日本の食品の表示制度
公開日:2016年7月24日 06時00分
更新日:2025年5月15日 15時43分
食品の表示制度の概要1)2)
2015年4月1日から新しい食品表示法が施行されました。それまでは、食品の表示に関しては、食品衛生法、JAS法、健康増進法の3つの法律で決められていましたが、新しい法律の下で一元化されることになりました。
新しい食品表示法の下では、原則として販売されるすべての食品に食品表示が義務付けられています。
表示内容は、農産物、畜産物、水産物などの生鮮食品については、名称及び原産地等、米については「名称」、「原料玄米」、「内容量」、「調製時期、精米時期又は輸入時期」、「食品関連事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号」を表示することに定められています。また、加工食品については、「名称」、「保存の方法」、「消費期限又は賞味期限」、「原材料名」、「添加物」、「原料原産地名」、「内容量又は固形量及び内容総量」、「栄養成分の量及び熱量」、「食品関連事業者の氏名又は名称及び住所」、「製造所又は加工所の所在地及び製造者又は加工者の氏名又は名称」等が表示されています。
近年さまざまな食品が市場に出回っていますが、健康を維持するためには、これらの食品を上手に選ぶ必要があります。特に、加工食品は体に良くないとされる食品添加物や食品の表示を良く読んで、きちんと理解したうえで食品を選択する必要があります。
原産地表示制度3)
これまで一部の加工食品にのみ義務付けられていた原材料の原産地表示は、2017年9月に改正された食品表示法の食品表示基準で、原則としてすべての加工食品の原材料の中で最も多いものの原産地を表示することが義務化されました。
加工食品は、多くの場合、何種類もの原材料が使われています。原材料一つ一つの原産地を表示しようとすると、場合によっては情報が煩雑になり過ぎ、かえって消費者が混乱してしまうことが懸念されます。そこで次のようなルールにのっとって原材料の原産地が表示されることになりました。表示される場所は、加工食品のパッケージになります。
原料原産地の表示方法
- 製品中、最も多く使われた原材料が生鮮食品の場合は、その原産地を表示(国産の場合は「国産」である旨を表示)
- 2か国以上の原産地の原材料を混ぜて使っている場合は、多い順に原産地を表示
- 3か国以上の原産地の原材料を混ぜて使っている場合は、3か国目以降を「その他」と表示することも可能
- 製品中、最も多く使われた原材料が加工食品の場合は、その製造地を表示
- 原則の「国別重量順表示」が難しい場合は、一定の条件のもと、「又は表示」、「大括り表示」の表示が可能
対象の原材料の種類 | 表示方法 |
---|---|
生鮮食品の場合(例:ウインナーソーセージの豚肉等) | 「国産」等とその産地を表示 |
加工食品の場合(例:チョコレートケーキのチョコレート等) | 「国内製造」等とその製造地※を表示 |
※ 対象の原材料が国内で製造された加工食品の場合は、「国内製造」と表示しますが、当該加工食品の原材料として使われた生鮮食品が「国産」であるという意味ではありません。
- おにぎり等の一部の品目には、個別の原産地表示ルールがあります。
- 令和4年(2022年)4月1日以降に製造する一般用加工食品だけでなく、同日以降に販売される業務用生鮮食品及び業務用加工食品にも、必ず原料原産地表示が行われます。
栄養成分表示5)
栄養成分表示とは
容器包装された加工食品や添加物には、消費者が適切な食生活を送れるように栄養成分表示が義務付けられています。特定の栄養成分や熱量を強調する場合は、基準を満たす必要があります。ただし、水や香辛料のように栄養の供給が少ない食品や、小規模事業者による販売品などは表示が省略されることもあります。
表示の方法
栄養成分は、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の順で表示されます。さらに、推奨されている成分や任意の成分も表示されることがあります。
- 表示が義務付けられている栄養成分
- 表示が推奨されている栄養成分
- 任意で表示されている栄養成分
アレルギー表示6)
食物を摂取した際、身体が食物に含まれるたんぱく質等(アレルゲン)を異物として認識し、過剰な防御反応で症状を引き起こすことを食物アレルギーといいます。アレルギーの原因となる食品による健康被害を防ぐために、全国調査の結果に基づき特定原材料が定められ、容器包装された加工食品には、当該原材料を含む場合の表示が義務付けられています。
アレルギー表示が義務化または推奨される食品を表2に示します。
根拠規定 | 特定原材料等の名称 | 理由 | 表示の義務 |
---|---|---|---|
食品表示基準(特定原材料) | えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生 | 特に発症数、重篤度から勘案して表示する必要性の高いもの。 | 義務 |
消費者庁次長通知(特定原材料に準ずるもの) | アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、マカダミアナッツ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン | 症例数や重篤な症状を呈する者の数が継続して相当数みられるが、特定原材料に比べると少ないもの。特定原材料とするか否かについては、今後、引き続き調査を行うことが必要。 | 推奨(任意) |
表示例
個別表示する場合(アレルギー表示は、原則、個別表示。例外として、一括表示も可。)
原材料名:じゃがいも、にんじん、ハム(卵・豚肉を含む)、マヨネーズ(卵・大豆を含む)、たんぱく加水分解物(牛肉・さけ・さば・ゼラチンを含む)/調味料(アミノ酸等)
一括表示する場合
原材料名: じゃがいも、にんじん、ハム、マヨネーズ、たんぱく加水分解物/調味料(アミノ酸等)、(一部に卵・豚肉・大豆・牛肉・さけ・さば・ゼラチンを含む)
特別な食品表示の種類7)
近年、食品中の特定の成分が、健康にとって良い機能を果たすことが明らかになってきています。それに伴い、2015年4月に機能性表示食品制度ができました。
図に示すように、食品は大きく分けると一般食品と機能性の表示ができる保健機能食品の2つに分類されます。保健機能食品は、さらに、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品の3つに分けられます。

一般食品
機能性の表示ができない一般的な食品です。「サプリメント」、「栄養補助食品」、「健康補助食品」といった表示で販売されている食品は一般食品です。
保健機能食品
3種類の保健機能食品については、消費者庁で以下のように定められています。
特定保健用食品(トクホ)
特定保健用食品(通称トクホ)は、国が人での安全性と効果を個別製品として審査し、消費者庁長官が保健機能(健康の維持・増進に役立つ効果等)の表示を許可した食品です。詳しくはリンク1をご覧ください。
栄養機能食品
栄養機能食品は、人での安全性と効果の科学的根拠が明らかとなっているビタミンやミネラルなどの栄養素について、その製品中の含有量が、国が定めた基準を満たしていれば既定の栄養機能が表示できる食品です。詳しくはリンク2をご覧ください。
機能性表示食品
事業者の責任において、一定の科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品で、その安全性と機能性の根拠等については、販売前に事業者から消費者庁長官へ届けられ、届出情報が消費者庁のウェブサイトで公開されています。ただし、特定保健用食品とは異なり、消費者庁長官の個別の許可を受けたものではありません。詳しくはリンク3をご覧ください。