長寿科学研究に関する情報を提供し、明るく活力ある長寿社会の実現に貢献します。

高齢社会課題解決研究(AI)への助成 公募について

1.背景と社会課題について

 公益財団法人長寿科学振興財団(以下:当財団)は、Googleの慈善事業部門であるGoogle.orgの支援を受けAI搭載のロボットによるアシスタンスやコンパニオンシップなど、超高齢社会における人工知能の変革の可能性を活用するために、高齢者のAIリテラシーを強化し、若者との有意義な世代間学習を促進することに焦点を当てた包括的な戦略を実施します。

 これは、高齢者と若い世代との交流を育むことで、高齢者と若い世代がAIツールを活用してつながり、若い世代が高齢者を支援するスキルを身に付け、高齢者のニーズに合わせたAIソリューションに貢献できる相互に有益なエコシステムの構築を目指します。このような取り組みを行う大学、研究機関、自治体等を支援する「高齢社会課題解決研究への助成」事業を立ち上げました。産学官民で連携した各分野から多くの応募を期待しています。

2.申請課題

課題課題名
課題1 高齢者向けAIリテラシーの向上
課題2 世代間学習の促進

 下記の「課題1」または「課題2」の各課題に対しての【主な目標】、【主な活動】、【求められるアウトプット】、【期待されるアウトカム】をご確認いただき、「課題1」または「課題2」のいずれか1つを選択しプロジェクトを構想・計画し、提案ください。

 なお、助成期間後も継続して申請課題が事業化し継続できる申請を求めます。

課題1:高齢者向けAIリテラシーの向上

【主な目標】

 日本の高齢者の AIリテラシーのニーズと効果的な世代間学習モデルに関する基礎的な理論を確立し、プログラム設計に役立てる。また、高齢者向けのAIリテラシートレーニングを主導し、高齢者がAIツールを活用して生活の質を向上させる支援を行う。

【主な活動】

  1. デジタルリテラシー、高齢者向けAI教育、世代間学習モデルに関する既存の文献をレビューする。
  2. 日本の高齢者を対象に、現在のデジタルスキル、AIに関する理解、そして認識されているニーズについてニーズ評価を実施する。
  3. 潜在的なパートナー組織と関連するAI/ロボティクスリソースの状況を分析する。
  4. テクノロジーと高齢者ケアに関連する、世代間学習の成功事例を調査する。
  5. 地域組織(自治体・コミュニティなど)と提携して、実践的なAIリテラシートレーニングを実施し、効果を検証する。
  6. 公開されている関連性の高いAIカリキュラムを活用する。さらに、必要に応じて、日本の高齢者向けにカスタマイズされたAIリテラシーカリキュラムを開発する。
  7. 開発されたカリキュラムを全国展開する。解決したい社会課題の解決方法(プログラム)の参加者は10,000人以上を対象に募集し、全国の通いの場でのデジタル技術を学ぶことを通じた長寿支援活動へつなげる。

【求められるアウトプット】

  1. 日本の高齢者のAIリテラシーのニーズ、効果的な世代間学習モデル、潜在的なパートナー、および関連するAI/ロボティクスリソースを詳述した包括的な調査報告書を作成する。
  2. 日本におけるパートナー候補組織と関連するAI/ロボティクスリソースに関する状況分析レポートを作成する。
  3. 地域代表性のある10,000人の高齢者(インターネット調査は除く)を対象に実施されたニーズ評価からの主な調査結果に関するレポートを作成する。
  4. AIロボティクスリソースと高齢者ケアに関連する代表的な世代間学習イニシアチブの特定と文書化(マニュアル化)。
  5. 100の地域組織とのパートナーシップを確立し、トレーニングの提供を主催およびサポートする。
  6. 100の地域/コミュニティで10,000人の高齢者参加者を対象に、実践的なAIリテラシートレーニングセッションを実施する。
  7. 日本の高齢者学習者に合わせたAIリテラシーカリキュラムの最終版(公開されているリソースを活用し、必要に応じて追加のモジュールを開発)
  8. 学習支援教材(ガイド、チュートリアルなど)を開発し全国の自治体(1765箇所)や地域組織へ配布する。
  9. 今回の活動の成果発表と活用法の研修会を全国で10回以上開催し、翌年度以降の事業として50以上の自治体や地域組織で同様の活動を展開する。

【期待されるアウトカム】

  1. 高齢者の参加者の80%が、日常生活に関連する特定のAIツールを使用する自信と能力が向上したと報告する。
  2. 高齢者の70%が、デジタル社会における孤立感が減少したと報告する。
  3. 高齢者の参加者が学習したAIスキルを個人的な利益(コミュニケーション、情報アクセス、趣味など)に実証可能な形で応用する。
  4. トレーニングの関連性と有効性について、参加者の80%から肯定的なフィードバックが得られる。
  5. 対象となる高齢者のAIリテラシーのベースラインと学習の好みに関する、明確で証拠に基づいた理解。
  6. 主要なテーマ領域とベストプラクティスを特定し、カスタマイズされたAIカリキュラム開発に情報を提供する。
  7. プログラムのコンテキスト内で世代間の学習活動を実施するための効果的な戦略に関する知見を確立する。
  8. プログラムパートナーとリソースに関する十分な情報に基づいた選定プロセス。

課題2:世代間学習の促進

【主な目標】

 高齢の学習者と若者のイノベーターを結びつけ、AIと超高齢社会のニーズについて相互に学び合います。

【主な活動】

  1. 高齢者向けに、若者からAIの応用について学ぶセッションを開催する。
  2. 若者が高齢者のニーズを理解し、より良いデザインを実現するための機会を提供する。

【求められるアウトプット】

  1. 高齢者学習者と若者のイノベーターをつなぐ500回の世代間学習セッション/ワークショップを企画・実施する。
  2. 7,500人の高齢者と2,500人の若者のイノベーターの構造化された交流活動への参加。
  3. 若者がAI設計について高齢者から直接意見を取り入れるためのフィードバックメカニズムを構築する。
  4. 両方の年齢層が参加する共同プロジェクトまたは活動を開発する(共同デザインセッションなど)。
  5. 若者がより良いデザインを実現するために、高齢者のニーズを聞き取りながら指導することに価値を見出し、若者と高齢者がともに喜びを持つエコシステムを作成する。

【期待されるアウトカム】

  1. 若者の参加者の90%が、高齢化社会のニーズと視点に対する理解が深まったと報告する。
  2. 高齢者の参加者の75%が、若者が示したAIアプリケーションに対する理解が深まり、不安が減少したと報告する。
  3. 高齢者のフィードバックが、若者が開発したAIの設計や機能に直接影響を与えた実証可能な事例。
  4. 参加者の80%(若者と高齢者の両方)が、世代間の相互作用から得られた肯定的な経験と価値を報告する。

3.応募資格

  1. 国内の団体(大学、民間企業、地方自治体、社団・財団法人、シンクタンク、NPO等)に所属し、当該団体においてプロジェクトを実施する体制(以下「プロジェクトチーム」という)を組成し、プロジェクトチームの責任者(プロジェクトリーダー)として、全体の管理に責務を負うことができる者であること
  2. 応募に際して所属する団体の長の承諾を得ていること
    • ※承諾書の所属機関長について:プロジェクトリーダーの所属機関での職務と本研究助成の研究との兼業を承諾する権限のある方で、職印をお持ちの方(例:大学の場合:学長、学部長、学科長/病院の場合:理事長、病院長)
  3. 研究倫理教育に関するプログラムを予め修了していること
  4. プロジェクトリーダーのもとにプロジェクトマネジャー(プロジェクトリーダーの補佐、プロジェクトの運営管理、事務手続き等責任役、当財団との進捗状況の窓口)を最低1名、経理責任者(経理実務経験3年以上程度)1名を配置すること
  5. プロジェクトマネジャーは当財団の進捗管理担当者と密に連携をとり、プロジェクトの運営状況を報告すること
  6. 以下の2点を誓約できること
    • ・「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学省大臣決定)」の内容を理解し遵守すること
    • ・提案するプロジェクトが採択された場合、プロジェクトリーダーおよびプロジェクトに参加する者は、活動等における不正行為ならびに当財団が助成する助成金の不正使用をしないこと
  7. 助成金で創出された知的財産は、以下の条件で公開される必要があります。
    • ・コードや発明はApache 2.0ライセンスで、
    • ・コード以外の創作物や特許対象物はCC-BY 4.0ライセンスで、
    • 創出から3か月以内に自由に利用・検索可能な形で公開すること。
    • また、非公開の知的財産(特許や企業秘密を含む)については公有化し、特許申請は行わない。データについても、プライバシー法に従い自由かつ検索可能な形で公開すること。

4.助成金額および助成期間

課題課題名助成金額助成期間
課題1 高齢者向けAIリテラシーの向上 最大1億4,000万円 2年間(2026年1月(契約締結後)から2027年12月末まで)
課題2 世代間学習の促進 最大1億円 2年間(2026年1月(契約締結後)から2027年12月末まで)
  • ※助成期間は1月から12月末の1年ごとの契約となります。
  • ※採択数・助成金額は、委員会での協議により変更が生じることがある旨、あらかじめご了承ください。

5.対象経費

 プロジェクト計画の遂行に必要な経費及びプロジェクト成果の取りまとめに必要な経費とします。間接経費は総経費の30%以内とします。

 なお、各費目の算定はプロジェクトリーダーが所属する団体の経理規程等に準ずるものとします。

 また、プロジェクトの目的に合致しないもの、間接経費による支出が適当と考えられるもの、使用が適正でないと当財団が判断するものは経費として支出できません。※「事務処理要領」参照

6.応募期間

2025年9月16日(火)~2025年11月24日(月・祝)24時まで

7.応募方法

 本助成への応募は当財団が指定する提案様式にて作成し指定の方法で提出してください。

 指定の提案様式は、以下からダウンロードしてください。

高齢社会課題解決(AI)の提案様式一式ダウンロード(zip:212KB)

 必要事項が記載された提案書を一つのPDFファイルにまとめ、指定の提案書提出ページにてアップロードしてください。なお、PDFファイルの容量は最大10MBです。なお、紙媒体(郵送、宅急便、持ち込み)及び電子メールによる受付けはできませんので、ご留意ください。また、提案書提出ページはGoogleフォームを使用するためGoogleアカウントが必要となります。あらかじめアカウントの作成をお願いいたします。

【令和7年9月16日(火)~受付開始】高齢社会課題解決研究(AI)への助成 提案書提出ページ(外部サイト:Googleフォーム)(新しいウインドウが開きます)

8.選考方法および採否通知

 申請課題の審査および選考については、当財団の理事長から任命された専門家で構成される審査評価委員会で厳正に行います。

●1次審査(書類審査):
提案書が審査・選考の観点を満たしているかどうか当財団および審査評価委員会が審査します。
選考結果は、2025年12月15日(月)にメールにてプロジェクトリーダーに通知します。
●最終審査(プレゼンテーション審査):
12月24日(水)13:00~15:00(東京駅周辺)
1次審査により選定されたプロジェクトリーダーがプレゼンテーションを⾏います。また、当財団および審査評価委員会との質疑応答を行います。
選考結果は、2025年12月26日(金)までにメールにてプロジェクトリーダーに通知します。

9.プロジェクト開始後の流れ

  • (1) 助成を交付された者は、毎年6月末と12月末に実績について当財団に報告して頂きます。
  • (2) 研究成果の発表に際しては、当財団ならびにGoogle.orgの助成による旨を明確に表示してください。

10.留意事項

  • (1) 本助成では1人1件の申請受付けとなります。重複申請は認められません。
  • (2) 書類に不備がある場合は、申請を受理しないことがあります。

11.問い合わせ

 本助成にかかるお問い合わせは下記メールアドレスまでお願いします。
メール:research@tyojyu.or.jp
公益財団法人 長寿科学振興財団 (金子、栗林)

よくあるご質問について

 本助成について、よくあるご質問と回答を以下のページに掲載しております。提案書作成においてご参考ください。今後、新たな質問がありましたら随時更新いたします。

高齢社会課題解決研究(AI)への助成に関するFAQ

公募要領

 本事業における公募要領については以下のPDFをご確認ください。

「高齢社会課題解決(AI)への助成」公募要領(PDF:241.2KB)(新しいウインドウが開きます)

事務処理要領

 本事業における事務処理要領については以下のPDFをご確認ください。

「高齢社会課題解決(AI)への助成」事務処理要領(PDF:327.1KB)(新しいウインドウが開きます)


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