令和7年度若手研究者表彰事業 長寿科学賞受賞者(畑亮輔)
受賞者氏名
畑 亮輔 氏
所属機関・職名
北星学園大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授
所属学会
日本ケアマネジメント学会
研究課題名
介護支援専門員のワーク・エンゲイジメントの効果と関連要因
研究期間
令和4年度~令和6年度
研究内容及び研究成果の概要
本研究の目的は、介護支援専門員(以下、CM)のワーク・エンゲイジメント(以下、WE)の効果と関連要因を明らかにすることで、CMの人材確保と質保障に向けた方策を提言することである。
本研究の方法は混合研究法である。まず、CMを対象としたフォーカス・グループ・インタビューを実施し、質的分析によってCMのWEに関連する要因を抽出し、JD-R(仕事の要求度・資源モデル)に基づいてCMのWEの効果と関連要因の仮説モデルを構築した。CMのWEの効果には、「離職意向の低減」、「健康の増進」、「ケアマネジメント実践の促進」の3つを位置づけた。そしてCMのWEに関連する要因としては、個人の資源として「CMになった経緯」、「役職」、「事業所への愛着」「実践を通した各種経験」など、また仕事の資源として「事業所内のサポート」、「地域内でのサポート」などをそれぞれ位置づけた。WEは短縮版Utrecht Work Engagement Scale日本語版を用いて測定することとした。その後、居宅介護支援事業所(無作為抽出:1,000か所)のCMを対象としたWeb調査を実施し、構造方程式モデリングによってCMのWEの仮説モデルの適合度を検証した(分析にはMplus Version8.10を使用)。調査実施にあたり、北星学園大学の研究倫理審査を受けて承認を得た。
CMのWEの仮説モデルに対して構造方程式モデリングによる分析を実施した結果、各適合度指標は概ね統計的水準を満たしていることが明らかとなった。ここから、CMはWEが向上することによって離職意向の低減、健康の増進、そして実践の促進という効果が得られることが示された。今後、CMの人材確保、また質保障を実現していくためには、CMのWEを実現することが効果的と考えられる。具体的には、CM自身が利用者の自立を意識した支援を展開できるような研修の実施、また事業所内での支え合える体制やポジティブなフィードバックによる事業所への愛着形成、さらには地域内での支え合いと地域全体でCMを育成する体制構築が必要である。
代表論文
ケアマネジャーのワーク・エンゲイジメントと関連概念との関係性の検討―仕事における活動水準と仕事に対する認知の2軸から―
受賞者

- 畑 亮輔(はた りょうすけ)
- 北星学園大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授
- 略歴
- 2012年3月に大阪市立大学大学院で博士(学術)を取得。同年4月より北星学園大学社会福祉学部福祉臨床学科にて専任講師として着任、2025年4月より同社会福祉学科教授。日本ケアマネジメント学会理事、日本介護福祉学会理事、日本社会福祉学会評議員。北海道における介護支援専門員の法定研修・法定外研修講師などを務めたり、「月刊ケアマネジャー」にて「図説ケアマネジメント」を連載したりするなど、現任者教育に力を入れている。また、実践教育にとどまらず、介護支援専門員の現任者が参加する研究会を主宰し、現場実践者の研究推進に尽力している。
若手表彰事業について
