長寿科学研究に関する情報を提供し、明るく活力ある長寿社会の実現に貢献します。

理事長あいさつ

写真:理事長 祖父江逸郎

 今やグローバルに高齢化が進んでいます。中でも日本は世界一そのスピードが速く、平均寿命、健康寿命いずれもトップの座を占め、最高の長寿国で人類の夢を実現してきました。

 一世紀を生き抜いた百寿者は1963年(昭和38年)当時、僅か153人でしたが、2012年では5万人を超えています。百歳現役といわれる超エリート老人が出現し、その数も次第に増加、量、質共に長寿時代となりました。その背景には、栄養、運動、休養など日常生活習慣に対する強い関心と改善、経済状態の向上、医療、ケア、衛生状態の進歩、社会構造の変化など様々の要因があり、総合的な結果として21世紀に相応しい長寿社会を迎えつつあります。

 しかし、長寿の実現と裏腹に、認知症、骨粗しょう症、心虚血性疾患、脳血管障害など高齢者疾患が台頭しその数も増加、さらに加齢現象も加わり、老年症候群が目立ち、最近ではサルコペニア、フレイルなども問題になっています。フレイルは身体面のみならず、心のフレイルもクローズアップされており、その対応が重要視されています。また、高齢者は、健康、経済、孤独に対する3Kといわれる不安を抱かえ、様々な悩みの中で、毎日を過しております。中でも、死に対する不安は誰にも共有するもので、どのように対応するかはより切実であります。最近、高齢者の貧困化も目立つようになり、これら多様な課題に包括的に対応することは緊急を要します。

 高齢化と共に、高度技術化、情報化、スピード化など、すさまじい勢いで社会は進行しており、日常生活はより複雑さを増し、ストレスも多様になり、心身への影響も顕著になりつつあります。生活のスロー化、簡素化をはじめ社会生活構造、制度のあり方などへの見直しが必要になっております。
こうした状況の中で、長寿科学は心身と社会的側面から長寿社会が直面する様々な課題に対し、自然科学、人文社会科学など、より幅広い分野にわたり、学際的、総合的に対応するビッグサイエンスで、21世紀での新しい体系であります。

 当財団は、昭和天皇御長寿御在位60年記念慶祝事業として、長寿科学組織検討会が昭和61年に発足、高齢者保健福祉推進十カ年戦略に呼応し、平成元年長寿科学推進事業の中で国立長寿医療研究センターの設立支援財団として設立され、間もなく30周年を迎えようとしています。この間様々の有益な事業を展開、長寿関連諸事業への支援を通じ、心豊かな長寿社会構築に向け多くの顕著な成果を挙げてまいりました。こうした意義ある基盤を土台に、長寿科学の振興、さらに活力ある理想の長寿社会の実現と貢献を目指し、より一層の努力を積み重ねる所存であります。皆様の温かいご指導、ご支援をお願いする次第です。

公益財団法人長寿科学振興財団
 理事長 祖父江 逸郎