東北大学×NTTコミュニケーションズ×仙台市 「SENSINプロジェクト」キックオフ発表会
長寿科学振興財団がGoogle.orgの支援を受け実施している「 」では、高齢者のデジタルデバイド解消等に取り組む3つのプロジェクトを採用している。その中の1つ、東北大学スマート・エイジング学際重点研究センターの「"学び合い"プログラムを用いたデジタルスキルラーニング・エコシステムの開発と実装~多世代型互助によるスマート・インクルージョンの実現~」プロジェクトのキックオフ発表会の模様を紹介する。
- プロジェクト名:SENSIN(SENdai Smart INclusion)プロジェクト
- 実施期間:令和5(2023)年10月~令和6(2024)年12月末
- 内容:東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター長・瀧靖之氏をプロジェクトリーダーとし、NTTコミュニケーションズ(株)と仙台市が参画し、高齢者が身近な高齢者にスマートフォンの操作等を教えることで、効率的にデジタルスキルが普及される持続可能なエコシステムを開発するもの。高齢者を「スマート・ティーチャー(スマティ)」として育成・認定するプログラムを実施する。
令和5(2023)年10月7日(土)、CROSS B PLUS(仙台市)で、「SENSINプロジェクト」のキックオフ発表会が開催された。発表会には多くの報道関係者が訪れ、認定NPO法人仙台シニアネットクラブと一般社団法人宮城県年金協会のシニアの皆さん、サポート役として東北大学の学生が参加した。
開会に際し、金子智隆事務局次長が大島伸一理事長の挨拶を代読。「高齢者が生きがいを持ち、長生きを喜べる社会を実現するために、学際的な研究、産学官連携が不可欠です。SENSINプロジェクトが社会実装され、国民の皆様に貢献できるようご支援をお願いします」と述べた。Google日本法人の加山博規氏からは「高齢者研究への深い知見と経験をお持ちであるSENSINプロジェクトに関わる皆様と共に、デジタルの力で日本の高齢社会の可能性を開花させたい」とメッセージが寄せられた。
来賓の挨拶には、デジタル庁審議官のさかき原毅氏(さかき原の「さかき」の字は木ヘンに神)からのメッセージ。デジタル機器に不慣れな人にサポートを行う『デジタル推進委員』の取り組みに触れ、「SENSINプロジェクトの『スマート・ティーチャー』プログラムの認定の仕組み等と連携をしてまいりたい」と紹介された。
プロジェクト代表の挨拶には、プロジェクトリーダーの東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター長の瀧靖之氏が登壇。共同事業者のNTTコミュニケーションズと仙台市、助成事業者の長寿科学振興財団へ感謝の意を述べ、「高齢者が身近な高齢者にスマートフォンの操作を教える『スマート・ティーチャー』の仕組みは、単に産学官連携の研究で終わるのではなく、持続可能な取り組みにすることを目指します」と挨拶した。
共同事業者の挨拶として、NTTコミュニケーションズ東北支社長の粟嶋学氏が、「ドコモスマホ教室」を通じてスマート・ティーチャーの育成支援に参画することを述べ、「デジタルスキルを上げるだけでなく、楽しんでスマートフォンを使っていただくことは、NTTドコモグループとして大変喜ばしいことです」と締めくくった。仙台市長の郡和子氏は、「SENSINプロジェクトは、自分が学んだことを誰かのために教えていく、仲間で楽しみながら輪を広げていく取り組みです。デジタルデバイドの解消に向けて、仙台発の先進事例をつくるために皆様方と連携を強化してまいりたい」と挨拶した。
東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター講師の牧野多恵子氏はプロジェクトの概要を紹介。「キーフレーズは『学んで、教えて、もっとつながる』です。「楽しみながら人とつながることで、デジタルデバイドの解消とともに、全ての方の健康、心の健康も含めたつながりの創出を目指します」と語った。
続いて、瀧氏が「デジタルスキルの学び合いで目指すスマート・エイジング」と題して講話を行った。「デジタルスキルを楽しく学び合い、教え合い、コミュニケーションを取ることは、若いときでも年齢を重ねてからでも、いつ開始しても、認知機能低下を抑え、認知症予防に効果があることがわかっています。このプロジェクトは脳の健康維持、認知症のリスクを下げる上でも重要だと考えています」と話し、医学的な観点からもプロジェクトを全国に広げていきたいと強調した。
牧野氏が再度壇上に上がり、「
」の詳細を説明。基本的なスマートフォンの使い方を学び、身近な人に教えることのできる人を「スマート・ティーチャー」に認定し、スマートフォン操作の学びを通して、互いに助け合いながら「デジタルな日常生活」を目指す。仙台市内や近郊に住む65歳以上のスマートフォン所有者は無料で参加ができる。その後、会場の参加者は東北大学の学生のサポートを受けて、スマティアプリケーションのインストールに挑戦。操作に苦労しながらも、シニアの皆さんは世代を超えた触れ合いを楽しんでいた。
最後はプロジェクト関係者による記念写真の撮影で、キックオフ発表会を締めくくった。