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第5章 口腔ケア 2.誤嚥リスクがある高齢者への安全な口腔ケア「水を使わない口腔ケア」

 

公開日:2020年5月28日 09時00分

国立長寿医療研究センター歯科口腔外科部
西澤 有生

国立長寿医療研究センター
歯科口腔先進医療開発センター長
角 保徳

1:はじめに

 平成30(2018)年の人口動態統計では肺炎の死亡者数は第5位であり1)、70歳以上の高齢者の肺炎のうち、約80%が誤嚥性肺炎と報告されている。高齢者が誤嚥性肺炎を発症する要因には、加齢による全身の免疫機能低下や、疾患または障害による嚥下障害や喀痰機能障害、さらには経管栄養によって口腔乾燥が生じることが挙げられる。それに加え、身体機能低下や認知機能低下によって口腔管理が不十分になり、口腔状態が悪化することも要因のひとつとされている。また、近年、口腔状態が悪化することは誤嚥性肺炎だけでなく、心内膜炎や敗血症、脳血管疾患に影響すると報告されており2、3)、口腔管理は高齢者医療の中で重要な課題のひとつとなっている。

 口腔細菌は、誤嚥性肺炎をはじめ全身の疾患と密接に関係していると考えられている。要介護高齢者の歯垢からは肺炎起炎菌が高い確率で検出されており4)、歯垢が肺炎起炎菌のリザーバーとなっている可能性が示唆されている。実際に、口腔ケアにより誤嚥性肺炎のリスクを低下させることが可能であるとの報告もされていることから、誤嚥性肺炎を予防するためには口腔ケアを行い、口腔衛生状態を改善する必要がある。

 しかし、誤嚥性肺炎が予防できるとの報告がある一方で、口腔ケアによって誤嚥性肺炎起炎菌を気管や肺に入れ込んでしまい、誤嚥性肺炎を誘発させる危険性も指摘されている。過去には、口腔ケア後の死亡事例の新聞報道や口腔ケア後の死亡事例が訴訟となり多額の損害賠償判決も報告されている5)。このことから、嚥下機能や喀痰機能が低下している要介護高齢者への口腔ケアはリスク管理を徹底する必要がある。

 口腔ケアにより誤嚥性肺炎を引き起こす原因については、口腔ケア時の洗浄水や汚染物の回収が不十分なことが考えられる。口腔ケアを行っている病院、施設、在宅の中には、口腔ケア後の汚染を口腔外へ排出するために水で洗浄する場合がある。嚥下機能や喀痰機能が低下している寝たきりの要介護高齢者に水を使って洗浄する口腔ケア方法では、誤嚥性肺炎起炎菌を含む洗浄水を誤嚥させるリスクがある。

 そこで本稿では、誤嚥リスクがある高齢者へ安全に口腔ケアを行うための「水を使わない口腔ケア」について述べる。

2:「水を使わない口腔ケア」

 菅ら6)は、口腔ケアで口腔用湿潤剤を歯磨剤に準じて用い、ブラッシングで遊離させた歯垢を湿潤剤で保持し、湿潤剤ごと口腔外に回収するという手法を提唱している。これは、洗浄水で口腔内を洗い流す方法と比較し、洗浄水の誤嚥リスクをなくし、さらには口腔ケアにて除去された汚染物の咽頭への落下を予防することが可能である。我々は、この意見に賛同し、さらに発展させて、先で述べたような嚥下機能や喀痰機能が低下し誤嚥リスクがある高齢者に対して、安全に口腔ケアを実施するために考案した方法が「水を使わない口腔ケア」である。

 「水を使わない口腔ケア」の特徴は、流動性が低く誤嚥しにくい口腔ケア用ジェルで痰や剥離上皮などの乾燥した汚染物を軟化させて絡めとり、吸引で口腔外へ排出する点である。この方法では咽頭に垂れ込みやすい水を使用せず、水と比較して流動性が低い口腔ケア用ジェルを使用するため、口腔ケア時の誤嚥予防が可能となる。また、吸引と併用することで、口腔ケアによって歯牙や粘膜より遊離した汚染物が咽頭へ落下することを防止し、誤嚥性肺炎起炎菌を効率的に口腔外へ排出することで誤嚥性肺炎防止に効果の高い手技となっている。

3:口腔ケア用ジェル

1.口腔ケア用ジェル「お口を洗うジェル」の開発

 現在、市場では多数の口腔湿潤剤が販売され、その物性には様々なものがある。我々は、安全に口腔ケアを施行するためのジェルの物性を検討し、口腔ケアに適した口腔ケア用ジェル「お口を洗うジェル」を開発した(図1)7)

図1:お口を洗うジェルの商品画像
図1 お口を洗うジェル(日本歯科薬品㈱)
口腔ケア用ジェル「お口を洗うジェル」医療関係者向けサイト/日本歯科薬品

 「お口を洗うジェル」は、口腔ケアに特化したジェルであり、従来の口腔湿潤剤とは異なる特性をもつ。それは、口腔内に広げやすい伸展性を有し、適度な粘性があることから汚染物をジェルで一塊とし、咽頭へ流入しにくくする。そして、最大の特徴は乾燥した汚染物を軟化させ吸引・除去しやすくすることである。この「お口を洗うジェル」を使用することにより、口腔ケアによる誤嚥を予防できるだけでなく、安全でより効果的な口腔ケアを実施できるようになった。

4:「水を使わない口腔ケア」の実際

 「水を使わない口腔ケア」は、口腔ケア時の誤嚥を予防することや、有病者や寝たきりの高齢者での口腔ケアを安全に行うために考案した専門的口腔ケア方法である。我々が考案した「水を使わない口腔ケア」はシステム化されており、我々が推奨する手順で行い、使用器具も指定の物を用いることで、口腔ケアの有効性が十分に発揮できる。「水を使わない口腔ケア」の手順は以下の通りである。

「水を使わない口腔ケア」の手順

①口腔周囲の清拭

 希釈したポピドンヨードをしみこませたガーゼで口唇周囲を清拭する。一番の目的は、口腔内と微生物叢の異なる口腔周囲の細菌を口腔内に持ち込むのを防ぐためである。また、口腔内をすぐに触るのではなく、口腔周囲から触れることにより、患者の口腔ケアに対する抵抗を減少させることも目的としている。

②口唇をジェルで保湿し、口角鉤を装着する

 術野の確保のため、口角鉤を装着し頬と口唇を排除する。その際、口唇乾燥がある状態で装着すると口唇や口角に裂傷が生じ出血する可能性があるため、必ず保湿を行う。

③吸引嘴管で除去可能な食渣や粘性の痰を除去する

 痰や唾液・食物残渣など、簡単に除去が可能な汚染物を吸引嘴管で吸引し口腔外へ排出する。ここで、可能な限り汚染物を減ら鉤すことで、後のケアの効率が上昇する。

④口腔内の保湿

 口腔乾燥がある場合、乾燥した口腔粘膜上皮が口腔粘膜や歯に張り付くことがある。無理にはがすと粘膜が傷つき出血する恐れがあるため、スポンジブラシを使って「お口を洗うジェル」を口腔内全体に塗布し、乾燥した汚染物を軟化させる。ジェルを塗布する際に大量に塗布すると咽頭へ流入する恐れがあることから、口腔内全体に薄くのばすように塗布する。

⑤ブラッシングと歯間ブラシ

 乾燥した汚染物にジェルが浸透するまでには時間がかかる。効率的に口腔ケアを実施するために、その時間を利用して歯ブラシと歯間ブラシによるブラッシングを行う。利き手に歯ブラシを、利き手と逆の手に吸引嘴管を持ち、ブラッシングにより歯面から遊離した汚染物を常に吸引嘴管で吸引し口腔外へ排出していく。さらに、歯間ブラシを使用し、歯間部の汚染物も除去する。この際、歯ブラシや歯間ブラシにも「お口を洗うジェル」を少量付けることで、汚染物を絡めとり、まとめて吸引することが可能となり、口腔内へ細菌をまき散らす心配がない。

⑥口蓋と舌の粘膜に張り付いた汚染物の除去

 ジェルが浸透し乾燥した口蓋と舌の汚染物が軟化した後、軟毛ブラシで乾燥した汚染物を剥がしていく。その際、吸引嘴管で粘膜から剥がれた汚染物を吸引していく。軟毛ブラシの動かし方は、汚染物が咽頭へ入ることがないように、口腔内の奥から手前に動かすことが基本となる。その際、口蓋や舌などの粘膜が脆弱となっている場合は、出血に注意する必要がある。

⑦口腔内の清拭

 口腔内の汚染物の除去が終了後、きれいに水洗いし水気をよく絞ったスポンジブラシで口腔内を清拭し、口角鉤を外す。口角鉤がかけられていた頬粘膜部分も清拭する。

⑧保湿

 口腔乾燥がある場合、乾燥により汚染しやすくなることから、口腔ケア終了後にも保湿目的でスポンジブラシを使ってジェルを薄く口腔内全体に塗布する。

⑨口腔周囲の清拭

 水をしみこませたガーゼで口腔周囲を清拭し、口腔周囲に付着したジェルや汚染物を取り除く。

 以上が、「水を使わない口腔ケア」の手順である。より詳しい手技は、国立研究開発法人国立長寿医療研究センター口腔ケア外来ホームページで確認が可能である。

国立長寿医療研究センター:口腔ケア外来.(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

5:「水を使わない口腔ケア」に関するQ&A

 我々は、口腔ケア時の誤嚥リスクを低減させる目的で、口腔ケア用ジェルの「お口を洗うジェル」と吸引を併せた口腔ケアシステムである「水を使わない口腔ケア」の開発を行った。この「水を使わない口腔ケア」を用いて口腔ケアを実施することで、要介護高齢者の全身疾患の改善や健康増進に寄与できるように、講演活動や出版活動を実施している。その中で、口腔ケアを実際に行っている多くの医療・介護従事者の方から質問を受けるため、この場を借りて多く寄せられる質問について解説させていただく。

1.「お口を洗うジェル」について

1)一回の口腔ケアでの使用量について

 ジェルの使用量は口腔乾燥の程度によって左右される。口腔乾燥がなく歯牙への歯垢の付着が認められるだけの場合、ジェルは歯垢を絡めとる用途で用いることから1㎝程度が目安となる。一方で口腔乾燥が重度であり、なおかつ乾燥痰や剥離上皮などの汚染物が大量に付着している場合は、「お口を洗うジェル」で乾燥痰や剥離上皮を軟化させる必要があるため5-10cm使用する。しかし、これらはあくまでも目安であることから、その患者さんの口腔内の清掃状態や口腔乾燥の程度によって使用量には変動がある。また、一度に多量のジェルを塗布してしまうと咽頭にジェルが流れ込んでしまい、誤嚥のリスクとなる。そのため、最初の保湿時の使用量は口腔粘膜に一層薄く塗布する程度にし、軟化が不十分な場合はジェルを付け足すことで、安全で効率的に口腔ケアを実施することが可能となる。

2)ジェル塗布後の乾燥痰や剥離上皮が軟化するまでの時間について

 乾燥痰や剥離上皮の軟化時間は、乾燥の度合いや汚染物の量や厚さによって変化する。多くの場合はブラッシングの時間で軟化できる場合がほとんどであるため、放置する時間は5分以内である。しかし、口腔乾燥が強く汚染物も多い場合はブラッシング後でも軟化が不十分な場合がある。そのため、もう少し放置する時間を延ばす、もしくは、ジェルを付け足しさらに放置する必要があるため、時間としては5-10分要する場合もある。

 我々が実際に口腔ケアを行う場合、口腔乾燥が重度で乾燥痰や剥離上皮などの汚染物が多量な場合は、ジェルを口腔ケアの最初に加え、ブラッシングと歯間ブラシの間と、汚染物を軟毛ブラシで除去する前にもジェルを追加している。汚染物を保湿後に放置した後に、軟毛ブラシで汚染物の縁を軽くこすり汚染物が剥がれてくれば、汚染物が軟化した目安である。

3)口腔内の保湿剤としての使用について

 「お口を洗うジェル」は乾燥した痰や剥離上皮を軟化させることに特化したジェルであるが、ヒアルロン酸等の湿潤剤も配合されており、その他の成分にも身体に害がない成分で構成されているため、口腔内の保湿剤としても使用可能である。そのため口腔ケアの間に、口腔乾燥が認められた場合に使用することで、口腔乾燥を防ぎ、口腔環境の悪化を予防することができる。また、口腔内の保湿剤として塗布することで、口腔ケアを行う際に汚染物の除去が容易になるため、こまめに塗布することを推奨する。

2.「水を使わない口腔ケア」の使用器具について

1)吸引嘴管の種類について

 吸引嘴管は、同じ吸引器を使用したとしても吸引嘴管の形状によって吸引力が大きく変わってしまう。そのため事前に吸引器と吸引嘴管を組み合わせて、使用に問題がないかを十分に確認する必要がある。国立長寿医療研究センターでは「吸引管 への字型 No.6長型(第一医科製)」を使用している。この吸引嘴管は、病棟の吸痰用吸引器の吸引チューブに接続して使用可能である。

 また、吸引嘴管先端の横に穴が開いている製品もあるが、横に穴が開いていると吸引圧が低下し、狙った汚染物を回収できないため、横に穴が開いていないものを選択することが重要なポイントである。

 現在、国立長寿医療研究センターでは、「水を使わない口腔ケア」専用の吸引嘴管を日本歯科薬品(株)と共同開発中で、近い将来、発売予定である。

2)吸引器の吸引圧について

 「水を使わない口腔ケア」で使用している「吸引管 への字型 No.6長型(第一医科製)」を病棟の吸痰用吸引器に接続する場合は、吸引圧を

-50~-30kPaに設定して使用している。吸引圧が強すぎると粘膜を吸ってしまった場合に粘膜を損傷させる可能性があり、逆に吸引圧が弱いと汚染物を確実に回収できず、誤嚥のリスクとなってしまう。

 また、在宅で使用する吸引器の場合は、最大吸引圧-80kPa、排気流量30L/minを満たす製品を推奨している。最大吸引圧や排気流量が満たない場合は吸引圧が弱くなり、効果的に口腔ケアが実施できない可能性があることから、口腔ケアで使用する吸引器を選択する場合には最大吸引圧と排気流量に注意が必要である。

3)吸引嘴管の代わりに吸引スポンジや吸引カテーテルの使用について

 病院や施設によっては吸引嘴管の購入が難しいことから、以前から使用していた吸引スポンジや吸引カテーテルを吸引嘴管の代わりに使用したいとの声が良く聞かれる。しかし、吸引スポンジはまとまった乾燥痰などの汚染物の吸引が難しく、さらには孔が大きいためピンポイントでの吸引が困難である。さらに、吸引スポンジの多くは孔が横についており、咽頭に貯留した唾液の吸引も困難である。吸引カテーテルは、カテーテル自体にコシがなく、折れ曲がってしまう(図2)ことから狙った場所に当てることが難しく、非常に操作性が悪い。さらに横穴が開いているタイプのものでは吸引圧が漏れてしまうことから汚染物を吸引することができない。誤嚥のリスクを下げ安全に効率よく口腔ケアを行うためには、吸引嘴管を用いることを推奨しており、吸引嘴管を使用することで「水を使わない口腔ケア」の有効性を十分に発揮することができる。

図2:吸引嘴管と吸引カテーテルの写真
図2 吸引嘴管と吸引カテーテルの比較
上:吸引嘴管 下:吸引カテーテル

4)吸引嘴管の滅菌方法について

 吸引嘴管は口腔ケア1回ごとに酵素系浸漬洗浄剤で洗浄し、高圧蒸気滅菌を行っている。口腔ケア時に血液や血液交じりの痰を吸引すると、吸引嘴管内で血液が固まる場合があるため、必ず酵素系浸漬洗浄剤(血液タンパク溶解剤)に浸漬し、血液などの汚染物を溶解した後に高圧蒸気滅菌を行う。さらに、高圧蒸気滅菌を行う際は吸引嘴管を1本ずつに個包装することで、口腔ケア時に患者毎に吸引嘴管を取り出すことが可能となり、常に清潔な状態で使用することができる。

 また、吸引嘴管のつまりを防止するためには、口腔ケア後に必ず水を吸引することも重要である。使用後に汚染物が吸引嘴管内にある状態で時間が経過してしまうと酵素系浸漬洗浄剤でも溶解することができない場合がある。そのため、口腔ケア終了時に20㏄程度の水を吸引し、吸引嘴管内の汚染物をある程度排出することで酵素系浸漬洗浄剤の効力が十分に発揮できる。

5)口角鉤使用時の注意点について

 口角鉤は手技や患者の口腔内の状態によって、装着時に疼痛を生じる可能性がある。この疼痛が原因で口腔ケアを拒否されることもあるため、使用方法には十分注意する必要がある。下記に口角鉤を装着する際の注意点を記載する。

①口角の傷の有無を確認する

 口角に傷や口角炎がある場合、口角鉤を装着することによって悪化する可能性がある。そのため、口角鉤を装着する前には必ず傷や口角炎の有無を確認し、傷や口角炎がある場合は装着を控える。

②必ず口唇の保湿を行う

 口唇乾燥がある際にそのまま口角鉤を装着すると、口唇や口角に裂傷が生じる可能性がある。そのため、口角鉤を装着する際は口唇と口角の保湿をしっかり行うことで、装着時の裂傷を防止できる。

③口角鉤が顎堤(歯肉)に当たる場合は口角鉤のサイズを変更する

 口角鉤が顎堤に接触すると強い痛みが生じる。口角鉤が顎堤に接触する原因の一つに、口角鉤のサイズが小さく口の大きさに合っていないことがある。そのため、口角鉤のサイズを一回り大きいものへ変更することによって、顎堤への接触を軽減することが可能となる場合がある。

3.口腔ケアの手技について

1)痰や剥離上皮の剥がし方について

 痰や剥離上皮は、口腔乾燥が重度である場合や広範囲に付着している場合に極めて除去が難しくなる。このような汚染物が除去できない原因として、術者が汚染物の上を擦っている可能性が考えられる。口蓋や舌に付着する痰や剥離上皮は、薄く広範囲に付着している場合が多く、その上を擦っても剥がれることはない。そのため、汚染物の縁に軟毛ブラシの毛を引っかけることで汚染物を剥がすことが可能となる。この際に、少し剥がれた部分を吸引嘴管で吸い上げながら、軟毛ブラシで汚染物と粘膜の間を擦っていくと汚染物が切れることなく一塊で除去することが可能である。汚染物を「シールを剥がすように」除去することがポイントで、少しずつ切り取りながら除去するよりも一塊で除去する方が効率的であり、さらには汚染物が飛び散ることなく除去できる。

2)スポンジブラシの使用方法について

 「水を使わない口腔ケア」では口腔内の保湿で水を使用しないが、スポンジブラシを使用する場合は、最初に水で濡らしてよく絞ってから使用することを推奨している。理由としては、スポンジブラシが乾燥している場合は「お口を洗うジェル」がスポンジブラシに吸収されてしまい、口腔内へ十分に塗布できなくなってしまうためである。一度水で濡らしよく絞ってから使用すると、スポンジブラシの上にジェルが乗るので、ジェルを効率的に口腔内に塗布することができる。また、乾いた状態だとスポンジブラシにジェルが吸収されてしまいジェルの使用量が増加してしまうが、水で濡らしてから使用することでジェルの吸収を抑えることができ、ジェルの消費量を削減することも可能である。

文献

  • 1)厚生労働省:平成30年人口動態統計合邦年計(概数)の概況(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  • 2)Bahekar AA, Singh S, Saha S, et al.: The prevalence and incidence of coronary heart disease is significantly increased in periodontitis: a meta-analysis Am Heart J 2007; 154: 830-837.
  • 3)Armin J. Grau, Heiko Becher, Christoph M. Ziegler, et al.: Periodontal Disease as a Risk Factor for Ischemic Stroke. Stroke 2004; 35: 496-501.
  • 4)Sumi Y, Miura H, Michiwaki Y, et al.: Colonization of dental plaque by respiratory pathogens in dependent elderly. Arch Gerontol Geriatr 2007; 44 (2): 119-124.
  • 5)角保徳:口腔ケア時の手技・モニター観察注意義務. 医療判例解説 2010; 29: 126-130.
  • 6)菅武雄, 木森久人, 小田川拓矢, 他:口腔湿潤材を用いた口腔ケア手法. 老年歯学 2006; 21 (2): 130-134.
  • 7)守谷恵未, 松山美和, 犬飼順子, 他:口腔ケア時の誤嚥予防の試み 口腔ケア用ジェルの新規開発 . 老年歯学 2016; 53 (4): 347-333.

プロフィール

写真:共著者の西澤有生先生
西澤 有生(にしざわ ゆう)
国立長寿医療研究センター 歯科口腔外科部
最終学歴
2019年 徳島大学大学院口腔科学教育部口腔保健学専攻博士前期課程卒 口腔保健学修士(徳島大学口腔科学教育部口腔保健学) 同・後期課程在学中
主な職歴
2016年 国立長寿医療研究センター歯科口腔外科部 資格 歯科衛生士
写真:筆者の角保徳先生
角 保徳(すみ やすのり)
国立長寿医療研究センター 歯科口腔先進医療開発センター長
最終学歴
1981年 東京医科歯科大学歯学部卒 1985年 名古屋大学大学院医学研究科修了(医学博士)
主な職歴
1986年 名古屋大学医学部助手 1990年 名古屋大学医学部講師、小牧市民病院歯科口腔外科部長 2004年 国立長寿医療センター先端医療部口腔機能再建科医長 2011年 国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター歯科口腔先端診療開発部部長 2014年 同・歯科口腔先進医療開発センターセンター長 現在に至る 日本老年歯科医学会評議員、専門医・指導医、日本口腔外科学会専門医・指導医、Geriatric Medicine 編集アドバイザー 客員教授 岡山大学、徳島大学、松本歯科大学、岩手医科大学、鹿児島大学 非常勤講師 東京医科歯科大学、鶴見大学、昭和大学、徳島大学、東京歯科大学
主な著書
「超高齢社会のための専門的口腔ケア 要介護・有病者・周術期・認知症への対応」医歯薬出版(2017年)、「一からわかる抜歯の臨床テクニック 第2版」医歯薬出版(2017年)、「臨床口腔外科学 一からわかる診断から手術」医歯薬出版(2016年)、「プロフェッショナルシリーズお年寄りに優しい治療・看護・介護 8」医学と看護社(2013年)、「歯科医師・歯科衛生士のための専門的な口腔ケア~超高齢社会で求められる全身と口腔えの視点・知識~」医歯薬出版(2012年)、「新編5分でできる口腔ケア―介護のための普及型口腔ケアシステム」医歯薬出版(2012年)、「一からわかる抜歯の臨床テクニック」医歯薬出版(2008年)、「一からわかる口腔外科疾患の診断と治療」医歯薬出版(2006年)、「5分でできる口腔ケア:介護のための普及型口腔ケアシステム」医歯薬出版(2004年)

※筆者の所属・役職は執筆当時のもの

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