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第20回国際シンポジウム「高齢者医療における栄養管理の重要性」開催報告

 

公開月:2026年4月

1.長寿医療研究センター国際シンポジウム

 長寿医療研究センター国際シンポジウム(International Symposium on Geriatrics and Gerontology, ISGG)は、2004年に我が国における6番目のナショナルセンタ一としてあらたな活動を開始した国立長寿医療研究センター(National Center for Geriatrics and Gerontology,NCGG)において、長寿医療の発展と普及を促進し、老化のメカニズムならびに老化関係疾患の病態解明と治療薬開発に関する新しい情報を発信することを目的に開催されている。毎年NCGGが主催し、公益財団法人長寿科学振興財団(The Japan Foundation for Aging and Health)が共催、多くの企業、団体のご後援を得て、センター内からの発表に加え、当該領域を代表する国内外の著名な研究者ならびに医療関係者を招聘し、広く参加者を求め、定例開催を継続している。2026年1月12日に開催した今回のシンポジウムで、開催は20回を重ね、その評価も定着しつつあるが、今後ますます国際的にも関心の高まる超高齢社会における健康長寿の延伸に向けたさらなる発展をめざすものである。

2.第20回国際シンポジウム開催のねらい

 本国際シンポジウムは、急速に進行する世界的な高齢化を背景に、高齢者の健康維持、自立支援および生活の質(QOL)向上において、栄養管理が果たす役割を多角的かつ包括的に検討することを目的として企画された。高齢者医療の現場では、認知症、サルコペニア、糖尿病をはじめとする慢性疾患や老年症候群が相互に関連し合いながら進行することが多く、これらに横断的に関与する栄養管理の重要性がますます高まっている。

 本シンポジウムでは、基礎研究から臨床研究、さらに医療・介護現場における実践的取り組みまでを視野に入れ、最新の科学的エビデンスと現場で直面する課題を結びつけることを重視した。これにより、栄養管理が疾患予防、機能維持、QOL向上において果たす中心的役割を明確にするとともに、国内外の研究者、臨床医、医療専門職が一堂に会する国際的な議論の場を通じて、知見の共有と相互理解を促進し、今後の高齢者医療における栄養管理の質的向上および国際的・学際的連携の深化を図ることをねらいとした。

3.開催概要

催事名

第20回長寿医療研究センター国際シンポジウム
The 20th International Symposium on Geriatrics and Gerontology

テーマ

Importance of Nutritional Management in Geriatric Healthcare
「高齢者医療における栄養管理の重要性」

開催日時

2026年1月12日(月)10:30~16:40

開催場所

名古屋国際センター別棟ホール
(愛知県名古屋市中村区那古野1-47-1)

主催

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター

共催

公益財団法人長寿科学振興財団

後援

日本老年学会、一般社団法人日本老年医学会、一般社団法人日本認知症学会、一般社団法人日本神経学会、一般社団法人日本神経科学学会、一般社団法人日本サルコペニア・フレイル学会、一般社団法人日本糖尿病学会、一般社団法人日本病態栄養学会、一般社団法人日本肥満学会、国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学、公立大学法人名古屋市立大学、学校法人藤田学園藤田医科大学病院、愛知医科大学、国立大学法人三重大学、国立大学法人浜松医科大学、国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学、国立大学法人京都⼤学、国立健康危機管理研究機構、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター、厚生労働省、愛知県、名古屋市、大府市、東浦町、株式会社朝日新聞社、株式会社毎日新聞社 中部本社、株式会社読売新聞 中部支社、東海テレビ放送株式会社、中京テレビ放送株式会社、株式会社CBCテレビ、名古屋テレビ放送株式会社、テレビ愛知株式会社、株式会社中日新聞社、知多メディアスネットワーク株式会社

使用言語

英語(ランチョンセミナーは日本語)

座長・講演者

海外3名、国内はNCGGの8名を含めた15名、合計18名 ※ランチョンセミナーも含む

参加人数

会場 73名

総括

 国立長寿医療研究センター(NCGG)主催による第20回長寿医療研究センター国際シンポジウムは、2026年1月12日、「高齢者医療における栄養管理の重要性(Importance of Nutritional Management in Geriatric Healthcare)」をテーマとして、名古屋国際センター別棟ホールにおいて開催された。当日は、国内外の臨床医、研究者、医療・介護専門職が一堂に会し、最終的に73名が参加して、有意義な発表と活発な質疑応答、多角的かつ実践的な議論が行われ成功裏に終了した。

 プログラムは、以下の3つの主要セッションおよびランチョンセミナーで構成された。

 セッション1:「認知症診療と栄養管理」では、食事因子と認知機能低下の関連、腸内細菌叢と脳機能の関係について、基礎から臨床まで幅広い視点から議論が行われた。

 セッション2:「サルコペニアと栄養管理」では、AWGCフレームワークを基盤として、質の高い栄養とサルコペニア予防、食事による酸負荷や摂取タイミング、口腔機能と栄養ケアの関連など、実践的かつ最新の知見が共有された。なお、本セッションに登壇予定であった本川佳子先生(東京都健康長寿医療センター研究所)は、やむを得ない事情によりオンラインでの講演となったが、円滑な運営のもとで重要な知見が示された。

 セッション3:「糖尿病または糖尿病リスクのある高齢患者と栄養管理」では、個別化栄養戦略、マルチオミクスによる加齢機構の解明、地中海食の有効性など、高齢者糖尿病診療の最前線が紹介された。これらの議論を通じ、栄養管理が高齢者の診療において非常に重要であることが再認識された。

 また、ランチョンセミナーでは、認知症予防における栄養介入や高齢期におけるビタミンの重要性について、エビデンスに基づく実践的な講演が行われ、参加者から高い評価を得た。

 海外からは、フィンランド、台湾、スペインより3名の著名な研究者を招聘し、国際的視点からの貴重な知見が提供された。加えて、すべての講演者および座長の協力、ならびに参加者からの活発な質問や意見、関係者による企画・運営面での尽力により、本シンポジウムは円滑に実施され学術的にも極めて充実した内容となった。

 本シンポジウムを通じて共有された知識と経験は、今後の高齢者医療およびケアの質の向上、さらには世界的な健康長寿の推進に向けた重要な基盤となることが期待される。今後も国際的・学際的な連携を一層深化させ、高齢者医療における栄養管理の発展につなげていくことが重要と考えられる。

(国立長寿医療研究センター 病院長 松浦 俊博)


シンポジウムの詳細な内容については以下のPDFをご確認ください。

第20回国際シンポジウムの概要(PDF:876KB)(新しいウインドウが開きます)

長寿科学研究普及事業 国際シンポジウムについて

本事業の詳細については以下のページをご覧ください。

長寿科学研究普及事業