認知症の人にもやさしいユニバーサル・コミュニティを創る
公開月:2026年7月
岡橋 さやか(おかはし さやか)
和歌山リハビリテーション専門職大学健康科学部リハビリテーション学科教授
国立長寿医療研究センター老年社会科学研究部客員研究員
超高齢社会において、認知症は誰にとっても身近な疾病となっている。認知症基本法の「新しい認知症観」では、「認知症になってからも、住み慣れた地域で仲間とつながりながら暮らし続けることができる」と示され、認知症の人を「ともに生きる仲間」と強調する。今後、認知症の人がさらに増加する中で、認知症になっても社会に参加し、ウェルビーイングを保てる社会の実現が求められる。しかし現状では、これを妨げる要因が少なくない。街中での物理的環境や支援に関わる人的環境の不十分さのほか、認知症に対する偏見や思い込みなどのネガティブな意識(認知症スティグマ)は、本人や家族、社会全体に大きな影響を及ぼしている。
国立長寿医療研究センター老年社会科学研究部によるNCGG-UniCo(ユニコ)プロジェクト「ユニバーサル・フレンドリ・ファシリティが認知症の人と地域住民の社会参加向上とスティグマ軽減、ウェルビーイング向上にもたらす効果検証」1)は、令和5〜6年度(2023〜2024年度)に長寿科学振興財団の研究助成を得て行われた。本プロジェクトでは、認知症の人が社会とのつながりを保ちながら幸福で健康に過ごせるコミュニティの実現を目指し、認知症の人にやさしい施設づくりや地域住民との肯定的な交流を促す場づくり、およびその調査と検証を進めてきた。
本特集では「認知症ユニバーサル・コミュニティの実現」をテーマとして、プロジェクトメンバーによる3編の成果報告とゲストによる1編の実践報告をプロジェクトマネージャの視点から企画した。いずれも認知症の人の日常生活に密着した内容となっている。小松亜弥音先生には「外出機会やその行き先」、進藤由美先生には「買い物するのに望ましい環境」、李相侖先生には「笑顔を生みだす社会交流プログラム」に関して執筆いただいた。さらに、紺野敏昭先生には「生きがいを支えるスローショッピングや地域連携」の実践例を紹介いただいた。
さいごに、本プロジェクトリーダーを務められた国立長寿医療研究センター故斎藤民先生に哀悼の意を捧げたい。ここにある知見は、未来の認知症ユニバーサル・コミュニティの礎となる。NCGG-UniCoの取り組みが、産官学民のあらゆる立場の人に役立つことを願う。
文献
- (2026年6月23日閲覧)
筆者

- 岡橋 さやか(おかはし さやか)
- 和歌山リハビリテーション専門職大学健康科学部リハビリテーション学科教授
国立長寿医療研究センター老年社会科学研究部客員研究員 - 略歴
- 2004年:金沢大学医学部保健学科卒業、奈良県総合リハビリテーションセンター作業療法士、2010年:国保中央病院作業療法士、2011年:名古屋大学医学部保健学科作業療法学専攻助教、2012年:京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻助教、2014年:神戸大学博士(学術)取得、2022年:国立長寿医療研究センター老年社会科学研究部主任研究員、2025年より現職
- 専門分野
- リハビリテーション科学、作業療法学、医療福祉工学
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