令和8年度助成 長生きを喜べる長寿社会実現研究支援 採択プロジェクトについて
公益財団法人長寿科学振興財団(以下「当財団」という。)は、財団ビジョン「長生きを喜べる長寿社会の実現~生きがいのある高齢者を増やす~」を達成するため、長寿科学研究者等支援事業「長生きを喜べる長寿社会実現研究支援」(以下「本事業」という。)を実施しています。本事業は課題解決になる実用的な方法の研究開発から本格的な社会実装を含めた一気通貫の課題解決型のプロジェクトを採択し、支援するものです。
令和8年度の本事業の公募では産学官民各界より多数のご提案がありました。公募締切後、提案書を受理した22件について第一次審査(書類審査)、第二次審査(プレゼンテーション審査)、最終審査を審査評価委員会が実施し以下のプロジェクトを採択内定としました。
| No. | プロジェクトリーダー氏名 | 所属団体・部署・役職 | プロジェクト名 | 開始ステージ | 初年度助成額 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 枝広 あや子 | 東京都健康長寿医療センター研究所 | 社会的処方に対応できる伝統宗教施設(寺社・教会等の協力による長寿社会実現のための地域支援研究) | B:実装研究(研究期間:令和8年度から令和9年度) 1年目/2年間 |
令和8年度: 10,000,000円 |
審査講評(審査評価委員長 駒村 康平)
長寿科学研究者支援事業「長生きを喜べる長寿社会実現研究支援」(以下「本事業」という。)は、公益財団法人長寿科学振興財団(以下「財団」という。)のビジョン「長生きを喜べる長寿社会の実現~生きがいのある高齢者を増やす~」に基づき、我が国が直面する課題の中でも、高齢社会における課題解決を目指す貴重な助成事業である。本事業は、長寿科学の観点でアプローチされた実用的な方法を研究開発し、社会実装まで取り組める課題解決型のプロジェクトを採択するものである。
総評
令和8年度助成には、計22件(大学15、研究機関4、企業2、学会1)の意欲的かつ多様な提案が寄せられました。
本公募は、研究・実践の段階に応じて、A「探索研究(新たな知見の発見を目指すもの)」、B「実装研究(理論を実社会に適用し検証するもの)」、C「社会実装(確立されたモデルを広く普及させるもの)」の3区分で実施いたしました。
応募テーマは、デジタル技術(AI・ウェアラブルデバイス)を活用した健康管理やフレイル予防、高齢者の運転技能と安全確保、地域資源の再評価による社会参加の促進、認知症との共生など、長寿社会が直面する重要課題を多角的に捉えるものでした。いずれの提案からも、研究成果を社会に還元しようとする強い意志が感じられました。
第一次審査(書類審査)では、「社会的インパクト」「持続性・実現可能性」「学際性」を主要な評価軸とし、特に優れた3件を第二次審査へ選定しました。第二次審査(プレゼンテーション審査)、最終審査会では、研究の独創性のみならず、実装までの具体的道筋や組織体制の妥当性について踏み込んだ議論を行い、最終的に採否を決定いたしました。
プロジェクトの一つは、地域に根ざした既存施設を現代的な「社会的処方」の場として再定義するという独創的な提案でした。施設の本来の意義や歴史的背景への十分な配慮を前提とすることを条件に、日本独自の孤立対策モデルとして発展する可能性を高く評価し、採択に至りました。
テクノロジーと就労支援を融合させた提案は、社会的意義と新規性を備えているものの、技術開発の比重や想定ニーズとコストの均衡、波及効果の確実性といった点から、現段階ではさらなる検証が必要とされました。安全な移動と意思決定支援をテーマとする提案についても、課題の重要性は高く評価されたものの、大規模事業を遂行する体制やマネジメント面での実行可能性に課題が残るとの結論に至りました。
本年度の審査を通じて強く感じたのは、独創的な発想そのものに加え、それを支える確かな実行体制と社会への波及効果との均衡が、助成事業としての採否を分けるという点です。採択に至らなかった提案もいずれも真摯で意義深いものであり、今後のさらなる発展と挑戦を心より期待しております。
本助成は今後も、長寿社会の課題解決に向けた先進的かつ実践的な取り組みを支援し、社会的価値の創出に貢献してまいります。
最新の公募について
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