題、発熱・感染の有無、経管栄養を確認します。

 要介護度、寝たきり度や認知度などの日常生活自立度、栄養・食事行為に対する本人及び介護者の意向を確認します。

 身体情報として身長、現体重、通常体重、BMIなど、血液検査ではアルブミンや中性脂肪、ヘモグロビンなど栄養状態や疾患にかかわる項目を検査します。

 食事摂取量を確認し、嗜好をはじめ、主食や副菜の形状、摂食用具、食事介助の有無、療養食の有無など確認することで、その方に適切な評価ができます。

高齢者の栄養状態評価のポイント

 高齢者の栄養状態の変化はすぐに判断できること、できないことがあります。また項目ごとに確認をしても個人差もあります。急に低栄養状態になるわけではなく、日々の生活の中で、少しずつ食事量の減少、生活環境や身体機能の変化により栄養状態は変化していきます。

 評価した結果に基づいて、どのようなことから改善できるか、対応できるか方法を決めていくことが重要です。栄養状態を改善していくためには、適切なたんぱく質の補給、エネルギーや各栄養素の確保も重要ですが、ご本人をはじめ、ご家族の意向をお尋ねし、それにあった計画をたてることが、栄養状態を評価した意味になります。そして高齢者が安全に食事を楽しく食べられるようにしていきます。

 栄養状態の評価1回きりではなく、栄養状態を改善していくための計画に基づきながらすすめていき、再度プランの見直しをするためにも、高齢者の状態に合わせて、定期的に評価を行っていきます。

参考文献

  1. 高齢者の栄養評価 静脈経腸栄養Vol22. No.4 2007 (PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 簡易栄養状態評価(MNA®) ネスレ栄養研究所(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

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