令和7年度助成 長生きを喜べる長寿社会実現研究支援 採択プロジェクトについて
公益財団法人長寿科学振興財団(以下「当財団」という。)は、財団ビジョン「長生きを喜べる長寿社会の実現~生きがいのある高齢者を増やす~」を達成するため、長寿科学研究者等支援事業「長生きを喜べる長寿社会実現研究支援」(以下「本事業」という。)を実施しています。本事業は課題解決になる実用的な方法の研究開発から本格的な社会実装を含めた一気通貫の課題解決型のプロジェクトを採択し、支援するものです。
令和7年度の本事業の公募では産学官民各界より多数のご提案がありました。公募締切後、提案書を受理した32件について第一次審査(書類審査)、第二次審査(プレゼンテーション審査)、最終審査を審査評価委員会が実施し以下のプロジェクトを採択内定としました。
No. | プロジェクトリーダー氏名 | 所属団体・部署・役職 | プロジェクト名 | 開始ステージ | 初年度助成額 |
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1 | 櫻井 孝 | 国立長寿医療研究センター研究所長 | B:実装研究(研究期間:令和7年度から令和9年度) 1年目/3年間 |
令和7年度: 30,000,000円 |
審査講評(審査評価委員長 駒村 康平)
長寿科学研究者支援事業「長生きを喜べる長寿社会実現研究支援」(以下「本事業」という。)は、公益財団法人長寿科学振興財団(以下「財団」という。)のビジョン「長生きを喜べる長寿社会の実現~生きがいのある高齢者を増やす~」に基づき、我が国が直面する課題の中でも、高齢社会における課題解決を目指す貴重な助成事業である。本事業は、長寿科学の観点でアプローチされた実用的な方法を研究開発し、社会実装まで取り組める課題解決型のプロジェクトを採択するものである。
総評
審査基準に基づき、合議による結果、令和6年度(7年度助成)の本事業で採択するプロジェクトは上記に示すプロジェクトを採択した。我々委員は、審査基準に基づき社会へのインパクトとともに、研究手法の厳密性や事業可能性、その実行組織体制を審査し、そのいずれも十分に満たす提案として採択したものである。本提案は、研究者サイドと展開サイド2本立て(商品と販売)により提案されており、研究(商品)価値を高めることと、展開(販売)方法を期待するとして、採択条件・意見とした。
32件の提案の内訳は、大学及び研究機関から21件、企業8件、NPO、一社、公財から各1件あり、公募分類は、A(探索研究)・B(実装研究)のみであり、C(社会実装)・D(展開)の応募はなかった。17件の提案には、評価点の高い点が存在し、「優れている」「やや優れている」という評価を付して提案者に通知したところである。
本事業は大きな意味で、「長寿社会の諸問題を解決する」プロジェクトを支援するという目的を持っている以上、(1)プロジェクトが特定分野の研究者目線または、企業営利目線によってのみ作られ、ひとりよがりの内容になっていないか(2)技術面の可能性だけではなく、社会に受け入れられる可能性を十分に検討しているのか、といった視点は極めて重要である。
令和7年度以降の本助成応募においては、さらに多様な視点からの提案を期待したいと考えます。特に、以下の点に留意し、応募者にはより広範な社会的視野を持つ提案を行っていただきたいと思います。
1.社会的影響を強く意識した提案
高齢化社会における課題解決に向けた具体的で実行可能な手段を講じ、その社会的影響を意識した提案が重要です。技術的な革新にとどまらず、社会全体にどのような形で貢献できるかを明確にすることが求められます。
2.学際的なアプローチ
本事業が求める課題は多岐にわたるため、研究分野の枠を超えた学際的なアプローチが重要です。異なる分野の知見を融合させることで、より効果的かつ革新的な解決策が生まれることを期待します。
3.社会実装のための具体的な戦略
提案内容が実際に社会で実行されるための戦略が必要です。研究者サイドだけでなく、展開サイド(事業運営や販売など)の具体的な計画を立て、その実現可能性を示すことが採択の重要な基準となります。
4.持続可能な事業設計
長期的に持続可能な事業モデルが構築されているかどうか、またその事業がどのように社会的価値を維持していくのかをしっかりと検討した上で提案を行っていただきたいと考えます。
これらの視点を踏まえ、今後の提案がさらに社会に貢献できるものとなるよう、応募者の皆様にはこれからも研究成果を社会実装に繋げる努力を続けていただきたいと切に願います。
公募について、審査手続き・審査基準について
公募について、審査手続き・審査基準等については以下のページをご覧ください。