健康長寿ネット

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サルコペニアの診断

公開日:2021年10月29日 10時00分
更新日:2021年11月29日 14時04分

 2019年、アジア各国よりサルコペニアの研究者が集まり、サルコペニアの診断方法について話し合いました。そこから報告されたのが、Asian Working Group for Sarcopenia 2019(AWGS2019)です1)。実は、2014年にもこのアジアのサルコペニアワーキンググループよりサルコペニアの診断方法が報告されており2)、AWGS2019はその改訂版ということになります。サルコペニアの研究は、他の疾病と比較すると未だ歴史が浅く、日々様々な知見が報告されています。そのため、今後も診断方法については、最新の研究成果に基づきながら定期的に見直しがなされるものと思います。

 現在、日本サルコペニア・フレイル学会でも推奨しているのがAWGS2019に基づいたサルコペニア診断です(図1、図2)。この基準では、サルコペニアを筋肉の力、機能、量という3つの指標によって判定します(図3)。筋肉の力、筋力は握力にて判定します。筋肉の機能は、歩行速度、5回椅子立ち上がりテスト、Short physical Performance Battery(SPPB)のいずれかで判定します。筋肉の量は生体電気インピーダンス法(BIA法)もしくは二重エネルギーX線吸収法(DXA法)という2種類の方法によって計測することができます。これらの方法によって両腕両脚の筋肉量を算出し、この腕脚の筋肉量を身長(m2)で補正した値を骨格筋指数(SMI)と呼びます。サルコペニアの判定には、筋肉の量が低下していることが必須条件となり、筋肉の力と機能のいずれかが低下している場合にサルコペニア、両方ともに低下している場合に重症サルコペニアと判定します。

図1:サルコペニアの診断基準AWGS2019を表す図。
図1 AWGS20191)
図2:AWGS2019でのサルコペニア診断基準値一覧を示す図。
図2 AWGS2019の基準値一覧1)
図3:筋力の3要素力、機能、量を表す図。
図3 筋肉の3要素

 なお、BIA法やDXA法を用いた筋肉量計測は設備が整った機関でしか受けることが出来ません。このような条件が整っていない環境下では、筋肉の力と機能のいずれかが低下している場合にサルコペニアの可能性ありと判断し、運動や栄養を意識した対策を講じることや、専門機関へ紹介することが推奨されています。気になる方、まずはかかりつけの医師にご相談ください。

文献

  1. Chen LK, Woo J, Assantachai P, Auyeung TW, et al. Asian Working Group for Sarcopenia: 2019 Consensus Update on Sarcopenia Diagnosis and Treatment.J Am Med Dir Assoc. 2020 Feb 4. pii: S1525-8610(19)30872-2. [Epub ahead of print]
  2. Chen LK, Liu LK, Woo J, Assantachai P, et al. Sarcopenia in Asia: consensus report of the Asian Working Group for Sarcopenia.J Am Med Dir Assoc. 2014 Feb;15(2):95-101. doi: 10.1016/j.jamda.2013.11.025.(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

筆者

写真:筆者_山田実先生
山田 実(やまだ みのる)
筑波大学人間系 教授
最終学歴
2010年 神戸大学大学院医学系研究科博士後期課程修了(保健学博士)
主な職歴
2008年 京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻助手、2010年 同・助教、2014年 筑波大学人間系准教授、2019年 同・教授、現在に至る。
専門分野
老年学、リハビリテーション

長寿科学研究業績集「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」の冊子について

 長寿科学研究業績集は学術的研究成果の中で、社会のニーズにあったテーマを医療等従事者向けに編集した研究マニュアルです。各関係機関に活用いただくことで研究成果の普及啓発を図かっております。

 令和2年度長寿科学研究業績集は「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」(令和3年3月下旬発刊)と題し、著名な先生方にご解説いただきます。

業績集「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」(財団ホームページ)(新しいウインドウが開きます)

令和5年度「長生きを喜べる長寿社会実現研究支援」の公募情報を公開しました

 公益財団法人長寿科学振興財団は令和5年度の長寿科学研究者支援事業「長生きを喜べる長寿社会実現研究支援」を公募します。本事業は財団ビジョン「長生きを喜べる長寿社会実現~生きがいのある高齢者を増やす~」を達成するため、超高齢社会の課題の解決となる実用的な方法(製品やサービス、仕組みなど)の研究開発から本格的な社会実装を含めた一気通貫の課題解決型のプロジェクトを採択し、支援するものです。

 令和5年度の公募情報を当財団ホームページにて公開をいたしました。

  • 提案受付期間:7月1日(金)~7月29日(金)
  • 助成金額:年間上限3,000万円
  • 助成期間:最長10年間
  • 採択件数:0件から2件程度

令和5年度 長生きを喜べる長寿社会実現研究支援の公募(新しいウインドウが開きます)

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 当財団は、「長生きを喜べる長寿社会実現」のため、調査研究の実施・研究の助長奨励・研究成果の普及を行っており、これらの活動は皆様からのご寄付により成り立っています。

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 新型コロナウイルス感染症の感染が再び拡大する可能性がある状況で、毎日ご不安に感じられている方も少なくないと思われます。特に高齢者の方におかれましては感染予防を心掛けながら健康を維持していくことが大事です。

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