長寿科学研究に関する情報を提供し、明るく活力ある長寿社会の実現に貢献します。

派遣報告書(黒澤実愛)

派遣者氏名

黒澤 実愛(くろさわ みえ)

所属機関・職名

国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 口腔疾患研究部 口腔感染制御研究室・

流動研究員

専門分野

歯科

参加した国際学会等名称

IADR general session

学会主催団体名

International Association for Dental Research

開催地

カナダ バンクーバー

開催期間

2019年6月19日から2019年6月22日まで(4日間)

発表役割

口頭発表

発表題目

Senescence-associated T-lymphocytes Accumulate in the Submandibular Glands of Aged Mice

老齢マウスの顎下腺における老化関連T細胞の集積

派遣先学会等の開催状況、質疑応答内容等

 国際歯科研究学会が開催した本国際会議では、基礎研究と臨床研究分野の研究者により歯科領域に関する演題発表が4日間にわたって行われた。

 今回、口頭発表し、国内外の専門分野の研究者や大学院生との質疑応答や今後の研究に関する討議を行った。特に唾液腺における細胞老化は他の研究者も盛んに研究している分野ではあるが、SA-T細胞は歯科領域では浸透していないことからSA-T細胞のマーカーに関する質疑応答などがあり、国外の研究者にも興味を持っていただけた。

本発表が今後どのように長寿科学に貢献できるか

 口腔乾燥症は誤嚥性肺炎などのリスクを増加させ、患者のQOLを著しく低下させることから、根本的な治療法の確立が重要である。本研究結果により、加齢及び性差による唾液腺へのSA-T細胞集積メカニズムを明らかにしたことから口腔乾燥症の治療法開発に繋がると考えられる。また、SA-T細胞は分化機序などを含め不明な点が多く、性差によるSA-T細胞集積メカニズムの解明は免疫老化に関する研究をより活性化させる可能性がある。唾液腺による細胞老化の研究は盛んに行われているが、唾液腺上皮細胞の細胞老化と性ホルモンの影響を検討している論文は少ないことから、細胞老化と性ホルモンに関する研究の重要性を提示したと考えられる。