健康長寿ネット

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フレイルの診断

公開日:2021年10月29日 10時00分
更新日:2022年6月21日 10時20分

フレイルの評価基準

 フレイルの評価として、下記のFriedらの評価基準が国際的によく用いられています。

Friedらのフレイルの評価基準
  1. 体重減少
  2. 主観的疲労感
  3. 日常生活活動量の減少
  4. 身体能力(歩行速度)の減弱
  5. 筋力(握力)の低下

 FriedらのCHS基準をもとに、日本人高齢者に合った指標に修正し、2020年、日本版フレイル基準が改訂されました。

日本版フレイル基準(J-CHS基準)1)

表:改訂日本版フレイル基準(J-CHS基準)1)Satake S and Arai H. Geriatr Gerontol Int. 2020; 20(10): 992-993
項目評価基準
体重減少 6か月で、2㎏以上の(意図しない)体重減少
(基本チェックリスト#11)
筋力低下 握力:男性<28㎏、女性<18㎏
疲労感 (ここ2週間)わけもなく疲れたような感じがする
(基本チェックリスト#25)
歩行速度 通常歩行速度<1.0m/秒
身体活動 ①軽い運動・体操をしていますか?
②定期的な運動・スポーツをしていますか?
上記の2つのいずれも「週に1回もしていない」と回答

※ 5つの評価基準のうち、3項目以上に該当するものをフレイル(Frail)、1項目または2項目に該当するものをプレフレイル(Prefrail)、いずれも該当しないものを健常(Robust)とする。

フレイルの診断方法

 2006年から近い将来、フレイルとなる高齢者を早期に発見して支援を行う介護支援事業の生活機能評価でフレイルの身体的、精神的、社会的側面を含む項目をチェックできる図1のような基本チェックリストが使用されています。

図1:厚生労働省の介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル(改訂版)にある基本チェックリスト
図1:基本チェックリスト 2)

 生活機能評価は、基本チェックリストと生活機能チェック(問診、身体測定、理学的検査、血圧測定)、生活機能検査(身体検査、循環器検査、貧血検査、血液化学検査)から構成されています。

 基本チェックリストでは、以下の1から4までのいずれかに該当する場合に介護支援事業の対象の候補となります2)

  1. 1から20までの項目のうち10項目以上に該当する者
  2. 6から10までの5項目のうち3項目以上に該当する者
  3. 11及び12の2項目すべてに該当する者
  4. 13から15までの3項目のうち2項目以上に該当する者

介護予防のための生活機能チェック(25問)

フレイルチェックの方法

 フレイルの早期発見、早期介入のために、市民が主体となってフレイル予防に取り組んでいくために、東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授によって、「フレイルチェック」が考案されました。

 この市民による市民のための「フレイルチェック」は大きく分けて、簡易チェックと総合チェック(深掘りチェック)の2つで構成されています。

簡易チェック

 最初の「簡易チェック」は、指で輪っかをつくり、ふくらはぎを囲んでチェックする「指輪っかテスト」(図2)と、身体的、精神的、社会的の3つの面(栄養、歯科口腔、運動、社会性、うつ、等)を評価できる11の質問からなる「イレブンチェック」(図3)で構成されています。

図2:フレイル簡易チェックの指輪っかテストを示す図。指で輪っかをつくりふくらはぎを囲んでフレイルかどうかチェックする。隙間ができる場合はフレイルの疑いがある。
図2:指輪っかテスト 3)
図3:イレブンチェック表。11項目の質問に対し「はい」「いいえ」で回答し、「はい」の場合は青色、「いいえ」の場合は赤色のシールを表に貼り付ける。
図3:イレブンチェック 3)

イレブンチェック

  1. ほぼ同じ年齢の同性と比較して健康に気を付けた食事を心がけていますか
  2. 野菜料理と主菜(お肉またはお魚)を両方とも毎日2回以上は食べていますか
  3. 「さきいか」、「たくあん」くらいの固さの食品を普通に噛み切れますか
  4. お茶や汁物でむせることがありますか
  5. 1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施していますか
  6. 日常生活において歩行または同等の身体活動を1日1時間以上実施していますか
  7. ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が速いと思いますか
  8. 昨年と比べて外出の回数が減っていますか
  9. 1日に1回以上は、誰かと一緒に食事をしますか
  10. 自分が活気に溢れていると思いますか
  11. 何よりまず、物忘れが気になりますか

総合チェック

 身体面や口腔機能、社会面、精神面を詳しく評価できる「総合チェック(深掘りチェック)」(図4)があります3)

フレイルチェック事業の全国展開

 2015年度より、フレイルチェック事業が神奈川県茅ケ崎市で開始され、2016年度には神奈川県小田原市や厚木市、そして福岡県飯塚市などで開始されております。養成研修を受けた市民ボランティアのフレイルサポーターが主体となって、フレイルチェックを実施して、市民参加者の評価を行います。 そして、このフレイルチェックを軸として、半年単位で定期的にフォローアップしていき、その間の期間は市民自身が継続性のある本人に見合ったフレイル対策を取り組むこととなっております。市民が自ら身体面、精神面、社会面の多面性のあるフレイルに関心を持ち、予防の意識を持って健康的なまちづくりに取り組むことを目指しており、今後は全国的に展開されていく予定です。

図5:地域サロンにおけるフレイルチェック実施風景写真
図5:地域サロンにおけるフレイルチェック実施風景 引用:3)

フレイルに関するお問い合わせ先

 フレイルに関してのお問い合わせは東京大学高齢社会総合研究機構までお願いいたします。

東京大学高齢社会総合研究機構
E-mail: info●iog.u-tokyo.ac.jp(●は@)

健康長寿ネットで生活機能をチェック

 健康長寿ネットの「介護予防のための生活機能チェック」で基本チェックリストを使って生活機能をチェックすることができます。運動機能・栄養・口腔機能・生活機能、・閉じこもり・認知症・うつのこれらの機能や症状についてチェックできます。

リンク 「介護予防のための生活機能チェック」

参考文献

  1. 日本版フレイル基準(J-CHS基準) 各種ダウンロード 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  2. 介護予防のための生活機能評価に関するマニュアル(改訂版)厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウィンドウが開きます)
  3. 平成27年度 老人保健健康増進事業等補助金老人保健健康増進等事業 口腔機能・栄養・運動・社会参加を総合化した複合型健康増進プログラムを用いての新たな健康づくり市民サポーター養成研修マニュアルの考案と検証(地域サロンを活用したモデル構築)を目的とした研究事業 平成28年3月 東京大学 高齢社会総合研究機構 主任研究者 飯島 勝矢 (PDF)(外部サイト)(新しいウィンドウが開きます)

長寿科学研究業績集「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」の冊子について

 長寿科学研究業績集は学術的研究成果の中で、社会のニーズにあったテーマを医療等従事者向けに編集した研究マニュアルです。各関係機関に活用いただくことで研究成果の普及啓発を図かっております。

 令和2年度長寿科学研究業績集は「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」(令和3年3月下旬発刊)と題し、著名な先生方にご解説いただきます。

業績集「フレイル予防・対策:基礎研究から臨床、そして地域へ」(財団ホームページ)(新しいウインドウが開きます)

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