健康長寿ネット

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身体の調子を整えるコンディショニング

公開日:2016年7月24日 05時00分
更新日:2024年2月15日 14時47分

写真:コンディショニングを行っている女性の写真。コンディショニングは運動競技において最高の能力を発揮できるよう精神・肉体・健康面などから上体を整えること

コンディショニングとは

 コンディショニングという言葉は、競技で最上のパフォーマンスを行うために調子を整えるという意味でスポーツ界を中心に使われています。厚生労働省のe-ヘルスネットでは「運動競技において最高の能力を発揮出来るように精神面・肉体面・健康面などから状態を整えること。」1)とされています。

 また、公益財団法人日本オリンピック委員会によると「目的とする試合に向けての期間を限定された中での調整と、日常的なトレーニングをいかによりよい状態で効果的に継続していくかということへの対応」としています。

 2016年にブラジルリオデジャネイロで開催された第31回オリンピック競技大会では、日本選手に向けて「JOCコンディショニングガイド」2)が配布され、コンディショニングの対策を促しました。

 国立スポーツ科学センターにおいてもコンディショニングの重要性について示されており3)、「女性アスリート指導者のためのハンドブック」ではコンディショニングの一例として、以下のことが示されています4)

  • トレーニングを行う
  • 食生活を改善する
  • 成長、食事、トレーニングのバランスを考える
  • 月経周期を把握する
  • トレーニングと休養のバランスを考える
  • 疲労回復を図る

 コンディショニングとは柔軟性を促すストレッチやリラクゼーション、筋力を鍛えるための筋力トレーニングをただ行うだけではなく、体力・精神・技術・医療・栄養・環境の面からの総合的なアプローチによるコントロールが必要です。

 コンディションを整えるためのトレーニングの内容の調整とともに、食生活を整えることや、体調に影響を与える環境面を把握してコントロールすること、休養とのバランスを考えることなどもコンディショニングに含まれます。また、それらを実施するうえで、自分の身体と対話しながら調整を重ね、最良の状態を継続していくこともコンディショニングです。

 最近ではスポーツ界だけではなく一般の方を対象にしたコンディショニングとして、身体の調子を整えるための運動を独自に開発して活動している民間の団体もあります。健康維持、生活の質の向上(QOL)のために自ら自分の身体を良い状態に整えて継続するというセルフコンディショニングの考え方も認知されてきています。

コンディショニングは健康維持のための土台

 厚生労働省の運動器の機能向上マニュアルの中で、高齢期の生活機能維持・改善のための運動器の機能向上プログラムは、コンディショニング期間、筋力向上期間、機能的運動期間の三段階に分けられています。ここでのコンディショニングとは筋力向上期間で積極的に運動を行っていくために「筋肉や靭帯などの組織を運動負荷に耐えられるようなるまで、徐々に慣らしていく」4)という意味で用いられており、トレーニングを積極的に行っていくための身体を整える準備期間とされています。

 健康維持のために必要なトレーニングや活動的な生活を送るために、体調に関わる全ての要因を良い状態に整えることがコンディショニングであり、コンディショニングはより良い生活を継続するための身体づくりともいえるでしょう。

コンディショニングの効果

 スポーツ選手ではコンディショニングによって運動パフォーマンスの向上、オーバートレーニング症候群※1の予防、けがの予防、安全で効果的なトレーニングを継続するための体調を管理できるという効果があります。

 日常生活においてもコンディショニングによってよい体調や姿勢を維持できると疲労が蓄積しにくくなり、健康で活動的な生活を維持することにつながります。体調が整うと健康維持・増進のための運動も積極的に行えるようになります。

※1 オーバートレーニング症候群:
オーバートレーニング症候群とは、スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態5)のこと。

コンディショニングの方法

 コンディショニングは心身を良い状態に整えることですが、「心身の状態」は「体調が悪い」、「疲労がたまっている」、「休むと体が軽くなった」などの自分で感じる主観的コンディションに加えて、食事記録、体重、体温、安静時心拍数、睡眠などの指標を用いることで客観的に評価することもできます。

 記録をつけていると自分の体調がどのようなことに影響されやすいのか、どのようなことで回復するのか、また調子が悪くなるのかなどの傾向がわかり、調整しやすくなります。自分のコンディショニングを自分で評価して調整し、習慣化して継続していくことが大切です。

 厚生労働省の運動器の機能向上マニュアルの中でコンディショニング期間の運動は、かなり楽から比較的楽と感じる低負荷の運動強度であり、20~30回の高反復の運動を目安とするとされています。仰向け・座位でのストレッチングや、四つ這い・膝立ち姿勢でのバランス運動でのウォーミングアップと座位や仰向けでの筋力・筋持久力の要素を促す運動、ストレッチング・リラクゼーションでのクーリングダウンでのプログラム構成6)が例として挙げられています。

 一般財団法人日本コアコンディショニング協会のホームページでは高齢者向けのコアコンディショニングの一部として椅子に座って行える「いろは体操」7)が紹介されています(参照リンク1)。

参照リンク1 シニア指導セミナー [JCCA]一般財団法人 日本コアコンディショニング協会(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)

コンディショニングを学べる場

 コンディショニングはこれと決まった運動プログラムがあるわけではなく、ストレッチやリラクゼーション、筋力トレーニングなど、身体の筋肉のバランスや姿勢を整えて身体の調子を良くするためのすべてのことを指しています。

 一般の方向けに運動プログラムとしてコンディショニングを実施している民間の団体は、いろは体操で紹介した一般財団法人日本コアコンディショニング協会のほかにもあり、一般社団法人日本コンディショニング協会(NCA)ではコンディショニングを「コンディショニングとはリセットコンディショニングとアクティブコンディショニングという二つの方法で人体650の筋肉を調整&再教育し、Good Conditionを実現するメソッド」8)と定義し、全国の運動施設でコンディショニングプログラムを開催しています。

 市町村の体育館やスポーツセンターなどでコンディショニングをテーマにした教室も開催されているので、興味のある方はお住いの自治体のホームページをチェックしてみるのもよいでしょう。

参考文献

  1. コンディショニング e-ヘルスネット 厚生労働省
  2. 第31回オリンピック競技大会(2016リオデジャネイロ) JOC(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  3. ハイパフォーマンスアスリートのためのコンディショニング:最新の研究結果と現在の傾向 Robert Newtonら(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  4. 「女性アスリート指導者のためのハンドブック」11. コンディショニングP77国立スポーツ科学センター(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  5. 運動器の機能向上マニュアル(改訂版)「運動器の機能向上マニュアル」分担研究班 平成21年3月 厚生労働省(PDF)(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  6. オーバートレーニング症候群 e-ヘルスネット 厚生労働省
  7. シニア指導セミナー [JCCA]一般財団法人 日本コアコンディショニング協会(外部サイト)(新しいウインドウが開きます)
  8. 筋肉を整え、本来のカラダを取り戻す!コンディショニングスタートブック 有吉与志恵 Gakken P43

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