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総論 フレイルの全体像を学ぶ 2. フレイルの評価方法と最新疫学研究

 

公開日:2021年9月24日 10時58分

国立長寿医療研究センター 老年内科医長
前田 圭介

1:はじめに

 フレイルは、加齢により生じる健常とは異なる様々な変化を内包した状態といえる。内的、外的ストレスに対し脆弱であり、多くの高齢者はフレイルを経て要介護状態へ至る。高齢者医療を取り巻く環境を背景にフレイルの注目度は高まってきた。本稿ではフレイルの評価法を解説するとともに、最新のフレイル疫学研究を紹介する。

2:3つのフレイル

 日本老年医学会のステートメント(2014)によれば、フレイルは、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念であるとされる。つまり、3つのタイプのフレイル(身体的フレイル、認知・精神・心理的フレイル、社会的フレイル)が存在し、これらを包括的にとらえたものが広義のフレイルであると考えられる。

 身体的フレイルは、Friedらが提唱した表現型モデル1)を指すことが多い。加齢に伴うミトコンドリア機能やホメオスタシス(恒常性)の低下から酸素消費量や安静時代謝率の減少を経て、身体的症状が表出されると考えるモデルである。認知・精神・心理的フレイルは、認知的フレイルと精神・心理的フレイルに分けて考える場合もあるが、いずれも定義が完全に定まっているとは言えない。認知的フレイルは身体的フレイルに軽度認知機能障害を伴った状態であると考えるのが現在の主流である2)。社会的フレイルも同様に、定義が定まっているとは言えない広義のフレイルの一側面である。基本的社会ニーズの充足、社会資源、社会的行動や活動、一般的資源という独立した要素が互いに影響しあって社会的フレイルが引き起こされるという考え方が主流となっている3)

3:欠損累積モデルでみるフレイル

 身体的、認知・精神・心理的、社会的フレイルの枠にとらわれずにフレイルを定義する流れもある。これは欠損累積モデルというフレイルの概念である。表現型モデルの概念は要介護状態に至る過程つまり、健常と要介護状態の中間の症状を呈する高齢者を指す。一方で欠損累積モデルでは、「身体的、認知的、社会的な問題を抱える」「複数の疾病および多様な機能の障害を有する」高齢者をフレイルと定義づける。表現型モデルと対比させ論じられることが多い欠損累積モデルではあるが、認知機能低下や気分障害、手段的日常生活動作等を含む基準であることから4)、広義のフレイルに近い概念と考えることもできる。

4:フレイルの評価ツール

 Dentらのフレイル診療ガイドラインによると、フレイルの評価は妥当性が検証済みのツールを用いることが強く勧められている5)。系統的レビューの結果、握力、歩行速度、Timed Up and Goテスト、Short Physical Performance Batteryといった筋機能テストのほかに、23種のフレイル評価ツールが報告されている1、6-28)

 フレイルをスクリーニングするための主なツールを表1に示した。いずれも質問紙や聞き取り法によってフレイルを判定するツールである。多面的な症状や兆候、主観的な自己評価等を複合的に吟味する。また、握力、歩行速度等の筋機能テストは単独でスクリーニング法として活用できる5)

表1 フレイル評価法(スクリーニング)
名 称特徴
迅速
FRAIL Scale6) 倦怠感、負荷、歩行、疾病、体重減少の5項目を聞き取り、5点満点中3点以上をフレイル、1または2点をプレフレイルと判定する
PRISMA-77) 年齢、性別、疾病、介助、外出、介助者、歩行の7項目を聞き取り(0-7点)、3点以上である場合、フレイルと判定する
Tilburg Frailty Index8) 性別、年齢、婚姻状況、出身国、教育歴、収入、全体的健康観、疾病、1年間のイベント、居住環境、身体的要素(身体的健康、体重減少、歩行、バランス、聴力、視力、握力、疲労)、精神・心理的要素(記憶、うつ、不安、適応)、社会的要素(独居、孤独、他者からの支援)といった25項目を質問紙票で回答しフレイルの要素を検討する
Vulnerable Elders Survey9) 年齢、健康観、身体活動(かがむ、持ち上げる、上肢挙上、握力、歩行、清掃)、買い物、金銭管理、屋内歩行、軽作業、入浴について質問紙を用いて回答し、4項目以上の問題がある場合、フレイルと判定する
Self-Rated Health Deficits Index10) 同年代に比べた健康度、5年前の自身と比べた健康度、日常動作における問題、最近の健康度を自己申告で4-6段階に回答し、指標化することでフレイルリスクを評価する
Sherbrooke Postal Questionnaire11) 独居、3剤以上の服薬、歩行、視力、聴力、記憶の6項目を質問紙で回答し、1つ以上該当すると身体機能低下リスクがあると判定する
The G8 Questionnaire12) 食欲低下、体重減少、移動、神経学的問題、痩せ、4剤以上の服薬、同年代に比べた健康度、年齢の8項目を0-3点(合計0-17点)で評価し、目的に応じて2-5点をカットオフ値としてフレイルを判定する
詳細 CHS基準(Fried基準1) 体重減少、筋力低下、疲労感、歩行速度低下、低活動の5項目を検討し、3項目以上該当をフレイル、1または2点をプレフレイルと判定する
Groningen Frailty Indicator16) 日常活動(買い物、外出、更衣、トイレ移動)、健康問題(身体的健康、視力、聴力、体重減少、4剤以上の服薬、記憶)、心理機能(空虚感、孤独、見捨てられ感、落胆、不安)といった3ドメイン、15項目を検討し、4項目以上問題を抱える場合、フレイルと判定する
Frailty Trait Scale17) エネルギーバランス、身体活動、神経器官、心血管器官、筋力、耐久性、歩行速度の7ドメイン(合計12項目100点満点)を評価し、フレイルを判定する

 フレイルのアセスメントツールとして知られる主な評価法を表2に示した。既存評価ツールを組み合わせたRapid Geriatric Assessment18)や聞き取りで11項目を評価するEdmonton Frailty Scale19)、日本の診療報酬制度に組み入れられている高齢者総合機能評価20)、30項目以上の問題を吟味しスコア化するFrailty Index22)、日本の介護保険サービスでも活用されている基本チェックリスト23)、臨床判断を元に分類するClinical Frailty Scale26、27)など多様である。前述のようにフレイルには3つのタイプ(身体的、認知・精神・心理的、社会的)がある。どのタイプのフレイルを評価するのか目的をもって評価法を選択する。

表2 フレイル評価法(アセスメントツール)
名称特徴
Rapid Geriatric Assessment18) 既存のフレイル、サルコペニア、低栄養、認知機能に関する簡易ツールを組み合わせて、多面的にフレイルを評価する
Edmonton Frailty Scale19) 認知機能、入院歴、健康観、身体機能、援助者、5剤以上の服薬、服薬忘れ、体重減少、うつ、失禁、運動機能といった11項目を聞き取り法で評価し(0-17点)、フレイルを判定する
Comprehensive Geriatric Assessment20) 老年医学、薬学、社会/生活環境、栄養状態、身体機能、認知機能等の問題を抽出し、多職種で全人的な評価を行い、フレイルを判定する
Frailty Index22) 複数のドメインからなる30以上の高齢者特有の症状、兆候、問題を検討し、0-1の実数に換算しフレイルを判定する
基本チェックリスト23) 介護サービス導入につながる高齢者の生活や機能の問題を抽出する、日本で導入されている25項目から構成される評価ツール
Clinical Frailty Scale26)、27) 高齢者の健康状態を1(壮健:very fit)から9(終末期:terminallyill)の9段階に臨床判断を元に分類するツール。オリジナル版は7(重度のフレイル:severely frail)までであったがのちに8、9が追加された

5:身体的フレイルの評価

 身体的フレイルは表現型モデルのフレイルを指すことが多い。身体的フレイルの評価に用いる基準はCHS基準(またはFried基準)と呼ばれる。この名称は、Friedら米国ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループが中心となって行ったCardiovascular Health Studyという多施設研究の頭文字に由来している1)。CHS基準では、体重減少、筋力低下、疲労感、歩行速度低下、低活動の5項目が検討項目である。聞き取りだけではなく、握力や歩行速度の計測、簡易質問票を用いた余暇活動エネルギーの推定を含んでいる。欧米人との体格差や筋力の違いのため、本基準をそのまま日本で用いることは難しいかもしれない。そこで、日本版CHS基準(J-CHS基準)が開発された29)。J-CHS基準は日本人に特化しただけでなく、オリジナルのCHS基準をより簡素化するなど臨床応用しやすく工夫されている。本邦において身体的フレイルを評価するときには、J-CHS基準を用いることがよさそうである。なお、J-CHS基準は2020年に国立長寿医療研究センターから改訂J-CHS基準が発表されている(表3)30)

表3 日本人の身体的フレイル基準-改訂J-CHS 基準-(Satake S & Arai H, 202030)より引用)
項目評価内容
体重減少

「6か月間で2㎏以上の(意図しない)体重減少がありましたか?」に「はい」と回答した場合(基本チェックリスト♯1)

筋力低下

男性28㎏未満、女性18㎏未満の場合

疲労感

「(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする」に「はい」と回答した場合(基本チェックリスト♯25)

通常歩行速度

1m/秒未満の場合

身体活動

①「軽い運動・体操をしていますか?」
②「定期的な運動・スポーツをしていますか?」
上記の2つのいずれも「週に1回もしていない」と回答した場合

評価
上記5つの項目のうち3つ以上に該当するものをフレイル、1つまたは2つに該当するものをプレフレイル、いずれにも該当しないものを健常とする

 J-CHS基準は握力と歩行速度を測定する必要があるが、より簡便に質問への回答だけでフレイルのリスクを判定するツールも本邦で開発された。YamadaらはJ-CHS基準を反映し「はい」または「いいえ」で回答できる質問を作成し(1つは記憶に関する新しい項目)、フレイル評価としての妥当性を報告した31)。これは簡易フレイル・インデックスとして知られている(表4)。自己報告ができる質問紙法であることから、外来での待ち時間や健康教室などで活用しやすい。

表4 簡易フレイル・インデックス(Yamada M, et al, 201531)より引用改変)
項目評価内容回答
体重減少 6か月間で2~3㎏の体重減少がありましたか? 1.はい 0.いいえ
歩行速度 以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか? 1.はい 0.いいえ
運動 ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか? 0.はい 1.いいえ
記憶

5分前のことが思い出せますか?

0.はい 1.いいえ
疲労感 (ここ2週間)わけものなく疲れたような感じがする 1.はい 0.いいえ

評価
上記5つの質問に「はい」または「いいえ」で回答し点数化する点数の合計が3点以上の場合フレイル、1または2点をプレフレイル、0点を健常とする

6:認知・精神・心理的フレイル

 身体的フレイルと認知機能障害や認知症の間には関連性が存在することが多く報告されている32)。しかし、この関連性は他の共通の暴露要因(例えば性ホルモンの減少、栄養状態、慢性炎症、心血管リスク、精神的問題)が介在している可能性があり、因果関係については合意形成に至っていない32)。認知的フレイルは、1)身体的フレイルの存在かつ認知機能障害があること、2)アルツハイマー病もしくは他の認知症ではないことの2基準を満たした状態であると、現在のところ国際コンセンサス会議から提唱されている(表5)33)。この認知的フレイルの定義はあくまでも操作的定義であり、今後の疫学研究の結果によっては修正される可能性がある。なお、認知機能障害は臨床認知症評価尺度(Clinical Dementia Rating:CDR)0.5で診断される。

 精神・心理的フレイルは国際的定義がまだ定まっていない(表5)。概念としては、身体的フレイルに、うつ、気分障害、不安、適応障害等の精神・心理的症状を併発しているものと考えられる。Shimadaらは、日本人地域在住高齢者を対象に、J-CHS基準で診断した身体的フレイルと老年期うつ病評価尺度5点以上(0点症状なし、15点満点)で定義した精神・心理的フレイルについて縦断研究を行った34)。その結果、身体的フレイルのみの高齢者が介護認定を受けるハザード比が1.69だったのに対し、精神・心理的フレイルの高齢者のハザード比は2.24と高かった34)

表5 認知的フレイルと精神・心理的フレイルの定義
種類発表者内容
認知的フレイル 国際栄養加齢学会(IANA)、国際老年学協会(IAGG) コンセンサス会議33) 身体的フレイルかつ認知機能障害認知症ではない認知機能障害は臨床認知症評価尺度(CDR: Clinical Dementia Rating)0.5
精神・心理的フレイル 国際定義はない
Shimada34) 身体的フレイルかつうつ症状うつ症状は老年期うつ病評価尺度(GDS-15: Geriatric DepressionScale-15)≧5点

7:社会的フレイルの評価

 社会的な問題は生活機能障害の一因になる可能性がある35)。高齢者は徐々に社会的な関係性や社会的環境に依存していていくと考えられ、身体的または認知・精神・心理的側面以外に、社会的側面に起因したフレイルというコンセプトが生まれた。社会的フレイルの評価方法はコンセンサスが得られているとはいいがたい。Buntらが系統的レビューの結果まとめた4領域(基本的社会ニーズの充足、社会資源、社会的行動や活動、一般的資源)を評価する手法がすすめられる。

 YamadaらはBuntの4領域に沿って診断した社会的フレイルの縦断研究結果を報告した36)。社会的フレイルであることは将来の要介護認定の原因になっていた。また、Makizakoらは社会的フレイルに関連した項目と要介護認定の関連を調査し、日本人の社会的フレイル評価に重要な5つの質問項目を同定した37)。これら2報告の社会的フレイル評価項目を表6に示す。

表6 社会的フレイルの評価
研究者評価項目判定
Yamada36) 1)「経済的状況に満足していますか?」の質問に対し、とても不満足であると回答した場合 2)「一人暮らしですか?」の質問に、はいと回答した場合 3)「どの社会活動に参加していますか(複数回答可)」選択肢:地域の祭りやイベント、近所の集会活動、自身が管理しているグループ、ボランティア活という質問に、ひとつも参加していないと回答した場合 4)「ご近所とのおつきあいをどのようにしていますか?」選択肢:お互いの家を行き来する人がいる、道端で話をする人がいる、挨拶をする人がいる、誰もコミニケーションを取っていないという質問に、後半2つの選択肢を選んだ場合 身体的フレイルかつ認知機能障害認知症ではない認知機能障害は臨床認知症評価尺度(CDR: Clinical Dementia Rating)0.5
精神・心理的フレイル 国際定義はない
Shimada34) 身体的フレイルかつうつ症状うつ症状は老年期うつ病評価尺度(GDS-15: Geriatric DepressionScale-15)≧5点

8:欠損累積モデルによるフレイルの評価

 欠損累積モデルのフレイル評価で最も知られているのはFrailty Indexである4、22)Frailty Indexは、症状、兆候、疾病、障害、検査値など多面的な項目を30項目以上検討し、検討した項目数に占める該当数の割合を計算し0-1の実数で表す。フレイルか否かを判断する検討もされているようであるが、主に、どの程度フレイルなのかという指標である。表7にFrailty Indexで用いる評価項目の例をカテゴリー別に示す。すべてのカテゴリーの項目を用いて30項目以上評価する必要がある。例えば、40項目検討した結果、10項目に異常を認めた場合、10/40=0.25と計算され、Frail Indexは0.25となる。開発者らの研究では、地域在住高齢者において、Frail Index 0.15前後にピークのあるガンマ曲線を描く分布を呈する4、22)

表7 Frailty Index の評価項目例(Searle SD, et al, 20084) & Mitnitski AB, et al, 200122) より著者作成)
症状徴候疾病障害検査
臥床しがちな生活 体重減少 高血圧 入浴 認知機能低下
活動量減少 健康観 心臓病 更衣 肺機能低下
外出機会減少 健康の変化 脳卒中 移動 上肢筋力低下
努力が必要だと感じる やせ がん 屋外歩行 握力低下
抑うつ 睡眠障害 糖尿病 摂食 歩行速度低下
幸福観 排せつ障害 慢性腎臓病 整容 血中電解質異常
孤独感 安静時振戦 関節症 トイレ使用 アルブミン低下
いつもの元気が出ない ディスキネジア 脊椎疾患 階段昇降 クレアチニン値
気分障害 頭痛 慢性肺疾患 移動 貧血
姿勢障害 視力低下 甲状腺疾患 家事 アルカリフォスタファーゼ値
消化器症状 聴力低下 皮膚疾患 食事の支度 ビタミンB12値
経過年数 無動 感覚器疾患 服薬 葉酸値
症状出現の速さ 失語/ 失行/ 失認 神経変性疾患 金銭管理 甲状腺ホルモン値

9:広義のフレイルを評価する

 3つのフレイルを包括的に評価する指標として、Tilburg Frailty Index8)がコンセプトを最も反映した指標であると考えられる。これは身体的フレイルに関連した項目として、体重減少、歩行、バランス、握力、疲労などの項目を含む。また、認知・精神・心理的フレイルに含まれる項目である記憶、うつ、不安、適応についての項目を含み、社会的フレイルに関連した独居、孤独感、他者からの支援、経済状況、婚姻状況についても回答させる。Tilburg Frailty Indexはさらに、慢性疾病や重篤な疾患の罹患について評価することから、欠損累積モデルでフレイルを評価しているとも考えられる。

 日本の老人保健事業・介護予防事業で用いられる基本チェックリストも3つのフレイルを包括的に評価する指標であると考えることができる23)。一般的に日常生活動作についての質問(基本チェックリスト1-5)は社会的フレイルに関連した項目である(表8)。また、基本チェックリスト18-20は認知、21-25は精神・心理的フレイルに関連している。

表8 基本チェックリストのフレイル関連項目
一般的分類質問項目フレイル関連分類
日常生活動作 1.バスや電車で、一人で外出していますか 社会
2.日用品の買い物をしていますか社会 社会
3.預貯金の出し入れをしていますか 認知・社会
4.友人の家を訪ねていますか 社会
5.家族や友人の相談にのっていますか 社会
運動器機能 6.階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか 身体
7.椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか 身体
8.15分位続けて歩いていますか 身体
9.この1年間に転んだことがありますか 身体
10.転倒に対する不安は大きいですか 精神・心理
栄養 11.6ヶ月間で2㎏から3㎏以上の体重減少がありましたか 身体
12.身長(㎝)と体重(㎏)およびBMI(注)身体 身体
口腔機能 13.半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか 身体
14.お茶や汁物等でむせることがありますか 身体
15.口の渇きが気になりますか 身体
閉じこもり 16.週に1回以上は外出していますか 社会
17.昨年と比べて外出の回数が減っていますか 社会
認知 18.周りの人から「いつも同じ事を聞く」などの物忘れがあると言われますか 認知
19.自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか 認知
20.今日が何月何日かわからない時がありますか 認知
うつ 21.(ここ2週間)毎日の生活に充実感がない 精神・心理
22.(ここ2週間)これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった 精神・心理
23.(ここ2週間)以前は楽にできていたことが今はおっくうに感じられる 精神・心理
24.(ここ2週間)自分が役に立つ人間だと思えない 精神・心理
25.(ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする 精神・心理

※介護予防事業の指針策定に係る調査研究事業「介護予防マニュアル改訂版」の基本チェックリスト各項目に関して、フレイル関連分類として著者が追記した

10:最新疫学研究

 最後に、フレイルの疫学研究において最重要論文は本書他項に譲るが、近年発表された本邦のフレイルに関する疫学研究を紹介する。

 健常である高齢者がフレイルになる要因について、Yukiらは活動量の違いを報告している38)。活動量計を装着し日常的な活動量を観察開始時点で測定した。中等度以上の活動(>3.0METs)が一日平均7.5分未満であること、および5,000歩/日未満しか歩いていないことは将来のフレイル発症の規定因子だった38)

 Ishiiらは要介護に進展する要因について、骨格筋量とフレイルの存在の関連を明らかにした39)。フレイルがなく骨格筋量減少だけの場合は2年後の要介護発生ハザード比は1.01(0.72−1.41)、p₌0.945であったのに対し、骨格筋量減少のないフレイルは同ハザード比は2.50(1.97−3.18)、p<0.001と高かった。また、骨格筋量減少を伴うフレイルの場合、同ハザード比は4.03(2.85−5.70)、p<0.001とさらに高かった39)。この結果から、骨格筋量減少を防ぐことがフレイル高齢者の要介護状態化を防ぐ一つの戦略になる可能性が考えられる。

 Tsutsumimotoらは、高齢者の食欲不振とフレイル発症および要介護進展について縦断研究結果を発表した40)。観察期間2年後には、ベースラインで食欲不振のあった高齢者の10.7%が要介護状態になっていた。しかし、多変量解析の結果、食欲不振は要介護の直接の原因ではなく、食欲不振はフレイルのない高齢者がフレイルを発症する原因だった40)。高齢者の栄養に関する問題を早期に抽出し、フレイル化を防ぐような介入が必要になることを示唆している。

 Abeらは、フレイル高齢者が健常に回復する割合とその決定因子について縦断研究結果を報告した41)。フレイルと判定された高齢者の15.2%が5年後に健常に回復していた。回復に寄与していたのは、農作業、知的活動、社会参加をしていることだとわかった41)。身体活動だけでなく、認知・精神・心理的フレイルや社会的フレイルに関わりのある要因の重要性を示唆している。同様に、Ikedaらは社会的フレイルの要素についてプレフレイルから健常に回復する要因を検討した42)。その結果、収入が多いことや教育期間が長いことはプレフレイルからの回復に関与する要因だった。

 Yukiらはフレイル発症と服用薬についての関連を報告した43)。常用薬が6剤以上である場合、平均観察期間6.2年後に21.7%の高齢者が新たにフレイルと診断された。一方、5剤以下だと4.8%であった。多変量解析で得られた多剤服用(6剤以上)のオッズ比は5.55(2.17-14.22)、p<0.001であることが分かった。一部のフレイル評価ツール(Sherbrooke Postal Questionnaire11)、The G8 Questionnaire12)、Groningen Frailty Indicator16)、Edmonton Frailty Scale19)、Comprehensive Geriatric Assessment20)には常用薬剤数が評価項目の一つに挙げられている。薬剤関連フレイルの存在についても注意が必要である。

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プロフィール

著者:前田 圭介
前田 圭介(まえだ けいすけ)
国立長寿医療研究センター 老年内科医長
最終学歴
2006年 熊本大学大学院医学研究科卒
主な職歴
1998年 熊本大学附属病院第二外科入局 2011年 玉名地域保健医療センター摂食嚥下栄養療法科・内科医長 2017年 愛知医科大学大学院緩和・支持医療学講師 2019年 同・准教授(2020年 同・客員教授) 2020年 国立長寿医療研究センター老年内科医長 現在に至る
専門分野
老年栄養学、臨床栄養学、摂食嚥下障害、栄養サポートチーム、緩和栄養、フレイル、サルコペニア、悪液質、リハビリテーション栄養