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リトコール酸:カロリー制限による健康長寿効果の黒幕

 

公開月:2025年10月

 カロリー制限が健康長寿に良いことはマウス、線虫、ハエ、酵母など多種のモデル生物で実証済みだ。しかし、そのメカニズムは?となると必ずしも明確でない。代謝スイッチの切り札となるAMPキナーゼ(AMPK)が誘導され、サーチュイン(SIRT1など)が活性化されるのだが、どうしてそうなるのか?この問題に中国福建省の厦門(アモイ)大学のシェンカイ・リン一派が切り込んだ。マウスのカロリー制限で変動する代謝分子700種の中からAMPK変動と呼応する分子を探索。その結果、胆汁酸の一種、リトコール酸が鍵分子であることを見出した。これがインスリン抵抗性を軽減し、NAD+レベルを上げる。腸内細菌の集団変容(マイクロバイオーム)がその背景にあるらしい。ヨーグルトの効能もそこにあるのかもしれない。

文献

Qu Q, et al., Nature 2025; 643(8070): 192-200; Qu Q, et al., Nature 2025; 643(8070): 201-209

筆者

森 望(もり のぞむ)
福岡国際医療福祉大学特任教授

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公益財団法人長寿科学振興財団発行 機関誌 Aging&Health 2025年 第34巻第3号(PDF:5.7MB)(新しいウィンドウが開きます)

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